カスタマーサポートツールは顧客対応の効率化と満足度向上を両立するうえで今や欠かせない存在です。近年は、生成AIの進化や多機能化が進み、選択肢も多様化しています。
本記事では、カスタマーサポートツールにおける代表的な10ツールの比較をはじめ、目的別に役立つ機能や選び方のポイントを、導入メリットや最新トレンドをわかりやすく解説します。
目次
カスタマーサポートツールとは、顧客からの問い合わせを効率的に管理・対応するためのシステムです。主にコールセンターやサポート部署で活用されています。カスタマーサポートの仕事内容として、電話やメール、チャットなど多様な経路からの問い合わせ対応や顧客管理を行うため、それらを属人化させず、効率的に運用するための、カスタマーサポートツールが必要とされています。
用途に応じて「問い合わせ管理」「顧客管理(CRM)」「回答支援(FAQ・チャットボット)」「コミュニケーション支援」などに分類され、従来のExcelや紙ベースの管理から脱却できます。最近ではクラウド型の手軽なサービスも増え、導入のハードルも下がっています。
カスタマーサポートツールは、用途や機能によって以下の4つの種類に分類できます。
各種ツールの概要や特徴について紹介します。
問い合わせ対応の管理システムは、電話(IVR)やメール、SNS、チャットなど、さまざまなチャネルから届く問い合わせを一元管理できるタイプのツールです。各問い合わせは「チケット」という概念で登録され、1件ごとに対応の進捗状況や担当者、やり取りの履歴を記録できます。
この「チケット」は、問い合わせの対応漏れや重複対応を防ぐための管理単位であり、必要に応じて他部署に引き継ぐことも可能です。さらに、対応中のチケットをロックする機能などにより、複数人での業務分担もスムーズに行えるため、複数人で対応する現場にとって大きな助けとなります。
関連記事:【最新】問い合わせ対応を効率化する5つの方法。問題と解決のコツ、問合せ効率化事例も解説
顧客情報管理に特化したCRM(顧客管理システム)は、氏名や連絡先、購買履歴、問い合わせ履歴など、顧客に関するあらゆる情報を一元的に管理できる種類のツールです。販売管理や予約管理など他のシステムと連携することで、より高度な活用が可能になります。
問い合わせ管理システムと組み合わせれば、問い合わせ時に顧客の履歴を即座に確認し、的確な対応が行えます。Excel管理に限界を感じている企業に特におすすめです。
顧客対応支援型のツールとしては、FAQシステムやチャットボットが代表的です。
FAQシステムは、よくある質問と回答をあらかじめ登録しておき、顧客やオペレーターが必要な情報をすばやく検索できるようにする仕組みです。一方、チャットボットはサイト上で自動応答を行い、ユーザーを適切な回答へ導きます。
定型的な問い合わせの自己解決を促すことで、対応件数の削減やオペレーターの負担軽減につながり、サポート業務の効率化を支援します。
関連記事:2025年最新のFAQシステムおすすめ10製品を比較!選び方とFAQシステム価格相場も解説
カスタマーサポートツールには、社内外のコミュニケーションを補助する役割を果たすものもあります。
カスタマーサポートの現場では、社内外のスムーズな連携が不可欠です。チャットツールを活用すれば、オペレーター同士の情報共有や、困ったときの相談が即座に行えます。顧客対応では、空いているオペレーターに自動で振り分けたり、チャットで複数対応するなどの効率化も可能です。
さらに、サイト訪問中の顧客に能動的に声をかける機能もあり、対応スピードの向上とともに、顧客満足度や購買意欲の向上にもつながります。
カスタマーサポートツールには様々な種類があることがわかりましたが、実際に選ぶ際にはどのようなことを意識すればいいのでしょうか?選定の際に注目すべきポイントについて解説します。
カスタマーサポートツールを選ぶ際は、まず自社の目的や課題に合った機能が備わっているかを確認することが重要です。顧客情報の一元管理や問い合わせ対応の効率化、自己解決を促す機能など、ツールごとに得意分野が異なります。
「対応漏れをなくしたい」「FAQで問い合わせ件数を減らしたい」など、解決したい課題に応じて最適な機能を持つツールを選びましょう。また、現場で使いやすい操作性もあわせてチェックすることが大切です。
カスタマーサポートの自動化を進めるうえで、生成AIの活用は重要なポイントです。近年は、問い合わせ内容の要約や回答文の自動生成、FAQ記事の作成支援など、ChatGPTのようなAIが実務に応用されるケースが増えています。
ツールによってAIの精度や対応範囲は異なるため、「どの業務を自動化したいのか」を明確にし、自社のサポート体制に適したAI機能が備わっているかと、その精度を見極めることが必要です。
カスタマーサポートツールは、導入前に無料トライアルやデモ版を活用して使用感を確認することが重要です。画面の見やすさや操作のしやすさ、必要な機能が直感的に使えるかを実際に試すことで、導入後のギャップを防げます。
特に複数人で利用する場合は、チーム全体で試しておくと安心です。いきなり本格導入するのではなく、まずは小規模に体験して判断しましょう。
カスタマーサポートツールは、顧客の個人情報を扱うため、高いセキュリティと信頼性が不可欠です。2要素認証(2FA)やシングルサインオン(SSO)といった認証機能の有無に加え、クラウドやオンプレミス環境でのコンプライアンス対応状況も確認しましょう。
信頼できるベンダーのツールを選ぶことで、情報漏洩リスクを抑え、安心して運用することができます。
カスタマーサポートツールの導入にあたっては、費用対効果(ROI)を事前に見積もる必要もあります。初期費用や月額料金だけでなく、業務効率の向上による人件費削減や顧客満足度の向上による売上増加といった効果も含めて総合的に判断することが大切です。
短期的なコストだけでなく、中長期的にどれだけ業務改善や収益に貢献するかを基準に選定することが、後悔しない選び方につながります。
おすすめのカスタマーサポートツールを紹介します。概要や機能、各ツールの特徴など、詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
Zendeskは、電話・メール・チャット・SNSなど複数のチャネルを一元管理できるクラウド型カスタマーサポートツールです。問い合わせを「チケット」として整理・可視化し、対応の効率化と漏れ防止に貢献します。FAQページの構築やAIチャットボットの搭載により、ユーザーの自己解決も促進。
さらに、リアルタイムでのやり取りが可能なエージェント専用ワークスペースや他ツールとの連携機能も充実しています。無料トライアルも提供されており、柔軟に導入検討が可能です。
概要 | 多チャネル対応の統合型カスタマーサポートツール |
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主な機能 | チケット管理、FAQ構築、AIチャットボット、エージェント用UI、連携機能 |
AI活用 | あり(多言語対応AIボット、自動応答・引き継ぎ対応など) |
無料版 | 無料トライアルあり |
料金 | 月額$55〜(最上位プランは要問い合わせ) |
Fullstarは、プログラミング不要でチュートリアルを簡単に作成できるカスタマーサポート支援ツールです。ユーザーの操作画面上にガイドを表示することで、オンボーディングをスムーズにし、人的対応の負担を軽減。顧客満足度調査やレビュー集計、AIによる回答分析も可能で、ユーザーの声を効率的に把握できます。
操作はシンプルで、初めて導入する企業にもおすすめです。無料プランから試すことができ、継続率やアップセル施策の強化にもつながります。
概要 | ノーコードでチュートリアルやアンケートを作成できるサポート支援ツール |
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主な機能 | チュートリアル作成、アンケート管理、レビュー集計、Slack連携 など |
AI活用 | あり |
無料版 | あり(無料アカウント発行) |
料金 | 無料プランあり、有料プランは要問い合わせ(初期費用は10万円) |
LMISは、ITILに準拠したクラウド型のサービスマネジメントプラットフォームで、主にBtoB向けのカスタマーサポートや社内IT運用に活用されています。標準化されたワークフローにより、インシデント管理や問題管理を効率化。レポート機能も豊富で、100種以上のテンプレートから状況を可視化できます。
オプションでリリース作業の自動化も可能です。月額10万円から利用でき、無料体験版も用意されており、堅牢なクラウド環境と柔軟な運用設計が強みです。
概要 | ITILに準拠したクラウド型サービスマネジメントプラットフォーム |
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主な機能 | インシデント管理、構成管理、ワークフロー標準化、レポート作成、自動化機能(オプション) |
AI活用 | なし(自動化機能あり/AIによる処理は記載なし) |
無料版 | あり(無料体験版) |
料金 | 月額10万円〜(25ユーザー)、初期費用30万円、1ユーザー追加4,000円/月 |
参考:LMIS 公式サイト
Tayoriは、専門知識がなくてもフォームやFAQなどを簡単に作成できるノーコード型のカスタマーサポートツールです。無料プランから始められ、問い合わせ対応・FAQ管理・アンケート作成に加え、チャットやAIチャットボット機能も備えています。
テンプレートが豊富で操作も直感的なため、導入しやすさが大きな魅力です。AIチャットボット機能は月額1万円で利用可能。小規模なスタートアップから中規模企業まで、段階的な導入に適した柔軟な料金プランが用意されています。
概要 | ノーコードで始められるカスタマーサポートツール。PR TIMESが提供。 |
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主な機能 | 問い合わせフォーム、FAQ、アンケート、チャット、AIチャットボット |
AI活用 | あり(AIチャットボット機能、月額1万円) |
無料版 | あり(フリープラン/1ユーザー・機能制限あり) |
料金 | 月額0円〜(有料プランは月額3,800円〜)、初期費用なし(上位プランを除く) |
参考:Tayori 公式サイト
メールワイズは、サイボウズが提供する、チームでのメール対応を一元管理できるメール共有システムです。15,000社以上に導入されています。
ステータス管理やコメント機能により、チーム内の対応漏れや二重対応を防止し、スムーズな情報共有を実現できるのが特徴です。また、過去の対応履歴の可視化やレポート機能も備え、業務の効率化に貢献します。
月額600円からの低価格で導入でき、サイボウズの他製品(例:kintone)との連携も可能です。
概要 | 複数人でのメール対応を効率化するメール共有・管理ツール |
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主な機能 | ステータス管理、コメント機能、対応履歴表示、レポート集計、一斉送信など |
AI活用 | なし |
無料版 | あり(30日間) |
料金 | 600円/ユーザー(最低5ユーザー~)、初期費用無料 |
参考:メールワイズ 公式サイト
「メールディーラー」は、チーム全体でのメール対応状況を見える化し、返信漏れや二重対応を未然に防ぐメール管理ツールです。既存のメールアドレスをそのまま使えるため、導入もスムーズ。テンプレートやQ&A機能で応対品質を均一化し、新人教育の手間も軽減できます。
対応履歴の時系列表示や担当者の明示により、引継ぎや顧客対応もスムーズです。AI機能の明記はありませんが、無料トライアルが可能で、実運用に近い環境を試すことができます。
概要 | メール共有・管理によって返信漏れや二重返信を防ぐメール管理ツール |
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主な機能 | 対応状況の可視化、テンプレート機能、対応履歴の検索、担当者の割り当て |
AI活用 | 明示的なAI機能の記載なし |
無料版 | 無料トライアルあり(期間限定、本番環境またはデモ環境) |
料金 | 要問い合わせ |
Re:lation(リレーション)は、メールやSNS、チャットなど複数チャネルの問い合わせを一元管理できるクラウド型サポートツールです。未対応・対応中などのステータス管理や、二重返信を防ぐロック機能により、チームでの対応精度と効率を向上します。
UIは直感的で使いやすく、API連携にも対応。ECやコールセンターなど幅広い業種で導入実績があります。無料トライアルでは全機能を制限なしで利用可能なため、導入前の比較検討にも最適です。
概要 | マルチチャネル対応の問い合わせ一元管理ツール |
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主な機能 | ステータス管理、二重対応防止、チケット管理、タイムライン表示、API連携など |
AI活用 | あり(最適なテンプレートの推薦など) |
無料版 | あり(10日間無料トライアル) |
料金 | 詳細は要問い合わせ |
SalesforceのService Cloudは、顧客対応の効率化と顧客満足度の向上を支援するクラウド型カスタマーサポートツールです。電話・メール・SNSなど複数チャネルからの問い合わせを一元管理でき、オムニチャネルルーティングやAIによるレコメンド機能で迅速な対応を実現。ナレッジベースにより自己解決も促進されます。
Slack連携やインシデント管理機能も充実しており、エンタープライズ向けに最適な一元サポート環境を構築できます。
概要 | クラウド型のカスタマーサポート支援ツール。問い合わせ対応とCRM機能を統合。 |
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主な機能 | オムニチャネル対応、ナレッジ管理、AIレコメンド、サービスコンソール、CTI連携など。 |
AI活用 | あり(生成AIによる回答提案、ケース要約、記事レコメンドなど) |
無料版 | あり(30日間無料) |
料金 | 有料(プランにより異なる。Essentialsは月25ドル~/ユーザー) |
Freshdeskは、世界中で5万社以上が導入するクラウド型のカスタマーサポートツールです。問い合わせを「チケット」で一元管理でき、メール・電話・チャット・SNSなど複数チャネルに対応しています。FAQやコミュニティフォーラムの構築機能もあり、顧客の自己解決を促進。
AIによる自動応答や対応の優先順位づけにも対応しており、業務効率化に貢献します。最大10人まで使える無料プランや14日間のトライアルも用意されており、リーズナブルに導入できるのも魅力です。
概要 | 世界5万社以上が導入する多機能なクラウド型ヘルプデスクツール |
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主な機能 | チケット管理、ナレッジベース、コミュニティ、マルチチャネル対応、業務自動化、レポート機能 |
AI活用 | あり(問い合わせ対応の自動化機能など) |
無料版 | あり(14日間無料トライアル) |
料金 | 月額2,200円〜11,500円で業務規模に応じた機能拡張が可能 |
Helpfeelは、特許取得済みの「意図予測検索」とAIによる自動FAQ構築で、問い合わせ数削減と顧客満足度向上を両立する次世代型サポートツールです。ユーザーの検索行動を分析し、課題の可視化やVOC活用まで可能。継続率99%、600社以上の導入実績を誇り、特に有人対応の削減に貢献しています。
検索精度や運用支援も高く、ITに不慣れな利用者でも直感的に操作できます。FAQによる自己解決を強力に支援する、信頼性の高いAI-FAQソリューションです。
概要 | 特許技術「意図予測検索」を搭載したAI-FAQシステム |
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主な機能 | 高精度検索、自動FAQ構築、行動データ分析、レポート出力 |
AI活用 | あり(AIによるFAQ構築・検索精度向上) |
無料版 | なし |
料金 | 要問い合わせ(個別見積もり制) |
カスタマーサポートツールを紹介しましたが、導入することで具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?主な3つのメリットについて紹介します。
カスタマーサポートツールは、AIや自動化機能により対応業務を効率化し、人手を増やさずに多くの問い合わせに対応できるため、コスト削減に貢献します。
同時に、チャネルを問わず迅速にサポートできるオムニチャネル対応や、顧客情報の一元管理によるスムーズな対応は、顧客満足度やロイヤルティの向上につながります。結果として、業務の質と経営効率を両立できるのが大きなメリットです。
カスタマーサポートツールには、レポート機能や分析ダッシュボードが備わっており、リアルタイムで対応状況や担当者のパフォーマンスなどの情報を可視化できます。
そのため、収集したデータにもとづいて、サポート体制の強みや改善点を把握しやすくなり、リソース配分や業務改善に関する意思決定をスピーディかつ的確に行えるといったメリットがあります。データに裏付けられた判断は、サービス品質の継続的な向上にも効果的です。
カスタマーサポートツールを導入することで、問い合わせ内容や顧客情報を一元管理できるため、担当者ごとの情報格差をなくし、対応品質向上にもつながります。その結果、誰が対応しても安定した品質の回答が可能となり、業務の属人化も防止可能です。
さらに、過去のやり取りを参照できる機能により、対応内容の振り返りやナレッジ共有が進むため、サポートチーム全体のスキル向上にもつながります。
カスタマーサポートの現場では、テクノロジーの進化や顧客ニーズの変化により、大きな転換期を迎えています。ここでは、注目すべき最新トレンドをご紹介します。
デジタル化が進んだ現在では、ユーザーは「待たずに解決したい」と望む傾向が強まっており、自己解決できる環境の整備が重要になっています。
たとえば、クラウドサーカス社が提供するSaaS向けオンボーディングツール「Fullstar」では、チュートリアル表示などにより、ユーザー自身の理解と活用をサポートします。自己解決を促す仕組みを導入することで、対応工数を削減しつつ、顧客満足度の向上に効果的です。
カスタマーサポートのトレンドとして注目されているのが、AIの活用です。AIを活用したツールを活用することで、対応品質とスピードの向上を効率良く実現できます。
特にチャットボットの導入が進み、定型的な質問に即時対応することで、問い合わせ件数やスタッフの負担を大幅に軽減できるようになっています。ただし、すべてをAIで代替できるわけではなく、複雑な問題や顧客の感情に寄り添った対応には、引き続き人の力が必要です。
参考までに、チャネルトークのRoony氏は、2025年でのカスタマーサポート領域の展望として、「AIと人間の協働強化」や「生成AIの活用」「24時間接客を実現した生成AIエージェント」など、AIによる業務効率化と人間のきめ細かなサポートのハイブリッド化を上げています。
AIの活用は必須になっていく流れの中、どのようにAIを使うか、費用対効果をどこに見出すかは導入企業側のスキルが求められるでしょう。
本記事では、代表的な10ツールの比較をはじめ、目的別に役立つ機能や選び方のポイントを、導入メリットや最新トレンドとあわせてわかりやすく解説しました。
カスタマーサポートツールは、単に問い合わせを管理するだけでなく、業務効率や顧客満足度を大きく左右する重要な存在です。
自社の課題や目的に合ったツールを選ぶことで、より質の高い顧客対応を実現し、信頼度の高いサポート環境を整えていきましょう。
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