チャーン分析とは?SaaSの解約率を改善する手法と5つのステップ

チャーン分析とは?SaaSの解約率を改善する手法と5つのステップ

【2025年】カスタマーサクセス実態レポート(AI活用・売上貢献)

CS部門のKPI設計/指標・AI活用などについて興味がある方へ

2025年のカスタマーサクセスのトレンドから、解約率などのKPI・効果があった施策・ツールでの生産性向上など、CS担当200名に行ったアンケート結果も掲載。ちょっと気になる「他社の動き」を見てみませんか?

詳細を見てみる

チャーン分析とは、顧客がサービスを解約する「チャーン」の発生率や原因を深く掘り下げ、事業の継続的な成長を妨げる要因を特定するプロセスのことです。

この分析を怠ると、せっかく獲得した顧客が次々と離れてしまい、LTV(顧客生涯価値)の低下やCAC(顧客獲得コスト)の上昇につながり、事業の基盤が揺らぐおそれがあります。

本記事では、チャーン分析の重要性から、種類別の正しい計算方法、そして改善に繋げるための5つのステップまでをわかりやすく解説します。

次のような課題を感じているSaaS企業の経営層やCS部門の方に特におすすめです。

  • 解約率が高いと感じているが、原因が特定できていない
  • チャーン分析の進め方や手法を知りたい
  • 分析結果を具体的な改善アクションに繋げたい

また、SaaS企業500社以上が導入するテックタッチツール「Fullstar」が、自社のカスタマーサクセス戦略で培ったノウハウをまとめた資料もご用意しています。チャーンレートの改善に本気で取り組みたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

デジタルアダプションプラットフォーム

マニュアルの有効活用・社内問い合わせ削減をしたい方へ

ワークフロー・経費精算・CRM・ERPなど様々な業務システムを「操作に迷わなくする」仕組みで、社内問い合わせを90%削減・マニュアル閲覧率向上!

詳細を見てみる >

目次

チャーン分析とは?何をするのか?

チャーン分析とは
チャーン分析とは、顧客がサービスを解約(チャーン)する根本的な原因を明らかにし、その対策を立てるための一連の活動を指します。

SaaSやサブスクリプション型のビジネスでは、事業の成長を測る上で欠かせない分析の一つです。

単に「今月の解約率は何%だった」と数値を把握するだけでは、十分な分析とは言えません。チャーン分析の目的は、その数値の裏にある「なぜ」を見つけることにあります。

  • どのような顧客が(属性・プラン)
  • どのタイミングで(利用期間・特定のイベント後)
  • なぜ解約に至ったのか(理由・背景)

これらを定量データと定性データの両面から整理し、解約率を下げるための改善策(プロダクト、サポート体制、オンボーディングなど)を立案・実行することが、チャーン分析のゴールです。

関連記事:チャーン(churn)とは?カスタマーサクセスに必須の指標、その意味と計算方法について

なぜチャーン分析がSaaS・サブスクで重要視されるのか

月額・年額で収益を積み上げるSaaS・サブスクリプション型ビジネスでは、チャーンは売上減少に直結する大きなリスクです。そのため、チャーン分析は事業の安定と成長に不可欠な活動として重要視されています。主な理由は次の3つです。

LTV(顧客生涯価値)の向上に直結する

LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは、顧客が契約開始から終了までに自社にもたらす総利益を指します。チャーンレートが高い(=平均契約期間が短い)と、顧客から得られる収益が減り、LTVは大きく下がります。

チャーン分析で解約の原因を明確にし、顧客の定着率(リテンションレート)を高めることは、LTVを伸ばすための有効な手段です。

関連記事:LTVとは?意味と計算方法、重要性、LTV向上施策までわかりやすく解説

新規顧客獲得コスト(CAC)を抑える

多くのSaaS企業では、「1:5の法則」が当てはまるといわれています。これは、新規顧客を獲得するコスト(CAC:Customer Acquisition Cost)が、既存顧客を維持するコストの5倍かかるという経験則です。

もしチャーンレートが高ければ、離脱した顧客を補うために常に高額な新規顧客獲得活動(広告、営業)を行わなければなりません。チャーン分析を通じて解約率を抑えることは、CACの回収効率を高め、健全な利益体質を築く上で重要な取り組みです。

投資家からの企業評価に影響を与える

特にスタートアップやベンチャー企業にとって、投資家からの資金調達は事業成長の大きな原動力になります。投資家は、SaaSビジネスの将来性を評価する際、「ユニットエコノミクス(LTV ÷ CAC)」を重視します。

このとき、チャーンレートはLTVを算出する上で根幹となる指標です。解約率が高いとLTVは低く見積もられ、「投資しても回収できる見込みが薄い」と判断されかねません。

チャーン分析を行い、解約を適切にコントロールできていることを示せれば、投資家からの信頼と高い企業評価に繋がります。

チャーンレートの種類と正しい計算・分析方法

チャーン分析を行う前に、自社がどの「チャーンレート」を追うべきかを明確にする必要があります。

チャーンレートには大きく分けて、顧客数を基準にするものと、収益額をベースにするものの2種類があります。それぞれの計算方法と特徴を正しく理解しておきましょう。

顧客数に着目する「カスタマーチャーンレート」

カスタマーチャーンレートは、最も一般的でシンプルな指標です。特定の期間にどれだけの「顧客数」が離れてしまったかを示します。

計算式
カスタマーチャーンレート(%) = (期間内に解約した顧客数) ÷ (期間開始時の総顧客数) × 100 例 月初に1,000社の顧客がおり、月内に20社が解約した場合: 20社 ÷ 1,000社 × 100 = 2.0%

顧客単価に関係なく、純粋な顧客数の増減を把握できる点が特徴です。ただし、顧客単価に大きな差があるSaaSビジネスでは注意が必要です。例えば、高単価の優良顧客1社の解約と、低単価の顧客1社の解約が同じ「1社」としてカウントされてしまうため、実際の損失規模を見誤る恐れがあります。

まずはこの指標を基礎として、全体の動きを把握することが重要です。

収益額に着目する「レベニューチャーンレート」

特定の期間にどれだけの「収益(MRR:月次経常収益)」が変動したかを示す指標です。顧客ごとに価格が異なったり、複数のプランを提供している場合に役立ちます。

レベニューチャーンレートには主に以下の2種類があります。

グロスチャーンレート

解約やダウングレードによる「損失金額」のみに注目して算出する方法です。プロダクトやサポートの品質、つまり解約を防ぐ力を測るのに向いています。

計算式
グロスチャーンレート(%) = (当月に失った月次経常利益) ÷ (前月末の月次経常利益) × 100

ネットチャーンレート

解約やダウングレードによる損失に加え、既存顧客からのアップセル・クロスセルによる「拡大収益」も考慮して算出する方法です。事業全体の健全性や成長性を示す指標として利用されます。

計算式
ネットチャーンレート(%) = ((当月に失った月次経常利益) - (当月に増えた月次経常利益)) ÷ (前月末の月次経常利益) × 100

【目指すべき理想】ネガティブチャーンとは

SaaSビジネスが目指す理想的な状態に「ネガティブチャーン」があります。これは、前述のネットチャーンレートがマイナス(例:-2%)になる状態を指します。

ネガティブチャーンは、解約やダウングレードによって失った収益(チャーンMRR)よりも、既存顧客のアップセル・クロスセルによる追加収益(拡大MRR)が上回っている状態のことです。

この状態を実現できると、新規顧客を獲得しなくても、既存顧客だけで売上が伸び続けるようになります。

つまり、顧客がプロダクトの価値を高く評価し、継続的に利用していることの証拠です。投資家からも「持続可能性が高い健全なビジネス」として高く評価されます。

関連記事:チャーンレートとは?解約率の種類や計算方法、改善策から重要な理由まで解説

解約率を改善するチャーン分析の5ステップ

チャーンレートの定義が固まったら、具体的な分析プロセスに移りましょう。ここでは、実践で使える5つのステップを順に解説します。

Step1. 分析に必要なデータ収集基盤を整える
Step2. チャーンした定性的な理由を収集する
Step3. チャーンした理由を「コントロール可否」で分ける
Step4. コホート(顧客セグメント)別に解約傾向を深掘りする
Step5. 顧客が離脱する「根本的な理由」を見つける

churn分析

Step1. 分析に必要なデータ収集基盤を整える

分析の第一歩は、信頼できる定量データを集めて一元管理することです。まずは顧客に関する客観的な情報を幅広く集め、解約傾向を把握する土台を作ります。

収集すべきデータ例

  • 顧客属性: 企業規模、業種、所在地、契約期間、契約プラン、契約金額など
  • プロダクト利用ログ: ログイン頻度、アクティブユーザー率、主要機能の利用率、利用時間
  • サポート履歴: 問い合わせ回数、内容、解決までの時間
  • 顧客満足度: NPS(Net Promoter Score)CSAT(Customer Satisfaction)、オンボーディング完了率

これらのデータが社内のさまざまなツールに散らばっていると、横断的な分析は難しくなります。まずはデータを一箇所にまとめ、いつでも参照できる基盤を整えておきましょう。

Step2. チャーンした定性的な理由を収集する

定量データは「何が起きたか」を示してくれますが、「なぜ起きたか」はわかりません。解約の本当の理由を探るには、「顧客の生の声」である定性データが必要です。

データ収集方法は、アンケートやミーティングでのヒアリングが主です。

  • 解約アンケート: 解約手続きの中で選択式・自由記述のアンケートを設けて、理由を回答します。
  • 解約阻止ミーティング: 解約意向を示した顧客に対して、カスタマーサクセスや営業が直接ヒアリングを行い、「何が決め手となったのか」「もし〜だったら継続したか」など、具体的な理由を深掘りします。
  • カスタマーサクセス担当者からのフィードバック: 日常で接する担当者が感じた「予兆」や「顧客の不満」を定期的に集める仕組みを作ります。

Step3. チャーンした理由を「コントロール可否」で分ける

収集した解約理由のすべてに対策を打ち出すとリソースが分散してしまいます。まずは、「自社の対応で改善できるか」を基準に分類します。

コントロール可能な理由(=改善対象の課題)として、例えば以下があげられます。

  • プロダクト関連: 操作が難しい、機能が不足している、バグが多いなど
  • サポート/オンボーディング: 導入時につまずいた、活用提案が不足しているなど
  • 価値実感の不満: 費用対効果が見えない、期待した成果がでないなど
  • 競合乗り換え: 他社製品の方が価格・機能で優位だった場合

コントロールが難しい理由(=深追いしない課題)としては以下が挙げられます。

  • 顧客側の事情: 事業撤退、倒産、吸収合併、、担当者の退職・異動など
  • 外部環境の変化: 法改正や業務要件の変化でサービスが不要になった場合

注力すべきは、「コントロール可能な理由」を改善することです。ただし、「担当者の異動」などの一見コントロール不可能に感じられても、兆候を早めに捉えて後任者の再オンボーディングを提案するなど、アプローチできるかを探る必要があります。

Step4. コホート(顧客セグメント)別に解約傾向を深掘りする

次に、「コントロール可能な理由」で解約した顧客層をさらに深掘りします。顧客セグメント別に細かく分析する「コホート分析」をすれば、全体では見えない特定層の課題を見つけられます。

分析軸(セグメント)の例として以下が挙げられます。

  • 契約プラン別: 特定のプランだけ解約率が高くないか?
  • 業界・業種別: 特定の業界で価値提供にズレがないか?
  • 導入目的別: 「A目的」で導入した顧客は定着するが、「B目的」は解約しがちではないか?
  • 利用開始時期別: ある時期に契約した顧客群だけ解約が多いか(その時期の導入支援に問題はなかったか)
  • 営業担当者別: 特定の営業担当が獲得した顧客の解約率が高いか(期待値のすり合わせに問題があったか)

この分析により、「エントリープランの小売業の顧客が、オンボーディングでつまずき、操作の複雑さを理由に解約している」といった具体的な課題が浮かび上がるはずです。

Step5. 顧客が離脱する「根本的な理由」を見つける

Step3とStep4を掛け合わせて、表面的な理由の奥にある「根本的な理由」を見つけます。「操作が難しい」「価格が高い」といった回答は氷山の一角であるケースが多いので、さらに深掘りしましょう。

よくある理由(プロダクト・カスタマーサクセス視点)としては以下が挙げられます。

  • ツールを使いこなせていない: オンボーディングが機能せず、初期段階で価値を実感できない。
  • 業務に組み込まれていない: プロダクトが「あったら便利」な存在で止まっており、「なくてはならない」日常業務の必須ツールになっていない。
  • 解約の兆候を見逃している: ログイン減少や担当者交代といったサインを検知できず、対応が遅れている。

より根本的な理由(事業・営業面)として想定されるものは以下です。

  • コアターゲットのズレ:本来価値を提供できる顧客像と、実際に獲得している顧客が合致していない。
  • 営業時の訴求内容のミスマッチ: 営業時に提示した期待値と、実際の提供価値がずれており、不満が出ている。

ある程度根本的な理由がまとまってきたら、それらに対する対策を考えましょう。一例として以下のケースが挙げられます。

  1. 操作・システム関連の問題(使いこなせない):顧客がつまずくポイントを洗い出し、手順やガイドで先回りしてサポートします。例えば、ノーコードでチュートリアル作成ができる「Fullstar」を活用すれば、ガイドに従って操作していくと初期設定が完了でき、オンボーディングの完了率向上につながります。
  2. 顧客の動き(見逃している):ログインの低下や利用機能の変化をトリガーにアラートを上げ、段階的にフォローを行います。顧客ステータスを「オンボーディング中」「活用中」「停滞中」などで管理すると対応がスムーズです。
  3. 事業・営業面の根本理由(ズレ):理想的な顧客像を再定義した上で、マーケティングや営業資料の訴求点をプロダクトの実際の価値に合わせて修正します。場合によっては、プラン設計や価格戦略の見直しも検討してください。

関連記事:SaaS企業の解約防止戦略|チャーンを防ぐカスタマーサクセスの実践法

解約率を改善する5つのポイント

チャーン分析によって根本的な課題が見えてきたら、次は具体的な改善施策を実行に移します。ここでは、SaaSビジネスで特に効果が実証される5つの改善ポイントをご紹介します。

1.オンボーディングの最適化

顧客が契約後に初めてサービスに触れる「オンボーディング」は、その後の定着率を左右する重要なプロセスです。

The State of Customer Onboarding 2024のレポートによると、 60%の企業がオンボーディングを専任の役割としてチームや担当者を設置しており、70%の企業がオンボーディングプロセスの改善を課題として認識していることが明らかになっています。
 churn-analysys

オンボーディングが完了していない顧客は、完了した顧客に比べて解約率が著しく高くなる傾向があります。顧客がサービス価値を早期に実感し、自ら使いこなせるように到達できるよう、プロセス全体を丁寧に見直してみましょう。

2.ハイタッチとテックタッチを組み合わせたアダプション支援

オンボーディング後の「アダプション(活用・定着)」の段階では、顧客のLTVや契約プランに応じて、サポートの濃淡をつけることが重要です。

  • ハイタッチ:専任のカスタマーサクセス担当者が定期的なミーティングや提案を行う、手厚い個別支援。
  • テックタッチ: チュートリアル、ガイド、ステップメール、ウェビナーなどを活用し、効率的な支援。

これらを組み合わせてリソースを最適化することで、すべての顧客がより良い成功体験を得られるようになります。
一番おすすめは、ハイタッチ対応における「活用提案」「エクスパンション提案」の時間を増やすために、定型業務をテックタッチで自動化・効率化するという組み合わせです。
よく、ハイタッチとテックタッチは顧客セグメント(LTVの大小やポテンシャル)における対応方法というイメージを持つ方も多いですが、
どちらかというとカスタマーサクセス担当の業務を分類するという考え方の方が良いです。

例えば、クリニックなどの予約システムを取り扱うSaaS企業「リザービア株式会社」では、テックタッチツール「Fullstar」によるチュートリアルガイドを活用することで、CS担当のオンボーディング工数を削減、ツールの活用提案に割く割合を創出し、顧客満足度や定着率が大幅に向上しています。
リザービア様事例

関連記事:リザービア様|Fullstar事例

3.顧客の声(VoC)に基づいたプロダクト改善

チャーン分析で得た「顧客の声(VoC:Voice of Customer)」は、解約防止だけでなく、プロダクトを磨くための大切な情報源です。

「機能Aが使いづらい」「機能Bが足りないため解約した」といった具体的な意見は、開発ロードマップの優先順位付けに直結します。

例えば、テックタッチツール「Fullstar」に搭載されたアンケート機能を使えば、プロダクト利用中の画面上で、顧客満足度や要望をヒアリングできます。

これにより、不満を表に出さずに解約してしまう「サイレントチャーン」を防ぎ、継続的な改善サイクルを回すことができます。

4.アップセル・クロスセルによる活用促進の提案

顧客がサービスの活用に慣れ、一定の成果が感じ始めたタイミングで、さらなる成功体験に繋がる「アップセル(上位プランへの変更)」や「クロスセル(別機能の追加契約)」を提案するのも効果的です。

より深くプロダクトを使いこなしてもらうことで、顧客の業務に自然と組み込まれ、他社サービスへの乗り換える際のコストも高まります。結果として、解約率の低下と収益の安定化の両方を実現できます。このような施策は「ネガティブチャーン(解約以上の売上拡大)」を目指す上でも重要です。

5.解約危機アラートの実施

多くの解約は突然起こるわけではなく、必ず何らかの「兆候」が表れます。これらを早期に検知し、手遅れになる前に対応する仕組みを整えることが大切です。

解約の主な兆候

  • ログイン頻度の急激な低下
  • 主要機能の利用停止
  • サポートへの問い合わせが急増、または全くなくなる
  • NPSスコアの悪化

こうした兆候を自動検知するのが「アラート機能」です。

例えば「Fullstar」では、管理者が設定した条件(例:30日間ログインがない、特定機能を未使用など)に基づいて、該当する顧客を自動で担当者に通知します。この仕組みによって、属人的になりやすい「顧客の変化への気づき」を自動化でき、迅速なフォローが可能になります。

 アラート通知

関連記事:解約率(チャーンレート)を下げる方法、8つの戦略と改善事例を紹介

業界や企業規模による平均解約率の目安

チャーン分析を進める中で、「自社のチャーンレートは高いのか、低いのか」と疑問に感じる方も多いでしょう。一般的な目安を知ることで、自社の状況を客観的に把握しやすくなります。

ただし、これらの数値はあくまで参考値です。ターゲット市場やプロダクトの性質によって大きく変動するため、単純な比較には注意が必要です。

  • 企業規模別の月次チャーンレート目安(BtoB SaaS)
    • 中小企業(SMB)向け: 3%〜7%
    • 中堅企業(Mid-Market)向け: 1%〜2%
    • 大企業(Enterprise)向け: 0.5%〜1%

出典:The Innovator's Dilemma for SaaS Startups | Tomasz Tunguz

一般的に、顧客基盤が安定し、乗り換えコストが高い大企業向けサービスほど、チャーンレートは低くなる傾向があります。

  • 業界別の目安
    • ソフトウェア: 約2.8%
    • デジタルメディア&エンターテイメント: 約5.36%
    • 教育: 約5.43%

出典:Customer churn benchmarks: How does your churn rate compare? | Recurly

自社のビジネスモデルに近いセグメントの数値を参考にしながら、最終的には「自社の過去データと比較して改善しているか」を重視しましょう。他社との比較よりも、自社の成長トレンドを見極めることが何より大切です。

チャーン分析を行うべきタイミング

チャーン分析は、一度実施して終わりではありません。事業の成長段階や市場の変化に合わせて、継続的に実施していく必要があります。

特に以下のタイミングでは集中的な分析を行うのがおすすめです。

1.定点観測として(月次・四半期次)

最も基本的なタイミングです。毎月または四半期ごとにチャーンレートを算出し、前月比や前年同月比での変化を確認します。これにより、異常値や季節変動をいち早く察知できます。

2.チャーンレートが急上昇した時

設定した数値を超えて解約率が上昇した場合は、すぐに原因を探りましょう。特定の顧客層(Step4参照)で問題が起きていないか、直近のプロダクトリリースや価格改定が影響していないかを丁寧に分析します。

3.事業戦略・プロダクトの大きな変更時

料金プランの改定、新機能のリリース、ターゲット市場の見直しなど、戦略的な変更を行った前後では、チャーンレートの変化を確認することが重要です。 変化の傾向を把握することで、施策の有効性をより正確に判断できます。

チャーン分析を行うために必要なこと

チャーン分析を継続的な改善に繋げるためには、適切なツールと体制を整えることが必要です。ここでは、分析の精度と効率を高めるために押さえておきたいポイントをご紹介します。

カスタマーサクセスツールでデータの一元管理・可視化を行う

チャーン分析のStep1でも触れたように、分析の土台となるのは「データ」です。顧客の利用ログ、契約情報、サポート履歴などが別々に管理されていると、正確な分析が難しくなります。

「Fullstar」のようなカスタマーサクセスツールやMA(マーケティングオートメーション)ツール、CRM(顧客管理システム)、SFA(営業支援システム)を活用すれば、これらのデータを一元化し、顧客の状態を見える化できます。

どの顧客が順調に活用しているのか、どの顧客が解約リスクを抱えているのかをひと目で把握でき、分析のスピードと精度が大幅に向上します。

顧客の解約兆候の検知とアプローチ

データを可視化するだけでは、解約防止にはつながりません。重要なのは、データから「解約の兆し」を見つけ、早い段階で対応することです。

利用率が下がっている顧客や、アラートが発報された顧客に対しては、カスタマーサクセス担当者が原因をヒアリングし、適切な支援(テックタッチまたはハイタッチ)を行います。この「分析 → 検知 → 行動」というサイクルを仕組み化することで、チャーン分析を確実に成果へと結びつけられます。

【事例】年次解約率が8.3%改善!プロフェッショナルサービスの継続率は25%UP!

アローリンク様事例
チャーン分析とツール活用によって大きな成果を上げた事例として、採用管理ツール「採マネnext≫」の開発・運営、LINEマーケティングツール「Liny」運用サポートを手がける株式会社アローリンク様の取り組みをご紹介します。

同社では、採用管理ツールの提供にあたり、サポートチームがサポート業務のみを担当しており、チャーンレートの高さが課題となっていました。

そこで「Fullstar」を導入し、カスタマーサクセス支援の手厚さと信頼性を実感したことをきっかけに、コンサルティングも依頼。カスタマーサクセスの基礎設計だけでなく、目標達成までのプロセスや顧客への伝え方など、細部にわたるアドバイスを受けながら体制を整えていきました。

その結果、年間目標を達成することができ、特に解約率の低下とサポート支援の継続率向上に顕著な効果が見られています。カスタマーサクセスを立ち上げた当初は20%だったチャーンレートが、11.7%まで改善。さらに、サポート支援の継続率も25%アップするという成果を実現しました。

参考記事:年次解約率が8.3%改善!プロフェッショナルサービスの継続率は25%UP!株式会社アローリンク様|導入事例

チャーン分析は顧客と向き合うための第一歩

チャーン分析は、単に解約率という数値を追いかける作業ではありません。その数値の裏にある「なぜ顧客は離れてしまったのか」という理由を丁寧に読み解き、顧客の成功実現に向き合うための第一歩です。

分析で明らかになった課題(オンボーディング、プロダクトの操作性、サポート体制など)をひとつずつ改善していくことで、解約率の低下だけでなく、LTVの最大化やビジネスの持続的成長にも繋がります。

SaaS企業500社以上の導入実績を持つ「Fullstar」は、こうした分析後の具体的なアクションをサポートします。ノーコードでチュートリアルやガイドを設置し、顧客のセルフオンボーディングを促進することで、カスタマーサクセス部門の工数を削減しながら、データに基づいた解約率改善を実現します。

分析結果を確実な成果へと繋げる基盤として、「Fullstar」の活用もぜひご検討してみてください。

【3分でわかる】Fullstar(フルスタ)概要資料

Fullstar概要資料

フォーム入力後、資料を閲覧できます。

無料プランで始める

書類不要!最低利用期間なし!
ずっと無料で使えるアカウントを発行

  1. TOP
  2. 製品
  3. Fullstar(フルスタ)
  4. media
  5. CSコラム
  6. チャーン分析とは?SaaSの解約率を改善する手法と5つのステップ