マニュアル作成において、多くの企業で利用されているのがマイクロソフト社のエクセル(Excel)とワード(Word)です。どちらも使い慣れたツールですが、「一体どちらで作成するのが正解なのか?」と悩むバックオフィスや管理部門のご担当者様は少なくありません。
ツールの選定を誤ると、作成効率が落ちるだけでなく、更新や管理に余計な手間がかかり、結果として「誰にも使われないマニュアル」が生まれてしまうことにも繋がります。
本記事では、マニュアル作成におけるエクセル(Excel)とワード(Word)のメリット・デメリットを徹底比較し、どのような目的のマニュアルにどちらのツールが適しているのかを、具体的な例を挙げて分かりやすく解説します。
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目次
マニュアル作成のツールを選ぶ前に、まずは「良いマニュアル」とは何か、そしてエクセル(Excel)とワード(Word)というツールの根本的な違いを理解しておくことが重要です。この基本をおさえることで、なぜ特定の作業にどちらかのツールが向いているのか、その理由が明確になります。
効果的なマニュアルは、次の3つの要件を満たしている必要があります。
これらの要件を、どのツールを使えば最も効率的に満たせるのか、という視点で比較検討することがツール選定の鍵となります。
二つの最大の違いは、その目的にあります。
エクセルは数値計算やデータ分析、情報整理・管理を得意とする表計算ソフトで、ワードは論文や契約書のような文章主体のドキュメント作成に特化した文書作成ソフトです。
この「表計算」と「文書作成」という根本的な違いが、マニュアル作成における得意・不得意に直結します。
ここでは、マニュアル作成という観点から、エクセル(Excel)とワード(Word)それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。両者の強みを理解することで、作成したいマニュアルの特性に合わせて最適なツールを選ぶことができます。
エクセル(Excel)は、情報を整理し、一覧で示すことに長けています。データが主役となるマニュアル作成において、その真価を発揮します。
エクセル(Excel)のメリット①レイアウトの自由度が高い
意外に思われるかもしれませんが、エクセル(Excel)はセルを方眼紙のように使うことで、特定のフォーマットに沿ったレイアウトを組むのが得意です。テキストボックスや図形、画像をセルの枠線に合わせて配置すれば、きれいに整列させることができます。複雑な手順書で、複数の画像と補足説明を規則正しく並べたい場合に便利です。
エクセル(Excel)のメリット②表の作成・編集が容易
表計算ソフトであるため、表の作成・編集機能はワード(Word)を圧倒します。行や列の追加・削除、セルの結合・分割が簡単に行えるだけでなく、入力規則を設定して特定のデータしか入力できないようにしたり、関数を使って自動計算させたりすることも可能です。
エクセル(Excel)のメリット③情報の一覧性が高い
フィルターや並べ替え機能を使えば、膨大な情報の中から必要なデータを瞬時に抽出できます。例えば、機能一覧マニュアルで「特定の担当者が使う機能だけを表示する」といったことが簡単に行えます。情報をデータベースのように管理し、多角的に見せたい場合に非常に強力なメリットとなります。
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ワード(Word)は、文章を主体とした「読み物」としてのマニュアル作成において、非常に優れた機能を持っています。読みやすさと体裁の美しさを両立させたい場合に最適です。
ワード(Word)のメリット①長文の作成・編集に強い
ワード(Word)は長文の執筆を前提に設計されています。アウトライン機能を使えば、章・節・項といった階層構造を簡単に管理でき、文書全体の構成を把握しながら書き進めることができます。また、目次や索引を自動で生成する機能もあり、ページ数の多いマニュアル作成の手間を大幅に削減します。
ワード(Word)のメリット②文章の校閲・変更履歴の管理が容易
誤字脱字をチェックする校閲機能が充実しているほか、「変更履歴の記録」機能は複数人でレビューする際に非常に役立ちます。誰がどこを修正したのかが一目で分かり、修正内容を個別に承諾・拒否できるため、文書の品質管理が容易になります。
ワード(Word)のメリット③印刷レイアウトが容易
「見たまま印刷できる」点は、ワード(Word)の大きな強みです。編集画面がそのまま印刷イメージに近いため、「印刷したらレイアウトが崩れていた」というトラブルがほとんどありません。ページ設定やヘッダー・フッターの指定も簡単で、冊子のような体裁の整ったマニュアルを確実に作成できます。
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両者に共通する最大のメリットは、多くの企業で標準導入されており、ほとんどの従業員が基本的な操作に慣れている点です。特別なトレーニングなしで誰でも作成・閲覧できるため、導入のハードルが非常に低いと言えるでしょう。
メリットだけでなく、デメリットもしっかりと把握しておくことが重要です。ツールの限界を知ることで、作成途中の手戻りを防ぎ、より適切なツール選定が可能になります。
データ管理には強いエクセル(Excel)ですが、文書作成や共有の面ではいくつかの弱点があります。特に長文や印刷を伴うマニュアルでは注意が必要です。
エクセル(Excel)のデメリット①長文の作成・管理に不向き
一つのセルに入力できる文字数には限りがあり、長文を入力すると非常に読みにくくなります。セル内で改行を多用すると、後からの編集や管理が煩雑になります。文章が主体のマニュアルをエクセル(Excel)で作成するのは避けるべきでしょう。
エクセル(Excel)のデメリット②印刷時の設定が煩雑
多くのユーザーが経験するように、エクセル(Excel)は印刷設定が非常に煩雑です。「意図しないところで改ページされてしまう」「1枚に収めたいのにどうしてもはみ出す」といったトラブルが頻発します。改ページプレビュー機能で調整は可能ですが、手間と時間がかかる厄介な作業です。
エクセル(Excel)のデメリット③共同編集や変更履歴の管理がしにくい
共有ブック機能やオンラインでの共同編集も可能ですが、誰がどこを変更したのか直感的に分かりにくく、意図しない変更(上書き)が発生しやすいというリスクがあります。ワード(Word)のような高度な変更履歴管理機能はありません。
文書作成に特化しているがゆえに、情報を整理・整列させたり、データを扱ったりする際には不便な点が見られます。
ワード(Word)のデメリット①図や画像の自由な配置が難しい
画像の「文字列の折り返し」設定を駆使すればある程度のレイアウトは可能ですが、複数の図や画像をきれいに整列させるのは意外と難しい作業です。オブジェクト同士が意図せず動いてしまったり、少し位置をずらしただけで全体のレイアウトが大きく崩れたりすることがあります。
ワード(Word)のデメリット②表の作成・編集機能が限定的
ワード(Word)でも表を作成することは可能ですが、機能はあくまで簡易的なものです。複雑な計算はもちろん、フィルターや並べ替えといったデータ操作はできません。多くの項目を扱う表を作成する場合は、エクセル(Excel)の方が圧倒的に効率的です。
ワード(Word)のデメリット③情報が縦に長くなりやすい
文書作成ソフトの特性上、情報は基本的に上から下へと流れていきます。そのため、多くの情報を盛り込むと、ひたすら縦に長いマニュアルになりがちです。全体を俯瞰しにくく、目的の情報にたどり着くまでに何度もスクロールが必要になることがあります。
最大のデメリットは、ファイルベースでの管理に起因する問題です。ファイルサーバーなどで管理する場合、「マニュアル_v2.xlsx」「マニュアル(最新).docx」といった類似ファイルが乱立し、どれが最新版か分からなくなるという事態に陥りがちです。
これまでのメリット・デメリットを一覧表にまとめました。作成したいマニュアルがどの機能を重視するかを考えながらご覧ください。
機能 | エクセル | ワード | 備考 |
---|---|---|---|
長文作成・編集 | △ | ◎ | 目次や索引の自動生成、 校閲機能などワードが圧倒的に優位。 |
表・データ管理 | ◎ | 〇 | フィルター、並べ替え、 関数など高度なデータ管理はエクセルが優位。 |
レイアウトの自由度 | 〇 | ◎ | 文章と画像を組み合わせた 柔軟なレイアウトはワードが得意。 |
印刷の容易さ | △ | ◎ | ワードは編集画面と印刷イメージが近く、 設定が容易。 |
情報の一覧性・検索性 | ◎ | 〇 | データの中から特定の情報を抽出する能力は エクセルが高い。 |
共同編集・変更履歴 | △ | 〇 | ワードの変更履歴機能の方が、 レビューや修正管理に優れている。 |
最終的にどちらのツールを選ぶべきか、具体的なマニュアルの種類を例に挙げて結論を示します。自社で作成したいマニュアルがどれに近いか、参考にしてください。
情報を整理し、一覧で管理することに価値があるマニュアルはエクセル(Excel)で作成しましょう。
文章で丁寧に説明したり、読み物としての体裁を整えたりする必要があるマニュアルはワード(Word)で作成しましょう。
手軽に作成できるエクセル(Excel)やワード(Word)ですが、特に組織での運用を考えた場合、無視できない限界点が存在します。これらの課題を認識しておくことは、将来的なマニュアル運用の破綻を防ぐために重要です。
複数人での同時編集・バージョン管理が難しい
前述の通り、ファイルが乱立しやすく、最新版の管理(バージョン管理)が非常に困難です。誰かが編集していると他の人が編集できない(読み取り専用になる)といった制約もあり、複数人での効率的な運用には限界があります。
更新・メンテナンスの属人化を招きやすい
作成者が異動や退職をしてしまうと、途端に更新が滞ってしまうケースが後を絶ちません。特に、複雑な関数や設定が施されている場合、他の人が引き継ぐのは困難です。結果として、情報が古いまま放置され、「使えないマニュアル」になってしまいます。
動画や直感的な操作ガイドの埋め込みが困難
テキストと静止画だけでは、複雑なシステムの操作を伝えるのには限界があります。操作している様子を録画した動画を埋め込んだり、実際のシステム画面上で操作をガイドしたりといった、より直感的で分かりやすい表現は、エクセル(Excel)やワード(Word)では実現できません。
ExcelやWordでのマニュアル作成・運用における「バージョン管理」「属人化」「分かりにくさ」といった課題は、多くの企業が抱える共通の悩みです。これらの課題を根本から解決し、マニュアル運用のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するソリューションとして、今注目されているのが「デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)」です。
「Fullstar(フルスタ)」は、Webシステムやアプリケーションの画面上に、操作ガイドやチュートリアルを直接表示させることができる国産のデジタルアダプションプラットフォームです。
Fullstarを導入することで、マニュアルを探す手間をなくし、従業員の自己解決を促進。問い合わせ対応コストの削減と、システム利用の定着化を同時に実現します。
本記事では、マニュアル作成におけるエクセル(Excel)とワード(Word)の使い分けについて、メリット・デメリット、そして目的別の推奨ツールを解説しました。
どちらも優れたツールですが、その開発目的が異なるため、得意・不得意があります。作成したいマニュアルの目的を明確にし、本記事で紹介した比較ポイントを参考に、自社に合った最適なツールを選択してください。
そして、もし既存のマニュアル運用に限界を感じているなら、その先の解決策として「Fullstar」のようなデジタルアダプションプラットフォームの活用もぜひご検討ください。
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