解約率(チャーンレート)を下げる方法、8つの戦略と改善事例を紹介

解約率(チャーンレート)を下げる方法、8つの戦略と改善事例を紹介

解約率(チャーンレート)は、サブスクリプション型ビジネスにおいて、利益の安定性や顧客との関係性を測る重要な指標です。しかし、どれだけ新規顧客を獲得しても、離脱が止まらなければ利益は積み上がりません。特に昨今は、解約率の改善に向き合わなければ競合に顧客を奪われてしまう時代です。

本記事では、実際のデータや事例を交えながら、なぜ解約率に注目すべきなのか、そして今すぐ取り組める具体的な8つの戦略を解説します。改善事例とあわせて、自社で活かせるヒントを探ってみてください。

目次

解約率(チャーンレート):指標の意味

解約率は、一定期間内に契約を終了した顧客の割合を表す指標です。解約者数を示すだけの数値と捉えられがちですが、事業の安定性や顧客からの評価、競争状況までを映し出す多面的なデータとして重要視されています。数値の大小だけを追うのではなく、その背景にある理由を読み取ることで、サービスや組織運営の改善点が見えてきます。

ここでは、解約率が示す意味を3つの観点に分けて整理します。

関連記事:チャーンレートとは?種類や計算方法、解約率の改善策から重要な理由まで解説

ビジネスの持続可能性と意思決定

解約率の変動は、将来の売上や経営判断に影響します。サブスクリプション型ビジネスでは、顧客が長く使い続けてくれることが前提です。解約率が低ければ、翌月以降の売上もある程度見込めるため、広告や人員配置、機能強化への投資など、さまざまな計画が立てやすくなります。

しかし、解約が相次ぐと、事業の見通しは不安定になります。特にLTV(顧客生涯価値)を重視するビジネスでは、契約がどれだけ続くかによって、利益構造は変わってきます。

つまり、解約率は今ある売上ではなく、これから得られる利益を測るバロメーターです。数値の上下だけを見るのではなく、なぜその変化が起きているのかを読み解くことで、意思決定の精度が高まります。

顧客満足度・便益の提供

顧客が契約を続けるかどうかは、そのサービスが価格以上の価値を感じられるかどうかにかかっています。どれほど機能が充実していても、支払った金額に見合っていないと感じれば、継続は難しくなります。反対に多少の不便があっても、得をしていると感じられれば、離脱される可能性は低く抑えられます。

重要なのは、期待に応えるだけでは不十分であるということです。機能や対応、使い心地といった基本的な要素に加え、予想を上回る使いやすさや丁寧な対応など、プラスの印象を与えられるかどうかが、満足度を引き上げます。

実際、多くのBtoBサービスでは、成果や競合との比較だけでなく、継続する意味を見いだせるかといった感覚的な評価も、契約の更新判断に影響を及ぼします。

したがって、解約率の上昇は期待を上回る体験が提供できていないサインと捉えることができます。品質や価格といった表面的な基準だけでなく、顧客が実感する価値にこそ目を向けるべきです。

対競合における競争力

解約の背景には、他社サービスとの比較が影響しているケースも見受けられます。近年は機能や価格に差がないプロダクトが増えており、そのぶん選ばれる理由は、導入のしやすさやサポートの対応力、継続的な改善といった体験の質へと移行しています。

他社のほうが対応に優れていれば、多少の不満があっても乗り換えを選ぶ利用者は一定数存在します。明確な不具合がなくても、使いにくさや細かな不親切が積み重なれば、それだけで契約継続を見直す十分な動機になり得ます。

こうした流出の兆しは、表面上では把握しづらいものの、解約率には如実に反映されます。競合と比較したときに見劣りする点がないか、機能だけでなく、提供している体験全体を定期的に見直す必要があります。

サブスクリプションビジネスの業界別平均解約率

サブスクリプション型のサービスでは、解約率が高いからといって、すぐに問題視する必要はありません。業界ごとに契約スタイルや利用期間、顧客単価が異なるため、比較すべき基準もそれぞれ違います。

代表的な月間解約率の目安は以下の通りです。

  • BtoC(動画配信サービス):5〜10%
  • BtoC(モバイルアプリ):10%を超えることも
  • BtoB(法人向けSaaS):1〜3%(理想は1%未満)

なかでもBtoBでは、1件あたりの契約単価が高く、長期利用が前提となるため、1%未満に抑えることを目標とする企業も多く見られます。反対に、BtoCでは一定の解約を見越したビジネスモデルが一般的であり、多少の離脱があっても想定内とされています。

また、BtoCサービス別の利用率と累積解約率を整理すると、サブスクリプション継続の難しさがより鮮明に見えてきます。

以下は、國學院大學経済学部・宮下雄治教授が実施した消費者調査アンケートの結果です。サブスクリプションやECサービスの利用経験がある、日本在住の20〜50代の男女1,035人を対象に行われました。

サービスの種類 利用率(%) 解約率(%)
動画配信 70.0 55.1
音楽配信 43.3 43.2
電子書籍 18.8 58.2
ゲーム 12.9 58.4
宅食 5.6 55.4
コスメ 5.1 66.7
洋服の定期便 3.9 53.8
飲食店 2.9 62.1
家電・家具 2.7 59.1
自動車 2.6 69.2
美容院 2.1 52.4
バッグ 1.7 58.8

ここから読み取れるのは、リアルなモノのやり取りや高価格帯の商材を扱うサービスほど、継続が難しい傾向にあるということです。自動車やコスメ、外食系のサービスでは、6〜7割のユーザーが途中で離脱しています。

一方、音楽配信のように日常の習慣として組み込まれるサービスは、比較的長く使われる傾向が見られます。動画配信は利用者数は多いものの解約率も高く、使ってはやめるという循環型の利用が主流になっている様子がうかがえます。

自社の解約率を評価する際は、「どの領域と比べ、どこに改善の余地があるのか」という観点を持つことが判断の軸になります。改善に取り組む前に、まずは自社の現在地を冷静に見つめ直しましょう。

参考:『ダイヤモンド・オンライン』「20代でサブスク離れが急増中!解約されないサービスの特徴とは」

解約率(チャーンレート)を下げることの重要性

解約率が高い状態が続くと、どれだけ顧客を獲得しても利益が積み上がらず、ビジネスの成長は鈍化してしまいます。逆に言えば、解約を防ぐ工夫ができれば、顧客との関係は長く続き、事業基盤は安定します。

ここでは、解約率が企業活動にどのような影響を与えるのか、そしてなぜ早期の改善が重要なのかを解説します。

解約率が高い = ビジネスとして持続可能性が低い

サブスクリプション型ビジネスにおいて、解約率の高さは事業の持続性に影響します。その大きさは、数値に置き換えてみるとより明確です。

たとえば、月額1万円のツールを100社が利用しているとします。月間解約率が10%だと、1年後に残っているのはわずか約28社です。一方で、解約率が3%に抑えられていれば、約70社が継続利用している計算になります。この差は、単なる顧客数の違いにとどまりません。LTVにも影響を与え、結果として事業全体の安定性に直結します。

顧客が長く利用し続けてくれれば、そのぶん売上は積み上がり、継続的な収益が見込めます。すると、その資金を新しい機能の開発やカスタマーサポートの強化など、さらなる成長に向けた再投資に回すことができます。ですが、解約が多ければ、せっかく獲得した顧客がすぐに離れてしまい、収益は停滞します。営業や広告にかけたコストが回収できず、赤字リスクが高まることになります。

解約率の抑制は、短期の離脱を防ぐ施策ではなく、中長期的な収益の安定化と将来の成長余力を確保するための戦略です。継続して使いたくなるサービスづくりは、サブスクリプション型ビジネスにおいて最も根本的な競争力のひとつと言えるでしょう。

新規顧客の獲得は既存顧客の維持の5倍大変

ひとりの新規顧客を獲得するまでには、広告運用、資料請求対応、商談、クロージングといった複数の工程が発生します。一般的に新規顧客を獲得するコストは、既存顧客との関係を維持するよりもおよそ5倍と言われています。

そのため、すでに契約している顧客に満足してもらい、継続してもらうほうがはるかに効率的です。顧客の離脱を減らすことで、獲得コストの削減だけでなく、リソースをプロダクトの改善や次の施策に回すこともできるようになります。

解約率の低下は、守りの対策に見えるかもしれませんが、実際は事業の成長を後押しする「攻め」の一手でもあります。

サブスクリプション利用者の3人に1人は「お試し期間」で去っていく

サブスクリプション型サービスでは、利用初期の数か月が継続の可否を左右します。國學院大學経済学部・宮下雄治教授が行った調査によると、全体の33%が無料期間の終了をきっかけに解約し、さらに55%が半年以内にサービスから離脱しているとの結果が出ています。

このデータからわかるのは、サービスとユーザーとの最初の接点、つまり第一印象がその後の利用継続に影響するという点です。もし、有料プランへの切り替え直後に「内容が価格に見合っていない」と感じさせてしまえば、そのタイミングで離脱される可能性が高まります。

しかし、導入の段階で迷わず使い始められ、ユーザーに役に立つと感じられれば、継続のハードルは一気に下がります。丁寧な案内や利用イメージをつかみやすいガイド、必要な情報にすぐ手が届く設計など、最初のサポート体制が、その後の信頼感や満足度を高めるきっかけになります。

出典:ダイヤモンド・オンライン「20代でサブスク離れが急増中!『解約されないサービスの特徴』とは」

解約率を下げる方法【8つの戦略】

解約を防ぐための方法は多岐にわたりますが、特に効果が期待できる8つの戦略を紹介します。

  • オンボーディングプロセスの改善...初期利用時の支援で、顧客の離脱リスクを下げる
  • 更新タイミング前に必ず連絡を取る...自動更新の前に一言添えるだけでも、印象が大きく変わる
  • マニュアル・動画・FAQによる自己解決...利用者が迷わず使える環境を整備する
  • 定期的なアンケート実施...顧客の声を拾い上げ、改善点を見つける手がかりにする
  • ロイヤリティプログラムの活用...継続利用を促す工夫として、インセンティブを設ける
  • カスタマーサクセスの強化・ツール活用...利用状況を把握し、先回りで課題に対応する
  • 顧客獲得・マーケティング戦略の見直し...適切なターゲットにリーチできているかを再検討する
  • 製品・機能の改善、サービス内容の追加...魅力を保ち続けるための定期的なアップデート

以下では、これらの戦略について1つずつ解説していきます。

オンボーディングプロセスの改善

オンボーディングとは、新しくサービスを使い始めたユーザーがスムーズに機能を理解し、早い段階で価値を感じられるようサポートする導入支援のことを指します。この初期段階での体験がうまく設計されていないと、使いこなせないまま離脱してしまう可能性が高くなります。

カスタマーサクセスツール「Fullstar(フルスタ)」の調査によれば、解約したユーザーの約8割が「オンボーディングを完了できなかった」と回答しています。この結果からも、導入初期のサポートが契約継続に及ぼす影響の大きさがうかがえます。

オンボーディングを成功させるには、ユーザーの状況に応じたサポート手法(ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ)を適切に使い分けることが、継続率の差を生む要因となります。あわせて、短期間で効果を実感できる「クイックウィン」の提示や、利用状況の可視化なども継続意欲を高めるうえで効果的です。

関連記事:オンボーディングとは?SaaSのカスタマーサクセスにおける重要な施策について徹底解説

更新タイミング前に必ず連絡を取る

継続の意思があっても、更新に関する情報が十分に共有されていなければ、思わぬ誤解や不満を招くことがあります。特に、自動更新を導入しているサービスにおいては、「気づいたら更新されていた」という経験が、顧客の不信感につながりかねません。

そのような事態を防ぐためにも、更新前にはあらかじめ一報を入れることが大切です。契約の更新時期や内容について、簡潔かつ丁寧に案内することで、企業側の姿勢や顧客への配慮が伝わります。

このタイミングは、サービスの利用状況を振り返ってもらう良い機会でもあります。満足度の高い顧客に対しては、継続意欲を後押しするきっかけになり、懸念がある顧客に対しては、フォローや改善提案を行うチャンスになります。

更新通知の手段としては、メールやポップアップ、管理画面上のバナー表示などが考えられますが、顧客層や業種に応じて、最適なチャネルを見極める視点が求められます。また、単なる通知に留まらず、担当者のひと言や過去の利用実績に触れたメッセージを添えることで、形式的ではない印象を与えられます。

こうした丁寧な接点の積み重ねは信頼関係を深める一助となり、離脱を防ぐ働きも期待できます。

マニュアル・動画・FAQによる自己解決

ユーザーがサービス利用中に疑問やつまずきを感じた際、すぐに自分で解決できる環境が整っていれば、不要なストレスや離脱のリスクを抑えることができます。マニュアル、FAQ、動画チュートリアルといった自己解決型のコンテンツは、サポート窓口への依存を軽減し、ユーザー体験の質を支えます。

自己解決の仕組みを設けるうえでは、ただ情報を増やすだけでは不十分です。利用者が何を知りたいのか、どのような検索語句を使うのかを分析し、整理された構造と分かりやすい導線を設計する必要があります。具体的には、FAQの見出しをユーザーの課題視点で書き換える、動画ガイドを業務別に分類する、といった配慮が有効です。

また、情報の更新頻度にも注意が必要です。製品の仕様が変わっても解説ページが古いままだと、誤解を生む原因となり、かえって混乱を招きます。最新の情報に保つためにも、リリースノートと連動してナレッジを自動更新する仕組みや、定期的なレビュー体制を整えておくとよいでしょう。

疑問をその場で解消できる環境は、安心して使い続けてもらううえで不可欠です。ユーザーが自分の力で使いこなせていると実感できれば、利用の継続にも前向きになりやすくなります。

定期的なアンケート実施

顧客の不満や離脱の兆しを早期に察知するには、定期的なアンケートが有効です。直接のフィードバックが得られにくいBtoBサービスにおいては、形式的な調査ではなく、本音を引き出す工夫が問われます。

設問数は少なくてもよく、ポイントは「今どこに課題があるのか」「どの機能が役立っていないと感じているか」といった、具体的かつシンプルな内容に絞ることです。自由記述を加えておくと、選択肢では拾えない意見が得られる場合もあります。回答の負担感を抑えることで、無理なく継続的な回収が可能になります。

アンケートの結果は、ただ集めるだけでは意味がありません。社内で定例的に共有し、改善策や優先度の判断材料として活用することが大切です。また、ユーザーには「いただいた意見をもとにこの変更を行った」と伝えることで、参加意欲や信頼感を高める効果も期待できます。

双方向の姿勢を継続することで、顧客との関係性を深めながら、解約の芽を早期に摘む体制を築くことができます。

ロイヤリティプログラムの活用

サービスの利用を長く続けてもらうためには、日々の利用に加えて、企業への愛着や親近感を高めるしくみを用意しておくと、長期的な関係づくりに効果的です。その一つが、ロイヤリティプログラムの導入です。

契約年数に応じた段階的な特典を用意したり、利用頻度に応じてポイントやバッジを付与したりすることで、サービスを続ける意義を視覚的にも訴求できます。特典の内容は、実用性のあるクーポンや限定コンテンツ、契約更新時の割引など、顧客の関心に合わせて設計することが望ましいです。

ただし、インセンティブが過度になると、運用コストが膨らむだけでなく、条件を満たせなかったユーザーにとって不公平感を生むおそれもあります。そのため、全体設計としては、サービス本体の価値を補完するきっかけとして位置づけることが現実的です。

導入にあたっては、ダッシュボードに「今月の利用状況」や「次の特典までのステップ」を表示するだけでも、継続意欲を促す効果があります。視覚的に進捗が分かることで、自然と次回も使おうという意識が芽生えます。

カスタマーサクセスの強化・ツール活用

SaaSサービスでは、導入後の支援体制が継続率に影響します。そこで注目されているのが、顧客と継続的に関わるカスタマーサクセスの取り組みです。

カスタマーサクセスとは、ユーザーが製品をしっかり使いこなし、成果を実感できるよう支援を続ける活動のことです。ツールの操作に迷ったり、期待した成果が出なかったりする場面では、早めにフォローすることで解約を防ぐ効果があります。顧客の状態を見ながら一歩先の支援を行うことで、解約率の低下が期待できます。

カスタマーサクセスの強化に成功した一例として、株式会社アローリンクの取り組みが挙げられます。同社は、解約率の高さを受けてクラウドサーカスのコンサルティングサービスを導入。サポート体制を見直し、カスタマーサクセス部門を立ち上げました。注力したのは「行動の見える化」です。導入直後のフォローや、成果が出た顧客への紹介依頼など、タイミングを定めた働きかけを標準化しました。

その結果、年次解約率は20%から11.7%に改善。サポート継続率も50%から75%へと伸びました。また、顧客との関係性の中で自然と新規紹介が生まれるようになり、カスタマーサクセス担当者による新規獲得も視野に入る体制が整いつつあります。

カスタマーサクセスの強化には、ツールの活用も欠かせません。人的対応だけでは限界があるため、タイミングに応じた情報提供や利用状況の可視化など、支援を補完する機能が求められます。CSツール「Fullstar」のようなツールなどを使えば、画面上で必要な情報を届けたり、顧客の状態を可視化したりすることができます。

カスタマーサクセスを強化することで、顧客との関係が深まり、アップセルやクロスセルも得られやすくなります。その流れを支えるには、日々の対応に加えて、適切なツールで支援の仕組みを整えておくことが肝要です。

参考:年次解約率が8.3%改善!プロフェッショナルサービスの継続率は25%UP!株式会社アローリンク様

関連記事:SaaS企業の解約防止戦略|チャーンを防ぐカスタマーサクセスの実践法

顧客獲得・マーケティング戦略の見直し

解約率を下げるには、まず「誰に届けているか」を確認する必要があります。どれだけ魅力的な内容でも、ターゲットと合っていなければ長く使われることは難しくなります。

特に新規顧客の獲得段階で、サービスへの期待と実際の内容にギャップがあると、利用直後に離脱されやすくなります。広告や営業トークに誤解を招く表現が含まれていないかを振り返り、サービスの本質が正しく伝わる内容になっているか見直しましょう。

改善策の一つとして、過去に継続率が高かった顧客の特徴を分析し、代表的な利用者像(ペルソナ)を再設定する方法があります。ペルソナとは、サービスを利用する典型的な顧客像をモデル化したもので、マーケティングや開発の方向性を決める指標になります。

また、営業・マーケティング活動では、見込み客の関心度や購入意欲を点数化する「スコアリング」の導入も効果があります。関心の高い相手に優先的にアプローチできれば、無理のない顧客獲得が実現しやすくなります。

解約の背景には、サービスの内容よりも顧客にどのように訴求したかが影響していることもあります。だからこそ求められるのは、ターゲットの見直しと伝え方の設計です。適切なターゲット設定と情報設計が、顧客との長期的な関係づくりの土台となります。

製品・機能の改善、サービス内容の追加

ユーザーのニーズは日々変わります。長く使い続けてもらうには、サービス側も進化を止めないことが大切です。利用者の声をもとに改善を積み重ねることで、自然と継続率も伸びていきます。

「この機能が足りない」「操作が煩雑」といった声を見逃してしまうと、ユーザーは他社に乗り換えてしまうこともあります。小さな要望であっても、実際に活用している現場の声には、継続のヒントが詰まっています。

改善を進めるうえでは、ユーザー調査やアンケートだけでなく、営業やカスタマーサポートなど顧客と接点のある部門の意見も積極的に取り入れましょう。開発部門だけで考えるのではなく、現場の課題意識を反映させることで、実態に即したアップデートが可能になります。

「常に改善が続くサービスである」という印象を持ってもらえると、ユーザーの期待や信頼も自然と高まり、継続率やアップセルの向上を図れます。

解約率の改善事例

解約率の改善に取り組み、成果を上げた企業の事例には多くのヒントがあります。ここでは業種やサービス形態の異なる3社が、それぞれの課題にどう向き合い、継続率を高めたかをご紹介します。

【株式会社プレイド】サポート型CSからの転換で解約率改善、500社導入規模に拡大

CXプラットフォーム「KARTE」を提供する株式会社プレイドでは、導入企業数の増加に伴い、自社での活用が難しい顧客の離脱が課題となっていました。従来のカスタマーサクセスチームは主にトラブル発生時の対応が中心で、顧客の成果支援には十分に踏み込めていなかったのです。

この課題に対して、同社は2019年から2020年にかけてCSを強化する戦略へと舵を切りました。顧客の活用状況を丁寧に分析し、継続的なコミュニケーションを通じて利用促進を図る体制に転換。チームの人員も増やし、製品面とサポート面の両側から支援する仕組みを整備しました。

この体制変更により、KARTEの解約率が改善し、月次経常収益(MRR)の伸びも加速。現在では500社以上がKARTEを導入しており、利用企業の裾野が広がっています。

参考:「狙った通りの反応で結んだ契約か?」契約数で判断せず顧客満足の内実を突き詰めた、プレイドのPMF秘話

【株式会社ベーシック】解約率70%から1桁台へ 支援強化とターゲット再定義で改善

BtoBマーケティングツール「ferret One」を展開する株式会社ベーシックは、リリースから1年後に年間解約率70%という深刻な状況に直面しました。想定していた顧客像と、実際に利用していた層との間に乖離があり、どちらの層にも継続利用してもらうことは難しかったのです。

この事態を受け、同社はターゲットの再定義を実施。BtoBマーケティングに本腰を入れて取り組む企業に対象を絞り、月額利用料を5万円から10万円に見直しました。並行してツール提供だけでなく、Webサイト制作やマーケティング施策の提案など、手厚い支援を行う体制に刷新。また、営業スタイルも課題の深掘りを重視する方針に切り替えました。

その取り組みの成果として、解約率は大幅に低下し、現在では解約が発生しない月も出てきています。顧客からの評価も高まり、MRRは前年同月比で約200%の伸びを記録累計導入企業数は1,000社を突破し、事業拡大が順調に進んでいます。

参考:毎月数十件の受注も「鬼のようなチャーン」に直面、ferret OneのPMFストーリー

【Netflix】初期解約10%→2%未満に 新規ユーザー行動の可視化と改善施策が奏功

動画配信サービスのNetflixは、1997年にDVD郵送レンタルを開始した当初、月間解約率が10%前後という高水準で推移していました。多くの新規会員が、作品リストの作成方法がわからず、観たい作品を登録できないまま利用をやめてしまっていたのです。

そこでNetflixは新規ユーザーの初期行動に注目。ヒアリングやログ分析を通じて、課題となるポイントを特定しました。「初回利用時に3作品以上をリスト登録する割合」に着目し、登録プロセスや説明文の見直しを進めました。

こうした取り組みを重ねた結果、作品登録率は70%から90%へと向上。解約率も2002年には6%、2005年には4.5%、現在では2%前後まで下がっています。ユーザー行動をもとに改善を積み重ねたことで、長期利用への導線を整えた好例といえます。

参考:Netflix 解約率の推移

解約率を下げる方法を本気で考え、実践したい方へ

サブスクリプションビジネスにおける解約率の改善は、売上の安定化だけでなく、企業全体の成長戦略にも直結します。今回紹介した8つの戦略は、すぐに始められる施策から、体制そのものを見直す取り組みまで、幅広いアプローチを網羅しています。

なかでも鍵となるのは、「顧客にどれだけ寄り添えているか」を可視化し、的確に対応できるかどうかです。ユーザーの行動や声に丁寧に向き合い、一歩先の価値を届ける努力が、契約の継続に結びつきます。

もし「何から始めるべきか分からない」「既存施策では限界を感じている」とお悩みでしたら、カスタマーサクセスツール「Fullstar」の導入をご検討ください。

Fullstarでは、ユーザーのつまずきや離脱リスクを事前に察知し、タイミングを逃さず適切なサポートを届けることが可能です。オンボーディング支援からFAQの改善まで、幅広い機能でカスタマーサクセス業務を後押しします。

資料では、他社の成功事例や具体的な活用方法もご紹介しています。

▶【無料DL】Fullstarのカスタマーサクセス支援資料はこちらから

継続率の改善は、単なる解約対策にとどまりません。顧客との信頼を積み重ね、長く選ばれ続ける企業になるための第一歩です。ぜひこの機会に、自社の現状を見直すヒントとしてお役立てください。

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