オンボーディングとは?SaaSのカスタマーサクセスにおける重要な施策について徹底解説

オンボーディングとは?SaaSのカスタマーサクセスにおける重要な施策について徹底解説

業界問わず様々な企業でSaaSが普及し、カスタマーサクセスに取り組む企業が増えており、その中でも特に重要なプロセスとなるのが「オンボーディング」です。

「オンボーディング」とは従来、新入社員が早く環境に馴染めるよう導く新人研修を指しました。その意味が転じ、カスタマーサクセスにおいては「ユーザーにいち早くサービスや使い方に慣れてもらうプロセスとして使われ、近年注力する企業が増加しています。

本記事ではそんな「オンボーディング」について、重要性や実施ステップ、KPI例やツールなどを徹底解説していきます。

・カスタマーサクセスにおけるオンボーディングって何?
・どうしてSaaSでオンボーディングが重要なの?
・オンボーディングにはどう取り組めばいいの?

といった疑問を抱えている方には特におすすめの記事になりますので、ぜひお役立てください!



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オンボーディングとは

人材業界での用語として使われることが多いオンボーディングですが、SaaSのカスタマーサクセスにおける初期定着支援もまたオンボーディングと呼ばれます。

カスタマーサクセスにおける「オンボーディング」とは、「サービス・商品を利用し始めたユーザーに対して、いち早く使い方や機能に慣れてもらうためにサポートするプロセス」を指します。サービスの理解不足による解約を防ぐため、ユーザーをフォローし、継続して利用してもらうのが目的です。

ユーザーが自社サービスを利用する際に生じた課題・不安・疑問を解決して成功へと導くのがカスタマーサクセスですが、中でもオンボーディングのフェーズは特に重要とされています。

では、なぜそこまで重要視されているのでしょうか?次章でその背景についてご紹介します。

オンボーディングの重要性

ユーザーの初期定着支援を行うオンボーディングですが、これに失敗してしまうと、その後ユーザーがサービスを利用して成果を上げることは非常に困難になってしまいます。

特にSaaSはサブスクリプション型のクラウドサービスで、継続利用が基盤となるため、早期にユーザーを定着させる必要があります。オンボーディングに注力してユーザーのストレスを解消し、解約を回避することで、安定した収益を確保することができるのです。

「使いづらい」「不要」と判断されれば、すぐに解約されてしまうのがSaaSのビジネスモデルですが、逆に機能や使用方法について説明すれば短時間でサービスの価値に気づいてもらうこともできます。また、オンボーディングによってサービスの有用性を理解してもらえれば、他サービスやより価格の高いサービスの購入へとつながるなど、企業にとって多くのメリットがあるのです。

オンボーディングの実施ステップ

では、どのようにオンボーディングを進めていけばいいのでしょうか?様々な方法がありますが、本章ではカスタマーサクセスにおける代表的な流れを4つのステップに分けてご紹介します。

オンボーディングのゴールを設定する

まずは、ユーザーが定着したと判断する基準である「オンボーディングのゴール」を設定します。「どこまで進んだらユーザーが使いこなせているかと判断するか」という基準はサービスや企業によって様々です。ユーザー目線での自社サービスの魅力や、自社サービスを利用した目的達成までの流れなどを改めて整理した上で、サービスの特質に合わせて設定していく必要があります。

その際、あまり基準を厳しくしてしまうと、オンボーディングが達成できないユーザーばかりになってしまうため、「基準を高くしすぎない」ことがとても重要です。

オンボーディングが完結できないユーザーは解約リスクが高くなるとも言われているので、ユーザーのモチベーションが高いうちに達成できるゴールを設定しましょう。

 

届けるべき情報とその手段を検討する

「オンボーディングのゴール=ユーザーがこういう状態になっているべきという基準」が設定できたら、そこに導くためにどのような手段(ハイタッチ、ロータッチ、テックタッチ)で、どのような情報(コンテンツ)を届けるべきかを検討していきます。

ハイタッチ

「ハイタッチ」は、契約初期段階にあるユーザーのうち「大口顧客」に対する1対1の個別サポートを指します。自社に多くの利益をもたらしてくれる顧客に、時間・コストをかけて手厚くサポートを行うのが特徴です。この場合は活用に向けた個別の目標設定や定期的な進捗確認、機能のカスタマイズなどの情報を提供し、コンサルティングに近いサービスを行います。

ロータッチ

「ロータッチ」は、ハイタッチ客ほど導入費用が高くないユーザーに対して、1対多(セミナーや勉強会)で支援し、必要に応じて個別対応を行うサポートを指します。ロータッチ客への対応は、Webコンテンツやメールなどのコンテンツ提供によるサポートと個別対応を組み合わせて行うのが特徴です。

テックタッチ

「テックタッチ」は、費用をかけずに、システムやITテクノロジーを活用して行うサポートを指します。テックタッチは最もユーザー数が多く、個別対応が難しいため、テクノロジーの力を借りて行うのが特徴です。この場合はWebサイト上に学習ガイドやチュートリアルなどのコンテンツや、メルマガなどで自習してもらうための情報を提供して、ユーザーをサポートします。


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営業から引き継ぐべき項目を設定する

ゴールとコンテンツ・手段が決まったら、「営業からの引き継ぎ情報としてどのようなものがあるべきか」を検討します。オンボーディングは顧客との最初の接点になるので、営業時にヒアリングした項目を共有することが非常に重要になってきます。

実際に実施してみて、改善していく

上記の内容が決まったら、実際に実施してみましょう。最初からうまくいくことはないので、ユーザーからの問い合わせやデータを分析し、ユーザー目線での課題・ストレス・問題点を少しずつ改善していくことが必要になります。

オンボーディングの実施ステップ

 

実施の際に見落としがちなのが、オンボーディングのゴールをユーザーと共有することです。オンボーディングという言葉を使わなかったとしても、ツール活用の全体像や最初のゴール(オンボーディングのゴール)をユーザーと共有する必要があります。そうすることで、モチベーションの向上につながり、次へのステップにも進みやすくなるからです。

 

ツールやサービスの活用に弾みをつけるためにも、まずはゴールを明確にし、小さなゴール(クイックウィン)をユーザーと共に目指していきましょう。

オンボーディングのKPI例

オンボーディングの実施ステップについてわかりましたが、どのようにKPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)を設定すればいいのでしょうか?

オンボーディングのKPIは様々なものがありますが、重要なものとして「解約率」や「アップセル/クロスセル率」、「オンボーディング完了率」が挙げられます。これらはユーザーの定着において非常に重要な視点です。それぞれのKPIについてご紹介します。

解約率

SaaS型サービスで利益を上げるには、新規顧客を増やすよりも、今契約している顧客の「解約率」を抑えることが何よりも重要です。解約率をKPIとして設定して可視化することで、カスタマーサクセスの達成度合いを知ることができます。

解約率が高ければカスタマーサクセスは達成しにくいため、その原因を分析し改善することで、自社製品やサービスを通じての成功体験を実現することが可能になります。

アップセル/クロスセル率

自社サービスに複数のプランがある場合は、売上向上におけるKPIである「アップセル/クロスセル率」に注目すると良いでしょう。「アップセル」はより単価の高いサービスを利用してもらうことを指し、「クロスセル」は、既に契約しているサービスと関連するサービスを追加で購入してもらい、顧客1人当たりの単価を引き上げることを指します。

「アップセル/クロスセル率」を可視化することで、売上貢献度合いを測定することが可能です。この指数はカスタマーサクセスにおいて、非常に重要度の高いKPIとされています。

オンボーディング完了率

「オンボーディング完了率」は、自社で提供している商品やサービスを顧客自身で利用できる状態であるパーセンテージを指します。継続して利用してもらうことが重要なSaaS型サービスでは、商品を購入後、ユーザー自身でそれを使いこなせる状態になってもらうことが必須です。

先述したように、「オンボーディング完了」の定義は企業によって異なり、自社が決めたオンボーディングをユーザーに達成してもらう必要があります。オンボーディングが完了していないと解約率も上がってしまうため、「オンボーディング完了率」と「解約率」は強く関連しており、SaaSのカスタマーサクセスにおいては、両者とも重視すべきKPIであるといえます。


また、これらを改善していった結果として、LTV(顧客生涯価値)の最大化も指標として置かれることがあります。オンボーディングを無事に終え、解約率が抑えられてアップセルやクロスセルが促進されると、1社あたりの総取引金額(LTV)が向上します。最終的には、このLTVを向上させることがKGIと捉えることができるでしょう。

オンボーディングに必要なツール

テックタッチでのオンボーディング施策に役立つツールは様々なものがありますが、それぞれに特徴があるため、自社に適したツールを選ぶ必要があります。オンボーディングにおける課題や、サポートすべきターゲット層などを明確にした上で探してみると良いでしょう。

Onboarding

Onbording

https://www.onboarding.co.jp/

「Onboarding」は、顧客自らオンボーディングを行う「セルフオンボーディング」が特徴のツールです。顧客に適したチュートリアルや特定条件のポップアップ、ツールチップなど、直感的にユーザーを導くガイドを提示することで、顧客が自身でサービスを利用できるようになる機能が備わっています。

その他にも、顧客活用の分析やターゲティング&シナリオ配信、ノーコード実装など、カスタマーサクセス部門の負担を大幅に減少してくれる豊富な機能も大きな魅力です。

Product Tours

INTERCOM

https://www.intercom.com/product-tours

「Product Tours」は、顧客に合わせて最適なチュートリアル機能を提供できるツールです。顧客に応じたシナリオを、カスタマーサクセス担当者が条件等を考慮して作成できるため、計画・実行・改善まで素早く効率的に対応できるという特徴があります。

それぞれの顧客にとって最も必要な情報を、的確なタイミングで提供できるため、顧客満足度向上も見込めるでしょう。

WalkMe

Technology is digital

https://walkme.co.jp/

デジタルアダプションプラットフォームとして、「従業員の生産性向上」と「顧客エンゲージメントの強化」の実現を掲げる「WalkMe」は、ツールの利用状況の分析を重視し、それぞれの顧客に最適なチュートリアルを提供できるツールです。本ツールでは顧客の需要を満たす情報を先回りして表示させることができるため、顧客はヘルプページからの検索や問い合わせを行う必要がほとんどなく、顧客側のストレスを大きく軽減することができます。

Fullstar

Fullstar

https://fullstar.cloudcircus.jp/

「Fullstar」は無料で始められ、チュートリアルを簡単に作成できる、SaaS向けの国産チュートリアル作成ツールです。ノーコードで作成できることが特徴で、顧客自身が活用できる仕組みを作れる「チュートリアル管理機能」が備わっているため、効率的にLTVを最大化することができます。

また、セルフオンボーディングを促進することによってカスタマーサクセス部門の工数を減らし、クオリティの高いUI/UXを実現することが可能。「エンゲージメント・アンケート管理」や「コミュニケーション管理」などの機能も備わっており、様々な視点からLTVの最大化をサポートしてくれます。

pottos

Pottos

https://pottos.jp/

BtoBに特化したカスタマーサクセスマネジメントツール「pottos」は、BtoB SaaSカスタマーサクセスの業務全般をサポートすることで、カスタマーサクセス担当者の支援を行うツールです。「カスタマーヘルスに応じた自動サポート」や、「顧客のSaaS利用状況や設定状況の進捗管理」などの一連の業務を行ってくれるため、詳細な分析や工数削減、対応範囲の拡大などが実現し、効率的にLTV最大化を行うことができます。

顧客側の操作やカスタマーサクセス担当者のタスク等を予め登録しておくことで、自動的にポップアップやメールの配信が行えるため、テックタッチやロータッチ層向けのツールと言えるでしょう。

ZendeskGuide

Zendesk

https://www.zendesk.co.jp/service/help-center/

ヘルプセンター・FAQ構築ソフトウェアである「ZendeskGuide」は、ガイドを作成することができるツールです。セルフサービス型のサポートを行うことで、顧客の自己解決を促進できるという特徴があります。オンボーディングの際に多発するQ&Aをあらかじめ用意しておくことで、企業側のコスト削減・業務効率化を実現しながら、「いつでも利用できる」という顧客側の利便性向上を同時に叶えることが可能です。

顧客が求める答えに迅速かつ簡単にアクセスできるほか、顧客の状況に合わせた情報の提供によってサポートの質を高めることができるため、解約するリスクの大幅な削減が見込めます。

全てのサクセスはオンボーディングから

ユーザーの初期定着支援を行う「オンボーディング」を効果的に実施することで、解約を回避し、安定した収益を確保することが可能になります。特に継続利用が基盤となるSaaSにおいては、ユーザーの解約は死活問題です。SaaSのカスタマーサクセスにおいて、オンボーディングは最も重要な施策といっても過言ではありません。

実際にどのようなことから始めたらいいかわからない方もいると思いますが、現在はフリープランで利用できるツールも多数登場しています。本記事でご紹介した実施ステップを確認したら、まずは無料で始められるツールを試してみるといいでしょう。


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