
こんにちは!クラウドサーカスの山口奈々です。
今回は、11月18日に実施した「社内DXの”定着”事例を語る、デジタルアダプションカンファレンス」の内容をレポートいたします!
本カンファレンスは、デジタルツールやITシステムの「定着・運用(アダプション)」にフォーカスしています。
「AI・DXソリューション導入のその先にある、”定着化”のリアルと実践録15選」という副題の通り、15社のベンダーから、DX定着化のノウハウや事例について話していただきました。
この開催レポートでは、5時間半の内容を1万字にまとめています。10分程度で読める内容になっているので、お手すきでご覧いただけますと幸いです。

執筆者:山口 奈々
クラウドサーカス株式会社
Fullstar事業部 DXコンサルタント
経歴
クラウドサーカス株式会社Fullstar事業部 DXコンサルタント。デジタルアダプションプラットフォーム「Fullstar」のセールスからコンサルティングまでを担う。その傍ら、自営業として地域のお米を使ったおにぎり屋さんを展開。
X:CloudCIRCUS、LinkedIn:CloudCIRCUS
目次
15社の登壇内容をもとに、社内DXの”定着・浸透”におけるボトルネックと本質的な解決策の「3つの柱」をまとめました。
マニュアルが読まれないのは、従業員が怠慢だからではなく、日々の業務の中で「手順を覚える」「マニュアルを探す」という行為が、もはや個人の処理能力を超えているからです。マニュアルを「立派に作る」こと自体が、実は現場の負担を増やしているという矛盾に気づく必要があります。
多くのDXが失敗するのは、機能が足りないからではなく、使い始めるまでの「わずかな面倒くささ」に現場が折れてしまうからです。パスワードを思い出す、目的の画面まで何度もクリックする、といった「0.5歩目」のつまずきが、結果として「人に聞いたほうが早い」という旧来の文化を温存させてしまいます。
現場にとって、新しいシステムは往々にして「管理職が数字を見るための監視装置」に見えています。この「やらされ感」がある限り、入力は雑になり、活用は進みません。システム導入を「業務ルールの変更」として押し付けるのではなく、現場の人間が「これを触ると、自分の明日が楽になる」と直感できるかどうかが勝負です。
橋口:今回は、まだ日本では馴染みの薄い「デジタルアダプション」について、最新のトレンドや独自の調査データを交えながら、その重要性をお話しさせていただきます。
まず、デジタルアダプションとは、「システムを導入するだけでなく、しっかりと『活用』し、その成果を最大化させること」を指します。
日本のDXの歴史を振り返ってみましょう。2018年は経済産業省が「DXレポート」を発表した「DX元年」でしたが、当時はまだ大きな動きはありませんでした。潮目が変わったのは2020年、新型コロナウイルスの影響です。強制的にオンライン化を迫られ、多くの企業でITツールの導入が一気に進みました。

そして現在、2023年から2025年にかけてのフェーズは、「導入」から「活用」へとシフトしています。「ツールを入れたけれど、果たして効果が出ているのか?」「現場は使いこなせているのか?」という点に企業の関心が移っているのです。
実際に「デジタルアダプションプラットフォーム」の市場規模は、年平均成長率(CAGR)約43%という驚異的な伸びを見せており、当初の予測を上回るスピードで注目度が高まっています。
私たちが昨年12月に実施した「DAP実態調査」によると、多くの企業のDX推進担当者が現在最も力を入れているのは、「ITシステムの利用促進」でした。しかし、そこには大きな壁があります。それは従業員の「ITスキル不足」です。
日本は米国などに比べ、非IT企業におけるIT人材が少なく、リテラシーが高くないと言われています。そのため、多くの企業では「マニュアル」を作成して対策していますが、衝撃的なことに、そのマニュアルの「65%は利用されていない」という実態が明らかになりました。

結果として、情シスやDX部門には「基本的な操作に関する問い合わせ」が殺到しており(問い合わせの約6割)、これが担当者の疲弊やDX停滞の要因となっています。
こうした状況に対して「システムをしっかり使えるようにしていこう」というのが、システム上に操作ガイドなどを直接表示させ、定着化を促す「デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)」です。
実際にDAPを導入した企業の8割が「効果を実感している」と回答しており、その有効性は明らかです。しかし、日本全体での導入率は「わずか3%」に留まっています。ここに大きな課題と、これからの伸び代があります。

システムをただ導入して終わりにするのではなく、従業員が迷わず使いこなせる環境用意する。これこそが、今後の日本企業のDX推進において非常に重要な鍵となります。
山口:オープニングでは、デジタルアダプションの現在地についてお話いただきました。DXは今「導入」から「定着」のフェーズへ移行中だそうです。しかし現場はスキル不足で、マニュアルも6割以上が読まれていないのが実情。そこで鍵となるのが、システムの習熟を促す「デジタルアダプション」です。導入企業の8割が効果を実感しているこの手法こそが、日本のDX推進の突破口になりそうですね!
マニュアルの有効活用・社内問い合わせ削減をしたい方へ
ワークフロー・経費精算・CRM・ERPなど様々な業務システムを「操作に迷わなくする」仕組みで、社内問い合わせを90%削減・マニュアル閲覧率向上!
ここからは各領域別にご登壇いただきます。
パーソルビジネスプロセスデザインの小坂様のお話は、AI導入に悩む企業の皆様にとって、まさに突破口となる内容でした。
現在、約9割の企業が生成AI環境を導入済みですが、実はその多くが「個人の利用」止まりで、組織的な成果には繋がっていないのが実情だそうです。小坂様は、この停滞を打破するには、指示待ちではなく自律的に動く「AIエージェント」への移行と、それに合わせた「業務プロセスの再設計(BPR)」が不可欠だと強調されました。
特に印象的だったのは、ある地方自治体様の成功事例です。いきなりAIを入れるのではなく、まずは徹底的な「業務の棚卸し」を実施。その上で、現場が直感的に使える「専用アプリ」を10個以上開発し、継続的なワークショップで職員様のリテラシーを底上げしました。この「ツール」と「人」の両輪により、利用率66%超という大きな成果を実現されたそうです。

中でもハッとしたのは、「指示やデータの質が低ければ、AIも期待通りの成果は出せない」というご指摘です。AIに任せきりにするのではなく、私たち人間側が、業務をAIが理解できる形に丁寧に整理して渡してあげる。この「翻訳」作業のような泥臭い準備こそが、AIと共創する未来への最短ルートなのだと痛感しました!
株式会社Helpfeelの岡崎様によるセッション、ツール導入における「定着化(デジタルアダプション)」の核心に迫る内容でした!
多くの企業が「マニュアルやFAQはあるのに使われない」「問い合わせが減らない」という悩みを抱えています。岡崎様は、その最大の原因が、社員がツールを使った際に感じる「検索しても見つからない」という『失敗体験』にあると指摘されました。些細な言葉の違いでヒットしないと、社員はすぐに諦めて「人に聞く」に戻ってしまうのです。
つまり、定着化の鍵は「強制」ではなく、「成功体験」を作ること。
その証明として紹介されたPALTAC様の事例が非常に印象的でした。検索精度が高く、曖昧な言葉でもヒットする「Helpfeel」に入れ替えた結果、なんと大々的な告知なしで利用数が5倍に急増したそうです!「使えば答えが出る」という信頼こそが、最強の定着化施策なんですね。

「ツールを入れて終わり」ではなく、「誰もが迷わず自己解決できる検索体験」を用意することが、DXを形骸化させず、組織に定着させるための必須条件だと強く実感するセッションでした!
株式会社SmartHRの古川様によるセッション、DX推進の足元を固める非常に重要な視点でした!
多くの企業でSaaS利用が急増する中、現場では「パスワードが覚えきれない」「URLがどこかわからない」といった“ログイン疲れ”が起き、それがツールの利用定着を阻む大きな壁になっているそうです。
解決策として提示されたのは、SmartHRを「従業員ポータル(入り口)」として活用する「シングルサインオン(SSO)」の導入です。
特に驚かされたのは、実際にこの仕組みを導入した企業様の劇的な成果です。以前は月数十件あった「ログインできない」「URLどこ?」といった問い合わせが、導入後にはなんと「月1件」にまで激減したそうです!
▼事例
入社時の案内も「まずはここにログインして」と伝えるだけで済むため、オンボーディングの工数も大幅に削減できたとのこと。古川様の試算では、従業員500名規模だとログインの手間だけで月400万円分ものリソース損失があるそうで、ここを解消するインパクトは絶大ですね。
「ツールを入れて終わり」ではなく、従業員がストレスなく使い始められる「環境(導線)」をデザインすることこそが、定着の第一歩です。
セキュリティもしっかり守りつつ、利便性も上げる。そんな「優しいDX」がこれからのスタンダードになりそうです!
株式会社ラクスの宮坂様によるセッションは、多くの企業が抱える「見えないコスト」を浮き彫りにする内容でした!
「メールは届いているから大丈夫」と思っていませんか?実は、個人のメーラーで対応する「属人化」こそが、対応漏れによる機会損失や、担当者の精神的負担(休めない!)といった深刻な経営課題を生んでいるというご指摘、ハッとした方も多いはずです。
特に印象的だったのは、大手物流企業様の事例です。メールの見落としが原因で緊急のチャーター便を手配することになり、なんと「売上以上のコスト」が発生していたそうです。これをチーム共有型の運用に変えることで、損失をゼロにし、社員が安心して休める環境を作ったとのこと。
また、ラクス様社内の事例でも、宛先間違いのアラート機能を強制オンにすることで、誤送信を前年比48%も削減されたそうです。
さらに、AIが過去の履歴から返信案を作る機能により、1通5分かかっていた対応が2分に短縮されたというデータも衝撃的でした。
「メール対応」という足元の業務を見直すことが、実は最も確実な利益創出とリスク回避につながるのだと痛感しました!
株式会社SecureNaviの川畑様によるセッション、DX推進の「守り」であるセキュリティについて、定着化のヒントが詰まった本質的なお話でした!
DXでリスクが高まる中、特に中小企業を狙った「サプライチェーン攻撃」への対策は待ったなしの状況です。しかし、現場では「ルールが実態に合わず形骸化している」「管理が属人化して誰も把握できない」といった課題により、セキュリティ対策が組織に定着しないケースが多いそうです。
そこで川畑様が提示されたノウハウは、「運用のスリム化」と「テクノロジーによる自動化」です。
形式だけの重たいルールではなく、自社の実態に即した運用に再構築し、煩雑な管理を「SecureNavi」で自動化する方法です。実際にこのアプローチにより、運用工数を90%以上も削減し、無理なく継続できる体制を作った事例は衝撃的でした。
さらに、組織への定着(アダプション)という観点では、SecureNaviを用いた「Eラーニング」や「マニュアル展開」により、管理者だけでなく全社員のリテラシーを底上げすることが不可欠だと語られました。
2026年からは経産省によるセキュリティ格付け制度も始まるとのこと。攻めのDXを進めるためにも、テクノロジーを活用して効率的に「安心」の土台を作ることが不可欠ですね!
クラウドサーカスの李さんによるセッションはシステム定着の「最後の1マイル」を埋める画期的なお話でした!
多くの企業で、マニュアルはあるのに読まれない、結局「詳しい人に聞く」という「隠れ問い合わせ」が発生している……この「デジタルフリクション(デジタルの摩擦)」こそが、DXを阻む壁だという指摘に深く頷きました。
解決策として紹介されたのは、既存のシステム画面上に操作ガイドやボタンを直接表示させる「デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)」です。

「Fullstar」というツールを使えば、マニュアルを探しに行く手間そのものをなくせるとのこと。実際にトムス・エンタテインメント様では、社員の8割がこのツールを使って自己解決し、勉強会の工数削減と定着化を同時に実現されました。
また株式会社RYODENでは、マニュアルやチャットボットがあっても使われず、研修した内容でも問い合わせが来てしまうという状態でした。そこで、画面上のつまずきそうな箇所にピンポイントで「ヒントボタン(ツールチップ)」を設置。その結果、社内問い合わせは90%削減され、「迷ったら人に聞く」から「その場で自分で解決する」という文化への変革に成功したそうです。
「教える」のではなく、画面上で正解へと「導く」。この体験こそが、システムを「使わされるもの」から「使いこなせるもの」に変える鍵なんですね。
元プロサッカー選手という異色の経歴を持つ李様の、熱量あふれるプレゼンでした!
マニュアルの有効活用・社内問い合わせ削減をしたい方へ
ワークフロー・経費精算・CRM・ERPなど様々な業務システムを「操作に迷わなくする」仕組みで、社内問い合わせを90%削減・マニュアル閲覧率向上!
NTTテクノクロス株式会社の小沼様によるセッションは、システム定着の「リアルな壁」とその乗り越え方が非常に具体的でした!
せっかくIT投資をしても、「期待通りの成果が出た」という企業はわずか3割。残りの7割は「定着しなかった」ことが原因という事実は衝撃的でした。
小沼様は、ユーザーがシステム上で迷子になる状態を「紙の地図を見ているようなもの」と表現されていました。マニュアルを見ても自分の現在地が分からない…これでは使われないのも納得です。
特に勉強になったのは、ある企業での「調達・タレントマネジメントシステム」の同時移行事例です。
新システムは多機能ゆえに画面が複雑で、現場は大混乱。そこでDAPを活用し、例えば人事システムでは「入力不要な項目をマスキング(隠す)」ことで、ユーザーの迷いを物理的に消滅させたそうです。「何を入力すればいいの?」とマニュアルを探す時間そのものを無くす、目から鱗のアプローチでした!

また、定着化の秘訣として強調されていたのが、ツールを「全端末に強制配布した」という point です。「使いたい人だけ入れて」では結局使われません。
これにより、問い合わせ対応を60%削減、入力時間を65%短縮という劇的な成果が出ているそうです。「使いやすさ」を後付けで最適化し、ユーザーを迷わせない環境を作ることが、システム投資の効果を最大化する鍵だと強く実感しました!
SCSK株式会社の魚本様によるセッション、データの「活用」に焦点を当てた非常に示唆に富むお話でした!
多くの企業でDXが進まない原因は、データが各部署に散在していたり、Excelのまま属人化していたりする「データのサイロ化」にあるそうです。
そこで魚本様が提示された「データ活用の三種の神器」が、データベース、AI、そしてRPAです。これらを統合したツール「CELF(セルフ)」を活用し、Excel業務をアプリ化することで、現場の負担なくデータを資産化できるとのこと。
特に印象的だったのは、化学メーカーJSR様の事例です。人事部で100ファイル以上のExcelをメールで回収・集計していた業務をCELFに置き換え、さらにRPAで自動化。その結果、集計作業をほぼゼロにし、手作業によるミスも撲滅されたそうです!

「スモールスタート」「社内推進者を作る」「実用性を重視する」という定着の3つの秘訣も、これからDXを進める企業様にとって大きなヒントになったのではないでしょうか。
NTTデータ株式会社の伊藤様によるセッション、RPAを単なるツール導入で終わらせず、組織に定着させるための解決策が見える内容でした!
RPA導入後、多くの企業で直面するのが「推進担当者のパンク」です。「エラーが出た」「使い方が分からない」という現場からの技術的な問い合わせに追われ、肝心の業務拡大に手が回らなくなってしまう…。これこそが、RPAが社内に定着しない(文化にならない)最大のボトルネックだったんですね。
そこで伊藤様が示された成功の一つの鍵は、「技術的な『つまずき』の解消を、あえて社外へ委ねる」という判断です。
例えば、シナリオ作成に行き詰まったユーザーに対し、社内の担当者が時間をかけて調べるのではなく、ベンダーが提供する「オンライン画面共有サポート」へ誘導する。これにより、ユーザーはプロの支援で即座に疑問を解決でき、成功体験を積み重ねることができます。

結果として、社内の推進チームは「トラブル対応」から解放され、「どの業務を自動化するか」という本来のDX推進業務に専念できる好循環が生まれます。
「困ったらプロに聞ける」という安心感の設計こそが、現場の心理的ハードルを下げ、自律的な活用を促すデジタルアダプションの最短ルートなのだと痛感しました!
株式会社エイトレッドの金本様によるセッション、ワークフローがDXの「定着」を左右する本質的な理由が腹落ちする内容でした!
まず、定着化における「心理的な壁」を壊した事例として秀逸だったのが、株式会社日進製作所様です。
システム導入時に社内で愛称を公募・投票し、「申請」と「フロー」をかけた「シンザブロー」という名前と、猿のキャラクターを設定。社員に「自分たちが決めたシステム」という当事者意識(オーナーシップ)を持たせることで、スムーズな全社展開と年間650万円のコスト削減を実現されました。
また、より本質的な定着化の「コア」として語られたのが、ヤンマー建機様の取り組みです。
多くの企業が陥る「機能要件だけで選んで現場が使えない」という失敗を防ぐため、システム選定の段階から現場の代表者を巻き込み、使用感を評価してもらったそうです。さらに、導入後もコミュニティを作って成功体験を共有し合うことで、「やらされ仕事」ではなく「自発的な改善」の文化を醸成されました。

金本様が強調された「Fit to Standard(業務をシステムに合わせる)」という考え方も重要です。古い慣習に合わせてシステムを歪めるのではなく、ワークフロー導入を機に業務自体をデジタル標準に合わせて再設計する。この覚悟こそが、アナログとデジタルの二重管理をなくし、真のデータ活用へ繋がる最短ルートだと痛感しました!
株式会社マネーフォワードの浅井様によるセッション、システム導入の「ボタンの掛け違い」を防ぐための本質的なお話でした!
特に印象的だったのは、バックオフィス側と事業部側の「視点のズレ」についての解説です。

バックオフィス側は「法律に則った正しいデータ(給与明細など)」を作ることがゴールなので、「入力は現場の責任」と考えがち。一方で、現場の事業部側は「月末に思い出して処理する」のが精一杯で、複雑なルールまで把握しきれません。
この「あるべき姿(バックオフィス)」と「現実(現場)」のギャップを放置したままシステムを導入するから、現場から「使いにくい」「ルールを知らない」という不満(ハレーション)が生まれてしまうんですね。
解決策として、システム選定前に確認すべき3つのポイント「規定の再現性」「ワークフローの統一性」「コミュニケーションツールとの連携」が紹介されました。
中でもユニークだったのが、現場の業務フローを動画で撮影し、生成AIを使って文字起こし&フローチャート化するという手法です!
「あるべき姿(規定)」と「実際の姿(現場)」のギャップを可視化することで、無理のない運用ルールを設計できるという点は、まさに目から鱗でした。
ツール選びの前に、まずは自社の業務を「翻訳」して整理する。このひと手間こそが、後の定着率を劇的に変えるのだと痛感しました!
コニカミノルタジャパン株式会社の久保様によるセッション、ツール定着の鍵となる「マニュアル」を、ただの文書から「DX推進の武器」へと変える具体的なノウハウに満ちた内容でした!
印象的だったのは、森村商事様の事例です。単にツールを導入するのではなく、まず「専任メンバー」をアサインし、「マニュアル作成ルール」を策定するところから始められました。誰が、いつ、何を、どのように作るかを明確にした上で、全社的な移行プロジェクトとして推進されたそうです。この「組織的な巻き込み」こそが、定着成功 of 核心だと感じました。

また、「マニュアルは読まれない」という課題に対し、「COCOMITE」の「画像付きで直感的に分かるフォーマット」と「強力なキーワード検索」で解決されました。WordやExcelだと難しい「見た目の分かりやすさ」と「必要な情報へのたどり着きやすさ」を両立することで、初めて社員は「自分で調べる」という行動を取ってくれるんですね。
結果として、問い合わせ対応時間を6分の1に短縮されたという成果は、まさにこの戦略的な定着化(デジタルアダプション)アプローチの賜物だと深く納得しました!
株式会社テンダの根地戸様によるセッション、多くの現場が抱える「マニュアル疲れ」を解消し、DXを根付かせるための実践的なノウハウが詰まっていました!
DX推進の大きな壁となるのが、「マニュアル作成に時間がかかりすぎる」「せっかく作っても読まれない」という課題です。この悪循環を断ち切るための「作成の自動化」と「『読ませる』から『ナビゲートする』への転換」という2つのアプローチがあります。
具体的には、操作を記録してマニュアルを自動生成する手法により、作成時間を約70%削減した三洋化成工業様の事例を紹介。マニュアル作り自体を目的化せず、浮いた時間を本来の業務や改善活動に充てることが、定着への第一歩なんですね。
また、「読まれない」課題に対しては、システム画面上に直接ガイドを表示する手法が有効であり、NTTグループ様のような25万人規模の組織でもスムーズな定着を実現されたそうです。

ツール導入をゴールにせず、現場がいかにストレスなく使えるかを設計する。そのための「マニュアル活用術」は、明日からでも意識したい重要な視点だと感じました!
株式会社PR TIMESの福石様によるセッション、ツール定着の「具体論」に富んだ実践的な内容でした!
抽象的な理論ではなく、実際にJootoを導入して成果を上げた企業様の「リアルな変化」が非常に分かりやすかったです。

特に衝撃的だったのは、トヨタグループの愛知製鋼様の事例です。
以前は週報作成や進捗確認になんと「週4時間」も費やしていたそうですが、Jootoでタスクを可視化した結果、上司がいちいち聞かなくても画面を見るだけで状況を把握できるようになり、会議時間が「30分」にまで激減したとのこと!
「報告のための仕事」をなくすことが、現場にとって最大のメリットになり、それが「このツールを使おう」という強力な動機付けになったんですね。
また、住友不動産様では、業務の属人化を解消し、「担当者がいないと分からない・引き継げない」という現場の不安を払拭されたそうです。
「会社に言われたから使う」のではなく、「使うと自分たちが楽になる・安心できる」という成功体験(実利)を現場に作ることこそが、最強の定着化戦略なのだと改めて学びました!
株式会社PLAINERの阿久津様によるセッション、「説明」ではなく「体験」こそが行動を変えるという、DX推進の盲点を突く内容でした!
阿久津様が指摘されたのは、従来のテキストや動画によるマニュアルでは「操作の手触り(どこを触るとどう動くか)」が伝わらず、結果として現場がシステムに恐怖心や苦手意識を持ってしまうという課題です。

解決策として提示されたのは、本番環境とは別に、URLひとつで誰でも触れる「本物そっくりのデモ環境(体験型コンテンツ)」を用意することです。
特に説得力があったのは、ある大手企業様のSFA/CRM導入事例です。
ログインや初期設定の手間をなくし、ダミーデータが入った安全なデモ環境で操作を「体験」させた結果、問い合わせを約83%も削減されたそうです。
これは単にツールを入れたからではなく、「読む学習」から「体験する学習」へと、定着化のプロセス自体を変革した成果だと言えます。この「Product-Led(製品主導)のアプローチこそが、心理的ハードルを下げ、最短で定着へ導く鍵なのだと確信しました!
橋口: 最後に、改めて日本のDXについてですが、やはりこれは非常に難易度が高いものだと感じています。「日本はDXが進んでいない」と言われますが、そこには理由があります。
まず、日本は文字が多い国です。ひらがな、カタカナ、漢字を使い分けるため、システムを使おうとしても「表記ゆれ」が発生しやすく、それがシステムの定着を難しくしている側面があります。
また、リテラシーの低さが指摘されることもありますが、これは冒頭でもお話しした通り「非IT企業にIT人材が少ない」という構造が原因です。システムへの造詣が深い方が現場に少ないことも、DXが進まない要因の一つでしょう。
さらに、国産以外の海外製システムを使う際、日本人が使いやすいUIやUXになっていないことも、せっかく導入したのに定着しない、進めたくても進まないといった事態を招いています。
このように、日本でDXを進めることは確かに難しいと思います。しかし、だからこそ私は、やる意義があるのだと思っています。皆様の多くは、自社のDXを推進される立場にいらっしゃるはずです。今回のカンファレンスを通して得たものを、ぜひ自社のDX推進に活かしていただければと思います。
システム開発や膨大な教育コストをかけずに実現するのが、デジタルアダプションプラットフォーム「Fullstar(フルスタ)」です。
「ナビ」を即座に実装: プログラミング不要(ノーコード)で、既存システムの画面上に「次に触るボタン」や「入力のヒント」を直接表示。従業員を「迷わせない」環境を、今日から構築できます。
摩擦をゼロにするUI: 複雑な画面をシンプルに見せるツールチップや、その場ですぐに疑問を解消する機能を後付けで実装。ユーザーの「0.5歩目」のストレスを取り除きます。
現場の「今」を可視化: どの機能で誰が止まっているかを分析機能で把握。管理側の思い込みではなく、現場が本当に困っているポイントに絞った改善が可能になり、ツールを「現場の武器」へと育て上げます。
「教え込むDX」から「自然に使いこなせるDX」へ。Fullstarは、現場の心理に寄り添ったデジタル定着の最初の一歩を支えます。

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