ひとり情シスとは?実態とこれからの情報システム部の在り方

ひとり情シスとは?実態とこれからの情報システム部の在り方

はじめに:ひとり情シスとは何か?

近年、「ひとり情シス(情シス=情報システム部門)」という言葉を耳にする機会が増えてきました。これはその名の通り、企業のIT・情報システム業務をたった一人で担っている担当者、あるいはそのような体制を指します。特に中小企業や地方企業では、この「ひとり情シス」が珍しくない状況になっています。 背景にはさまざまな要因がありますが、最も大きな理由の一つは、IT人材の不足です。IPA(情報処理推進機構)の調査でも、IT人材の不足は今後も深刻化すると予測されています。また、企業側も「社内に一人いれば十分」といった意識から、最低限のリソースしかIT部門に割かない傾向があります。 このような状況で働く「ひとり情シス」は、社内のインフラ整備からトラブル対応、セキュリティ管理、システム導入の提案まで、非常に幅広い業務を担っています。にもかかわらず、その存在が経営層や他部署から正当に評価されにくい現実もあります。 結果として、業務過多による疲弊や、属人化によるリスク、将来的な運用の持続不可能性など、さまざまな問題が浮き彫りになってきているのです。この記事では、ひとり情シスの実態を明らかにし、今企業が取るべき対策について詳しく解説していきます。

目次

なぜ「ひとり情シス」になってしまうのか?

「ひとり情シス」という体制に至る背景には、大きく分けて3つの要因があります。

IT人材不足

特に中小企業では、専門スキルを持った情報システム担当者の確保が困難であり、採用競争にもなかなか勝てません。そのため、既存社員が兼務で担当する、あるいはITが得意な社員一人に依存する構図が生まれてしまいます。

経営層のITに対する理解不足

ITはコストであり、利益を生まないと考える経営層が一定数存在します。その結果、必要最低限の人員と予算しか割かれず、ひとり情シスの体制が常態化してしまいます。近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が叫ばれていますが、現場のIT担当者だけが孤軍奮闘している企業も少なくありません。

業務のブラックボックス化と属人化

業務が可視化されておらず、情報が一人の担当者に集中してしまうことで、誰も手を出せない状態に。結果的に「この人がいないと何もできない」体制になってしまい、組織的な運用が困難になります。

ひとり情シスが抱える課題とは?

「ひとり情シス」は、日常的な業務をたった一人で担うことで、さまざまな課題に直面します。ここでは、現場でよく見られる主要な問題を4つの視点からご紹介します。

業務負荷の偏り

まず最も大きな問題は、業務の過剰負荷です。ネットワークやサーバーの管理、社内のPCセットアップ、ヘルプデスク対応、セキュリティ対策、システム導入など、業務範囲は多岐にわたります。定型作業だけでなく、突発的な障害対応も発生するため、計画的に業務を進めることが困難になることも。24時間体制でトラブルに備える必要がある場合もあり、結果的に担当者の心身に大きな負担がかかってしまいます。

セキュリティリスクの増加

情報セキュリティの重要性が高まるなか、「ひとり情シス」ではセキュリティ体制の構築が不十分になりがちです。予算やリソースが限られていることで、最新の対策が導入できない、定期的な監査や脆弱性診断が行われない、といった事態が起こりやすくなります。また、サイバー攻撃は年々高度化しており、一人の担当者だけでは対応しきれないケースも増えています。

属人化による業務のブラックボックス化

情報システムに関するノウハウが特定の個人に集中してしまうことで、業務の属人化が進みます。マニュアルやナレッジの整備が不十分なため、他の社員が代行できず、もしその担当者が急に休職・退職した場合、業務が完全に止まってしまうリスクがあります。これは業務の持続性を損なう大きな要因であり、企業にとっては極めて大きなリスクです。

システム障害時の対応困難

突発的なトラブルが発生した際にも、「ひとり情シス」では即時の対応が困難です。複数の案件を並行して対応している中で、トラブルが起きると全体の業務が止まってしまうことも。また、自分の専門外のトラブルが起きた場合、調査・復旧に多大な時間がかかり、社内業務に大きな影響を及ぼします。

放置はNG!ひとり情シスのリスクとは?

「ひとり情シス」体制をそのまま放置してしまうことは、企業にとって深刻なリスクをはらんでいます。一見「問題なく業務が回っている」と感じていても、目に見えないところで危機は静かに進行しているのです。ここでは、ひとり情シスを放置することによって起こりうる主要なリスクを3つご紹介します。

情報漏えい・サイバー攻撃の脅威

まず最も懸念されるのが、情報セキュリティに関するリスクです。ひとり情シスでは、セキュリティ施策の企画・導入・運用をすべて一人で担当することになり、どうしても対応が後手に回ってしまいがちです。たとえば、ウイルス対策ソフトやファイアウォールの設定更新が遅れる、従業員へのセキュリティ教育が行き届かない、サイバー攻撃の兆候に気づけない、といったリスクが日常的に存在しています。 近年は、標的型攻撃やランサムウェアといったサイバー攻撃の高度化・巧妙化が進んでおり、どの企業も被害対象になり得ます。特に中小企業は「対策が甘い」と見なされ、狙われやすい傾向があります。ひとたび情報漏えいが起きれば、顧客の信頼を損ない、法的責任や多額の損害賠償に発展するケースも。これらはすべて、「人手不足による油断」が引き金になるのです。

社内業務の停止による事業継続リスク

システムトラブルが発生した際に対応できる人材が1人だけという状況は、非常に危険です。担当者が不在だったり、対応できるスキルを持っていなかったりすると、業務が完全にストップしてしまう可能性があります。 特に基幹業務に関わるシステムが止まった場合、請求・出荷・在庫管理・顧客対応など、すべての業務に影響が及びます。そして、それが長時間に及べば、取引先からの信用失墜、機会損失、ひいては経営への打撃となる可能性すらあるのです。 ひとり情シスが対応できるキャパシティを超えるようなシステム障害やトラブルは、いつ起きてもおかしくありません。「今までは何とかなっていたから」と油断せず、早めに体制を見直すことが重要です。

離職・退職によるノウハウ喪失

最後に非常に大きなリスクとなるのが、ひとり情シス担当者の離職です。属人化が進んでいるケースでは、その人が辞めた瞬間に業務が完全に停止する恐れがあります。システム構成や設定情報、過去の障害履歴、ベンダーとの契約情報など、すべてが本人の頭の中にある状態は非常に危険です。 また、過剰な業務負担から心身に支障をきたし、退職につながるケースも少なくありません。せっかく経験を積んだIT人材を失ってしまうのは、企業にとって大きな損失です。しかも、後任を探そうとしても採用は難航し、最悪の場合、数ヶ月以上無人状態になることも…。

解決へのアプローチ方法

「ひとり情シス」の問題は決して他人事ではなく、どの企業にも起こり得る深刻な経営課題です。だからこそ、放置するのではなく積極的な改善アクションが必要です。この章では、ひとり情シス体制から脱却するための現実的な解決策を3つの視点からご紹介します。

社外リソースの活用(外部委託・アウトソーシング)

最も即効性のある方法の一つが、外部パートナーの活用です。IT運用やセキュリティ監視、ヘルプデスク業務など、特定の業務をアウトソースすることで、ひとり情シスの業務負荷を大幅に軽減できます。 最近では「情シス支援サービス」や「ITマネージドサービス」など、企業の規模や課題に合わせて柔軟に対応してくれるサービスも多く登場しています。これにより、常に最新技術を取り入れながら、コストも抑えつつ高品質なIT運用が実現できます。 また、外部ベンダーとの連携によって、自社の弱みを補い、属人化していた知識を「チーム」で共有・管理することも可能になります。トラブル対応時に頼れる専門家がいるというだけでも、担当者の精神的負担は大きく軽減されます。

ツール導入による業務効率化(ITSM、RPAなど)

次に注目したいのが、ITツールの活用による業務の自動化・効率化です。ITSM(ITサービスマネジメント)ツールを導入すれば、社内の問い合わせ対応やインシデント管理が一元化され、無駄な対応時間を削減できます。 また、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用すれば、定型的なバックオフィス業務を自動化し、ひとり情シスの作業負担を減らすことも可能です。 他にも、資産管理ツールやログ監視システム、オンラインヘルプデスクなど、業務を支える「仕組み」を整えることで、1人でも効率よく、かつ安全に業務が遂行できる体制を築くことができます。

経営層との連携とIT投資の必要性

いくら社内で努力しても、経営層の理解と協力がなければ本質的な改善にはつながりません。ITはもはや「守りのコスト」ではなく、「攻めの投資」であるという考え方に企業全体でシフトしていく必要があります。 そのためには、情シス担当者が孤立せず、経営層としっかりと対話を持つことが大切です。現状の課題やリスクを「数字」や「影響度」で可視化し、具体的な改善提案を伝えることで、理解を得やすくなります。 また、IT投資に関しても、「コスト削減」「業務効率」「リスク回避」といった明確なメリットを提示することで、必要な予算を確保しやすくなります。小さな改善からでもよいので、段階的に進めていくことが成功への近道です。

未来志向の情報システム部をつくるには

今、企業に求められているのは、「守りのIT」から「攻めのIT」への転換です。その中核を担うのが情報システム部門であり、ひとり情シス問題の解決は、その第一歩です。 まず重要なのは、チーム体制の再構築です。必ずしも正社員の増員にこだわる必要はなく、社外パートナー、フリーランス、プロジェクトベースのリソースを柔軟に組み合わせることで、多様な人材でチーム化を図ることが可能です。 加えて、情シス担当者自身のリスキリング(再教育・スキルアップ)も必要です。セキュリティ、クラウド、データ活用、AIなど、ITの進化に応じてスキルを磨くことで、より戦略的な役割を担うことができます。 さらに、経営層との連携は今後ますます重要になります。情シスが「現場の便利屋」にとどまるのではなく、経営に資するIT戦略の立案・実行を担う存在になることで、企業全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)も加速します。 情報システム部は単なる裏方ではなく、「企業の未来をつくる中核機能」なのです。ひとり情シスの改善は、その未来を開くための出発点なのです。

まとめ

「ひとり情シス」は、多くの企業が見過ごしがちな“静かな危機”です。しかし、その存在がもたらすリスクは決して小さくありません。業務の属人化、セキュリティリスク、業務停止の危険性など、放置すればするほど企業の根幹を揺るがす問題になりかねないのです。 今回ご紹介したように、外部の力を借りたり、ITツールを活用したり、経営層と連携を深めたりと、できることはたくさんあります。一人で抱え込まず、社内外を巻き込んだ体制づくりに取り組むことで、ひとり情シス問題は必ず解決に向かいます。 情報システム部門が「守り」から「攻め」へと進化する今こそ、自社の体制を見直すタイミングです。未来のために、“今”アクションを起こしましょう💪✨

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