
稟議書や経費精算、各種申請業務において「差し戻し」という言葉は頻繁に使われます。申請者にとっては手戻りによる業務負担の増加、承認者にとっては確認作業の煩雑化を招く、厄介な存在です。この差し戻しが多発すると、ワークフロー全体の停滞や、組織の生産性低下に直結しかねません。
本記事では、差し戻しが発生する根本的な原因から、明日から実践できる具体的な防止策、さらには業務効率を飛躍的に向上させるITツールの選定ポイントまでを網羅的に解説します。
本記事は、以下のような課題をお持ちの社内DX推進・管理部門のご担当者様に特におすすめです。
また、記事で解説するワークフローの課題解決に役立つ「Fullstar」の資料もご用意しています。ツールの定着化を支援し、入力ミスといったヒューマンエラーを削減する機能について、ぜひダウンロードしてご確認ください。
マニュアルの有効活用・社内問い合わせ削減をしたい方へ
ワークフロー・経費精算・CRM・ERPなど様々な業務システムを「操作に迷わなくする」仕組みで、社内問い合わせを90%削減・マニュアル閲覧率向上!
目次

業務改善の第一歩として、まずは「差し戻し」の正確な意味と、混同されがちな「却下」「取り下げ」との違いを正しく理解しましょう。これらの言葉を正しく使い分けることで、コミュニケーションの齟齬を防ぎ、円滑な承認プロセスに繋がります。
「差し戻し」とは、提出された申請書や稟議書などについて、内容の不備や確認事項がある場合に、承認者が申請者へ書類を戻す行為を指します。 重要なのは、申請を最終的に拒否するものではないという点です。あくまで、内容を修正・追記した上で再申請することを前提とした手続きであり、「修正依頼」と近いニュアンスを持ちます。
出典: 「差し戻し」の意味とは?ビジネスでの使い方や類語「却下」との違いを解説
差し戻しと混同されやすい言葉に「却下」と「取り下げ」があります。それぞれの意味は明確に異なります。
却下: 申請内容そのものが承認できない、または規定に沿わないと判断された場合に、申請を最終的に退けることを指します。差し戻しと違い、修正して再申請することは想定されていません。根本的な見直しや、計画の白紙化が必要となる、より重い決定です。
取り下げ: 申請者自身の判断で、提出した申請を自ら取りやめることを指します。承認フローの途中で申請内容に誤りを見つけたり、状況の変化で申請自体が不要になったりした場合に、申請者側から行われます。
| 用語 | 行為者 | 目的・意味 | 再申請の可否 |
|---|---|---|---|
| 差し戻し | 承認者 | 内容の修正を依頼する | 前提とする |
| 却下 | 承認者 | 申請を最終的に退ける | 不可 |
| 取り下げ | 申請者 | 申請自体を取りやめる | - |

差し戻しは、単なる「手戻り」以上の問題を組織にもたらします。差し戻しが常態化すると、目には見えにくいコストが発生し、徐々に業務効率を蝕んでいきます。ここでは、差し戻しが引き起こす主な3つのコストについて解説します。
最も分かりやすい問題が、時間的コストです。申請者は書類の修正や再作成に時間を取られ、承認者もまた、同じ申請を二度、三度と確認する手間が発生しますこの一連のやり取りにかかる時間は、本来であれば他のより生産的な業務に使えるはずの時間です。差し戻しが1件発生するごとに、関係者全員の貴重な時間が失われ、プロジェクトの進行遅延やビジネス機会の損失に繋がる可能性があります。
差し戻しが発生すると、必ず「なぜ差し戻されたのか」を確認・伝達するためのコミュニケーションが発生します。電話やメール、チャットツールでの質疑応答、場合によっては会議を設定して説明が必要になることもあるでしょう。特にリモートワークが普及した現代において、文章だけでは意図が伝わりにくく、認識の齟齬が生まれやすい環境です。こうした追加のコミュニケーションは、当事者の精神的な負担となるだけでなく、業務の中断を引き起こし、集中力を削ぐ原因にもなります。
頻繁な差し戻しは、従業員のモチベーションにも悪影響を及ぼします。「また差し戻された」「細かい指摘ばかりで進まない」といったネガティブな感情は、仕事への意欲を低下させます。申請者側は徒労感を覚え、承認者側も何度も同じ説明をすることに疲弊してしまいます。このような状態が続くと、従業員は新しい提案や改善活動に対して消極的になり、組織全体の活力が失われるリスクがあります。

「なんでこんなに差し戻しが多いんだろう…」「またこの作業か…」と、頻繁な手戻りにうんざりしている方も多いのではないでしょうか。実はその原因は、個人のスキルや注意力の問題ではなく、多くの職場で共通してみられる「落とし穴」に隠されています。
ここでは、差し戻しが生まれてしまう代表的な3つの落とし穴をご紹介します。自社の状況がどれに当てはまるか、ぜひチェックしてみてください。
一つ目は、申請や承認に関するルールそのものに問題があるケースです。いくら注意深く作業しても、土台となるルールがしっかりしていなければ、差し戻しはなくなりません。
二つ目は、申請フォーマットや一連の作業手順(プロセス)が、使う人にとって不親切なケースです。良かれと思って作られたルールでも、手順が分かりにくければ、ミスを誘発する原因になってしまいます。
三つ目は、業務で使っているシステムやツール自体が、差し戻しの原因になっているケースです。せっかく導入したITツールも、使い方を間違えれば逆効果になってしまいます。

手作業での対策には限界があります。差し戻しを抜本的に解決し、業務効率を飛躍的に向上させるためには、ワークフローシステムの導入が極めて有効です。ここでは、差し戻し防止という観点から、システムを選定する際に確認すべき3つの重要ポイントを解説します。
ヒューマンエラーによる差し戻しを最も効果的に防ぐのが、システムの入力支援機能です。
企業の成長や組織変更に伴い、承認フローは複雑化します。「申請金額が100万円以上の場合のみ、役員承認を追加する」「特定のプロジェクトに関する申請は、プロジェクトマネージャーの承認を必須にする」といった、柔軟な条件分岐に対応できるかは非常に重要です。自社の複雑な承認ルールをシステム上で再現できなければ、結局システム外での確認作業が発生し、差し戻しの原因となります。
どんなに高機能なシステムでも、ITに不慣れな従業員が使いこなせなければ意味がありません。むしろ、使いにくいシステムは新たなストレスとなり、導入前より状況が悪化する可能性すらあります。

差し戻しという課題は、一つの原因から生じるものではなく、複数の要因が絡み合って発生します。そのため、対策も一つの施策で解決するものではありません。ここでは、差し戻しを未然に防ぐための具体的なアプローチを5つのステップでご紹介します。
まず基本となるのが、誰が使っても迷わず、ミスが起きにくい申請フォーマットを用意することです。自由記述の項目を減らして選択式にしたり、必須項目を明示したり、入力例を併記したりする工夫が有効です。フォーマットを標準化するだけでも、単純な記載漏れや表記揺れによる差し戻しは大幅に削減できます。
次に、「誰が、何を基準に、どの順番で承認するのか」という承認プロセス全体を可視化し、最適化します。必要のない承認ステップはないか、特定の個人に判断が依存していないかを見直し、全社で統一された明確なルールを定めます。このルールは形骸化しないよう、人事異動などのタイミングで定期的に見直すことが重要です。
承認プロセスが明確になっても、その基準となる知識(ナレッジ)が担当者の中にしか存在しない「属人化」した状態では、判断のブレは防げません。よくある差し戻し事例や、間違いやすい勘定科目の選択基準などをFAQやマニュアルとして整備し、誰もがアクセスできる場所に保管しましょう。「知らなかった」が原因で発生する差し戻しをなくすための環境整備です。
作成したルールやマニュアルは、一度共有しただけでは浸透しません。社内ポータルでの定期的なアナウンスや、新入社員・異動者向けの研修などを通じて、継続的に周知し続ける文化を醸成します。これにより、組織全体の業務品質の底上げを図ります。
ステップ1から4は、差し戻しを減らすための重要な基盤となります。しかし、人間である以上「うっかりミス」や「ルール忘れ」を完全になくすことは困難です。そこで最後のステップとして、テクノロジーの力でヒューマンエラーを未然に防ぐアプローチが有効になります。
例えば、DAP(デジタルアダプションプラットフォーム)のようなツールは、システムの画面上に直接「この項目には〇〇を入力してください」といったナビゲーションを表示できます。これにより、従業員がマニュアルを探しにいかなくても、システムを使いながら自然と正しい操作が身につき、入力ミスそのものを発生させない仕組みを構築することが可能です。
優れたワークフローシステムを導入すれば、差し戻し問題はすべて解決するのでしょうか。実は、多くの企業が「システム導入後の定着化」という新たな壁に直面します。特に、入力項目が複雑なシステムや、多機能なシステムほど、「使い方が分からず、結局問い合わせが増える」「入力ミスが減らない」といった問題が発生しがちです。
システムが入力ミスを完全に防げるわけではありません。例えば、「交際費」と「会議費」の勘定科目の選択を間違える、といったケースは、システム上の制御だけでは防ぎきれません。これは、従業員が「どの場面でどちらの科目を選ぶべきか」という業務ルールを正しく理解していないために起こる問題です。このような「システムの問題」ではなく「人間の問題」に起因する差し戻しは、ツールを導入しただけでは解決が難しいのが実情です。
そこで注目されているのが、「DAP(デジタルアダプションプラットフォーム)」です。DAPは、既存のシステム上に操作ガイドや入力ルールを直接表示させることで、ユーザーが迷わず正しくシステムを使えるように支援するツールです。
弊社の「Fullstar」は、まさにこのDAPを実現するツールです。例えば、ワークフローシステムの勘定科目入力欄に「5,000円以下の飲食費は会議費を選択してください」といったルールをリアルタイムで表示したり、複雑な申請画面の操作手順をステップ・バイ・ステップでナビゲーションしたりすることができます。
これにより、マニュアルを探しに行く手間をなくし、従業員の自己解決を促進します。結果として、問い合わせ対応や差し戻し対応といった管理部門の工数を大幅に削減し、ワークフローシステム本来の効果を最大化させることが可能です。
本記事では、多くの組織を悩ませる「差し戻し」について、その定義から問題点、原因、そして具体的な対策までを網羅的に解説しました。
差し戻しは、単なる手戻りではなく、時間・コミュニケーション・モチベーションという3つの重要なコストを組織から奪っていきます。その原因は、単純な入力ミスから、形骸化したルール、システムの使いにくさまで様々です。
差し戻しを削減するためには、
これらの対策を組み合わせ、自社の状況に合わせて段階的に実行していくことが、生産性の高いワークフローを実現するための鍵となります。

フォーム入力後、資料を閲覧できます。

無料プランで始める
書類不要!最低利用期間なし!
ずっと無料で使えるアカウントを発行