kintone ワークフローとは、サイボウズ社の業務改善プラットフォームkintone上で、稟議書や各種申請書などの承認プロセスを電子化する機能です。この機能は正式には「プロセス管理」と呼ばれ、申請から承認、決裁までの流れをシステム化することで、業務のスピード向上や進捗の可視化を実現します。しかし、複雑な条件分岐や代理承認など、標準機能だけでは対応が難しいケースも存在します。
本記事では、kintoneのワークフロー機能の基本的な設定方法から、具体的な活用事例、メリット・デメリット、さらには機能拡張の活用方法までを網羅的に解説します。
この記事は、特に以下のような課題をお持ちの方におすすめです。
このような課題をお持ちのご担当者様に特におすすめの内容となっています。
kintoneの導入・活用をさらに促進し、導入効果を最大限に引き出すためのヒントをまとめたお役立ち資料もご用意しております。ぜひ本記事と併せてご活用ください。
関連記事:kintoneアプリ活用で業務効率UP!マニュアル作成完全ガイド
マニュアルの有効活用・社内問い合わせ削減をしたい方へ
ワークフロー・経費精算・CRM・ERPなど様々な業務システムを「操作に迷わなくする」仕組みで、社内問い合わせを90%削減・マニュアル閲覧率向上!
目次
kintoneのワークフロー機能は、これまで紙や口頭、メールなどで行われていた申請・承認業務を、kintoneアプリ上で完結させるための仕組みです。正式名称である「プロセス管理」機能を活用し、誰が・いつ・何をすべきかを明確に定義することで、業務の属人化を防ぎ、組織全体の業務効率化を推進します。ここでは、その基本的な概念と特徴を解説します。
企業の日常業務には、稟議書、経費申請、見積書承認、休暇申請など、数多くの申請・承認プロセスが存在します。従来の紙ベースの運用では、「書類の紛失」「承認の遅延」「進捗が不明確」といった課題が常に付きまといました。
kintoneのワークフロー機能は、これらのプロセスを電子化し、一元管理することを可能にします。申請者はkintoneアプリにデータを入力するだけで申請が完了し、承認者は通知を受け取って画面上で承認・却下・差し戻しのアクションを実行できます。これにより、物理的な書類の受け渡しが不要となり、業務プロセスが大幅にスピードアップします。
「kintoneのワークフロー」という言葉は通称であり、実際の機能名は「プロセス管理」です。この機能は、kintoneの各アプリに標準で備わっており、特別な追加費用なしで利用できます(※kintoneのライセンスは必要です)。
プロセス管理機能では、主に以下の要素を設定します。
これらの要素を組み合わせることで、企業のルールに合わせた柔軟な承認フローをkintone上に構築できるのです。より詳しいkintoneの基本機能については、【2025年最新】kintone(キントーン)とは?機能や料金、できることを徹底解説の記事も併せてご覧ください。
市場には多くの「ワークフロー専用システム」が存在しますが、kintoneはそれらとどう違うのでしょうか。主な違いは「柔軟性」と「拡張性」にあります。
ワークフロー専用ツール
kintoneのワークフロー
つまり、「単に申請・承認プロセスを電子化する」だけでなく、「業務全体のデータを活用しながら、柔軟に業務プロセスを構築・改善していきたい」というニーズに、kintoneは非常に強く応えることができるのです。
kintoneでワークフローを導入することは、単にペーパーレス化を実現するだけにとどまりません。業務プロセスの可視化、迅速化、そしてガバナンス強化といった多角的なメリットを企業にもたらします。ここでは、代表的な3つのメリットを掘り下げて解説します。
最大のメリットは、申請から決裁までのリードタイムを劇的に短縮できる点です。 紙の書類を回覧する場合、承認者の不在や出張でプロセスが停滞しがちでした。また、書類が今どこにあるのか分からなくなることも少なくありません。
kintoneワークフローを導入すれば、申請が行われると承認者にリアルタイムで通知が届きます。承認者はPCやスマートフォン、タブレットからいつでもどこでも承認作業を行えるため、移動中や外出先でも業務を止めることがありません。これにより、意思決定のスピードが向上し、ビジネスチャンスを逃すリスクを低減できます。
「あの申請、今どこで止まってる?」といった問い合わせは、管理部門にとって大きな負担です。kintoneワークフローでは、申請データごとに現在のステータスや誰がボールを持っているかが一覧で明確に表示されます。
紙の書類を扱う業務には、目に見えない多くのコストが潜んでいます。
kintoneワークフローによるペーパーレス化は、これらのコストを大幅に削減します。さらに、オフィスに出社しなくても申請・承認業務が完結するため、テレワークやリモートワークといった多様な働き方を推進する上での基盤となります。これにより、従業員満足度の向上や、BCP(事業継続計画)対策としても有効に機能します。
kintoneのワークフロー機能は非常に強力ですが、万能ではありません。導入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないために、標準機能だけでは対応が難しい点や、運用上の注意点を事前に理解しておくことが重要です。ここでは、特に注意すべき3つのポイントを解説します。
kintoneのプロセス管理は、直列または並列(AND/OR)のシンプルな承認フローを得意としています。しかし、日本の大企業に特有の非常に複雑な承認フローを標準機能だけで再現しようとすると、限界に突き当たることがあります。
これらの要件を実現するには、後述するプラグインやJavaScriptによるカスタマイズが必要になる場合があります。
kintoneのプロセス管理では、ステータスを変更する(=承認や却下のアクションを実行する)作業者は、原則としてkintoneのライセンスを持っている必要があります。そのため、たまにしか承認作業を行わない役員や、普段kintoneを利用しない社外のパートナーなどに承認を依頼したい場合、その全員分のライセンスを用意する必要があり、コスト面の課題となる可能性があります。この問題を回避するためには、ゲストスペースの活用や、通知をメールで行い承認は代理で行うといった運用上の工夫、あるいは連携サービスの利用が選択肢となります。
これらの課題も、プラグインや連携サービスを導入することで解決できるケースが多くあります。自社の要件と標準機能のギャップを正確に把握し、適切な拡張手段を検討することが成功の鍵となります。
kintoneのワークフロー設定は、プログラミングの知識がなくても直感的に行うことができます。ここでは、基本的な設定手順を3つのステップに分けて解説します。この手順に沿って進めることで、自社の業務に合わせた承認フローを構築できます。今回は、一般的な「稟議申請アプリ」を例に見ていきましょう。
システムを設定する前に、まず現在の業務プロセスを可visas化することが最も重要です。
これらの要素を書き出し、フローチャートなどを作成して関係者間で合意形成を行います。この工程を怠ると、後から再度設定する手間が発生するため、丁寧に行いましょう。この段階で現状の業務プロセスの問題点を洗い出し、あるべき姿を定義することが、DX成功の第一歩となります。
次に、ワークフローの受け皿となるkintoneアプリを準備します。
これで、このアプリでワークフロー機能を使う準備が整いました。
最後に、Step1で定義した業務プロセスをkintoneに設定していきます。
ステータスの設定
「未処理」「課長承認待ち」「部長承認待ち」「承認済み」「差し戻し」「却下」といった、プロセスの各段階を表すステータスを作成します。
プロセスの設定
ステータス間の矢印をドラッグ&ドロップでつなぎ、プロセスの流れを作成します。
アクションの設定
各ステータスで実行できるアクション(例:「承認する」「却下する」「差し戻す」)のボタン名を設定します。
すべての設定が完了したら、「設定完了」ボタンを押し、アプリを更新します。これで、オリジナルのワークフローが搭載されたアプリの完成です。
kintoneのワークフロー機能は、特定の業務だけでなく、社内の様々な申請・承認プロセスに応用できます。ここでは、多くの企業で共通して見られる3つの代表的な活用事例を紹介します。自社のどの業務から電子化を進めるべきか、検討する際の参考にしてください。
稟議・決裁申請は、ワークフロー活用の最も代表的な例です。 物品購入、契約締結、新規プロジェクトの開始など、経営判断に関わる重要な意思決定プロセスを電子化します。
営業部門や経理部門で発生する見積書や請求書の作成・承認プロセスも、kintoneで効率化できます。顧客管理(CRM)や案件管理(SFA)アプリと連携させることで、さらなる効果を発揮します。
人事・労務関連の申請も、ワークフロー化に最適な業務の一つです。直行直帰の連絡、残業申請、有給休暇の取得申請などを電子化します。
これらの事例はほんの一例です。kintoneの柔軟性を活かせば、自社のユニークな業務プロセスにも合わせたワークフローを構築することが可能です。
kintoneの標準機能は非常に優れていますが、企業の要件が複雑化するにつれて、「あと少し、ここがこうなれば…」という要望が出てくることもあります。幸い、kintoneには機能を拡張するための様々な選択肢が用意されています。ここでは代表的な3つの方法を紹介します。
プラグインとは、kintoneアプリに特定の機能を追加するための既製プログラムです多くのベンダーから、ワークフローを強化するための様々なプラグインが提供されています。
主なプラグインの例
プログラミングの知識がなくても、購入または契約したプラグインをアプリにインストールするだけで、簡単に機能を拡張できるのが最大のメリットです。まずは自社の要件に合うプラグインがないか探してみるのが良いでしょう。関連情報として、kintoneのオススメプラグイン・連携サービス30選の記事も参考になります。
kintoneは、外部のクラウドサービスと連携させることで、その可能性をさらに広げることができます。API連携に対応したサービスであれば、kintoneをハブとして様々な業務プロセスを自動化できます。
主な連携サービスの例
これらのサービスを活用することで、kintone単体では完結できない業務も、部門を横断して効率化することが可能になります。
プラグインや連携サービスでも要件を満たせない、非常に特殊で複雑な要件がある場合は、JavaScriptやAPIを利用して個別に機能を開発(カスタマイズ)するという選択肢もあります。
開発で実現できることの例
この方法は最も自由度が高い一方で、プログラミングの専門知識が必要であり、開発・保守にコストと時間がかかります。社内に開発リソースがない場合は、専門の開発パートナーに依頼することになります。まずはノーコード・ローコードで実現できる範囲を見極め、最後の手段として検討するのが賢明です。
kintoneで高度なワークフローを構築しても、従業員がその使い方を覚えきれず、結局電話やメールでの問い合わせが増えてしまっては本末転倒です。特に、多数のアプリや複雑な条件分岐を持つワークフローは、導入後の「定着化」が大きな課題となります。そこで注目されるのが、デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)の活用です。
デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)とは、様々なWebシステムの画面上に、操作ガイドや入力ルールを直接表示させることで、ユーザーがマニュアルを見なくても直感的にシステムを使いこなせるよう支援するツールです。
弊社が提供するDAP「Fullstar」は、kintoneの画面上にノーコードでチュートリアルやツールチップ(補足説明)を設置できます。
これにより、情報システム部門やDX推進部門の問い合わせ対応工数を大幅に削減し、従業員が自律的にkintoneを使いこなす文化を醸成します。結果として、kintone導入効果の最大化と、形骸化の防止に繋がるのです。
本記事では、kintoneのワークフロー機能(プロセス管理)について、その基本概念からメリット、設定方法、活用事例、そして機能拡張の選択肢までを網羅的に解説しました。
本記事のポイント
kintoneワークフローは、単なるツールの導入に留まりません。それは、自社の業務プロセスを見直し、非効率な部分を特定し、継続的に改善していくための「きっかけ」そのものです。まずは、稟議申請や経費精算といった身近な業務からスモールスタートし、徐々に対象範囲を広げていくことで、全社的な業務改革を推進していきましょう。
kintoneの導入や定着化に関するお悩み、また「Fullstar」を活用した具体的な課題解決にご興味をお持ちでしたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。貴社のDX推進を力強くサポートするご提案をさせていただきます。
フォーム入力後、資料を閲覧できます。
無料プランで始める
書類不要!最低利用期間なし!
ずっと無料で使えるアカウントを発行