近年、企業の成長戦略として注目を集めている「カスタマーサクセス」。その中核を支える存在として、「CS Ops(カスタマーサクセスオペレーション)」の重要性が高まっています。
属人化が問題となりがちなカスタマーサクセスにおいて、CS Opsは効率的な業務設計やツールの導入、データ活用により、カスタマーサクセスの成果を最大化する役割を担っています。データの活用はあらゆる部門で重要視されているため、CS Opsも今後ますます欠かせない役割となるでしょう。
本記事では、CS Opsの概要や役割、CS Ops人材に求められるスキルについて詳しく解説します。 CSのKPI設計/指標は? 効果高い施策は? を調べている方へ 2025年のカスタマーサクセスのトレンドから、解約率などのKPI・効果があった施策・ツールでの生産性向上など、CS担当200名に行ったアンケート結果も掲載。ちょっと気になる「他社の動き」を見てみませんか?
目次
CS Opsとは、「Customer Success Operations(カスタマーサクセスオペレーション)」の略で、カスタマーサクセス業務を裏側から支える専門領域を指します。
そもそもカスタマーサクセスとは、既存顧客が自社の製品やサービスを最大限に活用し、継続的な成果を得られるよう支援する活動のことです。単なるサポートではなく、顧客の成功を能動的に後押しすることで、解約率の低下やLTV(顧客生涯価値)の向上を目指します。
そのカスタマーサクセスをサポートするのが「CS Ops」です。データ分析やツール管理、業務プロセスの整備などを通じて、カスタマーサクセス担当者が効果的に動ける体制を整えます。顧客と直接やり取りすることは少ないものの、成果を最大化するために欠かせない存在として注目されています。
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「CS Ops」と混同されやすい言葉が多く存在するため、以下で各言葉の概要と「CS Ops」との違いをみていきましょう。
CS Opsをより深く理解するためには、似た名称を持つ他のOps職種との違いを把握しておくことが重要です。それぞれ企業における「Ops」の役割を担う部署ですが、それぞれ異なる目的と業務内容が異なっています。
CS OpsとSales Ops、Dev Opsの主な違いを整理します。
CS Ops(Customer Success Operations)
顧客の成功体験を支えるために、カスタマーサクセス部門の業務をバックオフィスからサポートする部門。顧客とは直接関わらず、カスタマーサクセスの効率化やデータ活用、ツール運用などを担当。
Sales Ops(Sales Operations)
営業活動の最適化を目的とし、営業担当者が成果を上げやすくするための支援を行う部門。営業戦略の立案や営業データの分析、ツールの導入支援などを行う。
Dev Ops(Development Operations)
ソフトウェア開発とIT運用の連携を強化し、サービスの品質向上とリリースの迅速化を図る部門。エンジニア部門がスムーズに開発・提供できるよう支援するのが主な役割。
それぞれ異なる部門の業務効率化と成果最大化を担っていますが、共通して「現場を裏側から支える」という点が特徴です。
他に、CS Opsと混同されやすいものに「CSM(Customer Success Managerの略)」があります。いずれもカスタマーサクセスを推進する役割ですが、担当する領域に明確な違いがあります。
CSMは、顧客と直接コミュニケーションをとり、サービスの活用支援や継続利用の促進、アップセルなどを通じて、顧客の成功を導く「フロント」の役割です。なお、企業によっては、カスタマーサクセス全体を統括する立場ではなく、「担当している特定の顧客に対して責任を持つ役割」として定義されているケースもあります。
CS Opsは、CSMがより効果的に動けるよう、ツールの整備や業務プロセスの最適化、データ分析による戦略支援など、裏側から支える「バックヤード」の役割を担います。
両者が連携することで、顧客満足度と継続率の向上につながるカスタマーサクセス体制を実現可能です。
近年特に注目を集めているCS Opsですが、なぜこんなにも重要視されているのでしょうか?カスタマーサクセスにおいてCS Opsが重要な3つの理由について解説します。
顧客ごとに抱える課題や利用状況が異なるカスタマーサクセスの現場では、すべての顧客に対して個別対応を行うのは現実的ではありません。特に人員が限られている企業では、対応工数が膨らみやすく、非効率になりがちです。
そこでCS Opsが、対応の仕組み化やデータ活用によって業務を最適化し、CSMが効率よく価値提供できる環境を整える役割を担います。顧客ごとに対応が異なる中でも、高品質かつ効率的なサポートを実現するためには、CS Opsによる支援体制の構築が不可欠です。
カスタマーサクセスでは、顧客対応が属人化しやすく、業務が非効率になりがちです。そこで重要となるのが、CS Opsによる業務プロセスの仕組み化・型化です。
CS Opsは、個人の経験に依存しがちな対応フローやコミュニケーションを標準化し、誰もが同じ品質で業務を遂行できる体制を整えます。CSMは再現性の高い対応が可能となり、生産性向上と組織全体の品質維持につながります。
カスタマーサクセスにおいては、経験や勘に頼った対応では成果を出しにくくなってきています。近年は顧客の利用状況や行動データをもとに課題を可視化し、最適なタイミングと方法でアプローチすることが求められています。
そこで注目されるのがCS Opsの役割です。業務プロセスを仕組み化し、データを活用した戦略を構築することで、CSMの業務を効率化しつつ、顧客への対応品質を高める支援を行います。
ここまでCS Opsの概要と重要性についてみてきましたが、具体的にはどのような役割を果たすのでしょうか?CS Opsに求められている以下の4つのミッションについて解説します。
カスタマーサクセスの現場では、担当者ごとに対応方法が異なる「属人化」が大きな課題となっています。CS Opsは、業務プロセスを整理・可視化し、ルール化することで属人化を解消します。
たとえば、顧客対応フローや部署間の連携手順を明文化することで、誰が担当しても同じ品質で業務を遂行できる体制を構築可能です。再現性の高いプロセスにより、業務の効率化とナレッジの蓄積を実現し、組織全体の生産性向上を実現します。
CS Opsの重要な役割のひとつが、カスタマーサクセス業務に適したツールの選定・導入と、その活用を社内に定着させることです。CRMや問い合わせ管理、オンボーディング支援ツールなど多岐にわたるシステムを的確に運用し、CSチームが日々の業務で迷わず活用できる環境を整備します。
また、現場での活用状況をモニタリングし、継続的なトレーニングやサポートを行うのもCS Opsの役割です。適切なツールの活用促進によって、業務効率化と顧客体験の向上を同時に実現します。
CS Opsは、顧客データをもとにした戦略的な意思決定を支える重要な役割を担います。顧客のサービス利用状況や満足度、問い合わせ履歴などを分析し、解約リスクの高い顧客やアップセルが見込める顧客を特定します。
ヘルススコアなどの指標を活用して、最適なタイミングと方法でアプローチするための戦略を立案・提案するのも役目です。データドリブンなサポートにより、カスタマーサクセスの成果最大化と継続率の向上が可能になります。
CS Opsは、カスタマーサクセス業務の品質と再現性を高めるために、オペレーション全体の設計を担います。具体的な業務は、オンボーディングプログラムの型化や定例ミーティングの進行内容の標準化、対応マニュアルの整備などです。
さらに、アップセル・クロスセルといった収益向上施策においても、顧客データにもとづいた戦略を設計し、現場の活動を仕組み化。属人化を防ぎ、安定した成果につなげる基盤を構築します。
CS Opsの果たす役割がわかったところで、次にCS Opsが取り組むべき重要な施策について具体的に解説します。
CS Opsは、自社の業務内容や組織構造に最適なCSツールを選定・導入し、その定着と活用を推進します。CRMや問い合わせ管理ツールなど多岐にわたるシステムの中から必要なものを選び、導入後はマニュアル整備や勉強会を通じて、現場の理解と運用をサポートするのがCS Opsの役目です。
ツールを活用した業務プロセスの最適化や情報共有の円滑化を図ることで、カスタマーサクセス全体の生産性と効果を高める基盤を築きます。
CS Opsは、顧客データの可視化と分析を通じて、戦略設計の精度とスピードを高める役割を担います。利用状況や契約履歴、満足度などの多様なデータを統合・可視化し、グラフやチャートを用いてチーム全体で共有可能な形に整理。属人的な判断に頼らず、データドリブンな意思決定を可能にします。
また、CS活動の効果測定や課題抽出も支援し、アップセルや解約防止などの施策に的確につなげていくのも重要な施策です。
カスタマーサクセス業務の工数削減(仕組み化・自動化)CS Opsでは、業務フローや情報共有の仕組みを整備・自動化することで、担当者の対応工数を削減し、より戦略的な業務に集中できる環境を構築します。具体的な業務は、チーム間の連携プロセスや顧客対応の標準化、業務に必要なツールの導入・運用の最適化などです。
また、新任担当者がスムーズに業務に入れるよう、オンボーディング支援も行い、組織全体の生産性向上に寄与します。
CS Opsには、業務設計力やデータ分析力に加え、他部署と連携しながら円滑に業務を推進するコミュニケーション力など、多くのスキルが求められます。特に大切な3つのスキルについて、以下で解説します。
CS Opsは、戦略や施策を現場のカスタマーサクセス担当者に適切に伝え、実行を支援するハブのような存在です。そのため、単なる情報伝達ではなく、相手の立場や状況を汲み取りながら、自らの意図も的確に伝える高度なコミュニケーションスキルが不可欠です。
担当者の課題を把握し、共感を持ってサポートする姿勢は、信頼関係の構築と組織全体の成果向上につながります。調整力や傾聴力も重要な素質の一つです。
CS Opsには、カスタマーサクセスを支えるための幅広い技術的スキルが求められます。業務効率化や施策の自動化を進めるには、システムやツールへの理解はもちろん、開発・IT・マーケティング・営業といった周辺領域への知見も重要です。
また、顧客の課題を把握し、データや仕組みに基づいた具体的な改善提案を行う力も必要です。部門横断で連携を進めるための「橋渡し役」としての視点と、課題解決型のコンサルティング力が鍵となります。
データ分析スキル
CS Opsには、膨大な顧客データを的確に読み解き、戦略に落とし込むための高度なデータ分析スキルが求められます。顧客の利用傾向や満足度、ヘルススコアといった指標を定量的に把握し、課題や成功要因を導き出すことで、より効果的な施策立案が可能です。
また、BIツールやデータベースの基本構造への理解があると、可視化や部門間共有もスムーズに行え、カスタマーサクセス全体の質を底上げする役割を果たせます。
本記事では、CS Opsの概要や役割、CS Ops人材に求められるスキルについて詳しく解説しました。
CS Opsにおいて、生産性向上の鍵を握るのがツールの活用です。業務プロセスの自動化や可視化、顧客データの一元管理など、ツールを効果的に取り入れることで、CS Opsの業務効率は飛躍的に向上します。
さらに、再現性のある仕組みを整備することで、担当者のスキルに依存しない安定した運用が可能となり、カスタマーサクセス全体の質の向上にもつながります。
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