社内ヘルプデスクツールは、情報の一元管理や対応の自動化によって、社内外から寄せられる問い合わせ対応を効率化するツールです。
社内からの問い合わせ対応に時間を取られ、本来の業務が手につかないといった課題の解消に役立ちます。
本記事では、ツールの基本機能や導入メリット、選び方のポイントに加え、2025年最新版のおすすめツール10選をわかりやすく紹介します。
目次
社内ヘルプデスクツールは、社内から寄せられる問い合わせ対応を効率化するためのシステムです。情報の一元管理や対応履歴の共有により、業務負担を軽減し、スムーズな問題解決をサポートします。
本章では、ヘルプデスクツールの機能と種類について解説します。
ヘルプデスクツールには、問い合わせ対応を効率化するための多彩な機能が備わっています。代表的なのは、問い合わせ内容の自動記録と一元管理機能です。電話やメール、チャットなど多様な経路から届く問い合わせを一つの画面で管理でき、Excelのような手作業による記録ミスや更新漏れを防ぎます。
その他の主な機能は以下の通りです。
これらの機能が多く備わっているほど高機能高価格帯になります。逆に絞られていると、低価格帯で使い始めやすくなります。
ヘルプデスクツールには、企業の規模や課題に応じたさまざまな種類があります。
企業規模によって、高機能高価格帯のツールと、安価で機能を絞り込んだツールがあります。
また、オープンソースでカスタマイズ性に優れ、自社で構築も可能なシステムもあれば、クラウドツール(SaaS)ですぐに導入できるツールもあります。
他にも目的別で捉えると、このような種類があります。社内ヘルプデスクは属人化しないようにすることが重要なため、一元管理やAIによる自動化、あるいはそもそもの問い合わせを減らし、ヘルプデスクの工数削減を実現するツールなどもあります。
自社の抱える課題に応じて、適切なツールを選定することが大切です。
社内ヘルプデスクツールを活用することで、様々なメリットが得られます。本章では、以下の主な4つのメリットを紹介します。
ヘルプデスクツールを活用することで、問い合わせ情報の管理や共有が格段にスムーズになります。受付日時や対応状況、優先度などをリアルタイムで可視化できるため、抜け漏れや対応遅れを防止することも可能です。
さらに、誰がどの問い合わせに対応しているかを一目で把握でき、進捗確認や引き継ぎもスムーズに行えます。複数チャネルからの問い合わせも一括管理できるため、社内外の連携が強化され、業務の効率化と品質向上に大きく貢献します。
ヘルプデスクツールは、問い合わせ件数や対応スピード、担当者ごとの対応状況などのデータを自動で収集・蓄積します。これらのデータを分析することで、繁忙期の把握や課題の特定が容易にできるようになり、人員配置や業務フローの最適化に活かせます。
無駄な作業やリソースの偏りを防ぎ、効率的で質の高いヘルプデスク運営を実現できる点が大きなメリットです。
※弊社データより抜粋
社内ヘルプデスクへの問い合わせの多くは、パスワード再発行やシステム利用方法など基本的な内容が全体の6割を占めています。ヘルプデスクツールを活用し、よくある質問を自己解決できる仕組みを整備することで、対応業務の負担を大幅に軽減可能です。
さらに、自動振り分けやテンプレート機能を活用すれば、複雑な問い合わせへの迅速な対応も実現でき、運営全体の効率化につながります。
ヘルプデスクツールを導入することで、顧客からの意見や問い合わせを他部署にスムーズにフィードバックできるようになるというメリットもあります。情報を一元管理できるため、営業や開発部門に必要なデータを簡単に共有可能です。たとえば、特定の製品に関する問い合わせが増えていることがわかれば、マーケティング施策に活用できます。
さらに、タグ付け機能を使うことで、必要な情報をすばやく抽出し、担当部門への引き継ぎが効率的に行えます。部署間での連携強化によって、企業全体の改善を実現できます。
社内ヘルプデスクツールの基礎知識や活用メリットについてお伝えしましたが、実際に選定する際にはどこに注目すればいいのでしょうか?
以下では、社内ヘルプデスクツールの選び方のコツに関して、以下のポイントについて解説します。
ヘルプデスクツールを選ぶ際は、自社の現行業務フローに無理なく組み込めるかが重要なポイントです。たとえば、チケット管理機能があるツールなら、担当者の割り当てや引き継ぎがスムーズになり、業務の属人化を防げます。
さらに、自動割り当てやワークフロー設計機能を活用すれば、対応の偏りを防ぎ、効率的な運用が可能です。導入前には、自社の業務の流れや課題を見直し、それに適した提供形態や機能を持つツールを選びましょう。
社内ヘルプデスクツールを選ぶ際は、自社の目的や課題に合った機能や連携性が備わっているかも注目ポイントです。自動振り分けやAIによる問題分類などの機能があれば、対応スピードと正確性が向上し、担当者の負担軽減にもつながります。
また、業務の変化に応じて機能を追加・削除できる拡張性もポイントです。社内フローの変化や人員体制に柔軟に対応できるツールを選ぶことで、継続的かつ効率的な運用が可能になります。
社内ヘルプデスクツールは、単に導入するだけでなく、現状のコストや工数に対してどれだけの効果を見込めるかを見極めることが重要です。
弊社が実施した「DX推進に関する実態調査」において、マニュアル作成やヘルプデスク業務の外注などの社内のツール利用促進の施策はどれも「半分程度しか効果が出ていない」ことが分かっています。
企業によって効果は差があるものの、実態としてはさらなる改善やサポートの充実が求められます。
また、従業員が必要なときにすぐにアクセスできる支援としてシステム上のチュートリアルや操作ガイドによって利便性向上を計る企業も増えています。
だからこそ、ツールを導入すれば問題が解決するのではなく、運用し続けて成果が出ることを前提として、「運用担当者を設けることはできるか」「担当者は専任で必要か、それとも兼任でも運用できるレベルのツールか」「社員にしっかり使ってもらうことができるか」など、コストを下げながら効果を上げるための施策をセットにして、ツール導入の検討をするのが良いでしょう。
効果の出やすい体制づくりとあわせて、コスト対効果の高い選択を意識しましょう。
ヘルプデスクツールを選ぶ際には、問い合わせ内容や件数、対応スピードなどのデータを収集・分析できる機能が備わっているかも重要なポイントです。蓄積された情報を活用することで、よくある質問への対応を効率化したり、人員配置や業務フローの最適化につながります。
データに基づいた運用改善は、属人化の防止や業務全体の質の向上にも貢献します。継続的な改善を目指すうえで、分析機能は欠かせません。
社内ヘルプデスクツールを選ぶ際は、誰でも直感的に使える操作性と、導入後も安心して活用できるサポート体制が整っているかを確認しましょう。マニュアルを読まなくても扱えるインターフェースや、トラブル時にすぐ対応してくれるチャット・メール・電話サポートがあると、現場での定着率も向上します。
また、導入後の運用支援やFAQの充実度も、長期的な活用において大きな判断材料となります。
社内の問い合わせ対応を効率化するには、自社の目的に合ったヘルプデスクツールの導入が欠かせません。また、前章で述べた機能やサポート体制が整っているかどうかも確認する必要があります。
本章では、おすすめの社内ヘルプデスクツールを厳選し、各ツールの特徴や機能について詳しく解説します。
Fullstarは、SaaSツールを約61,000社に提供しているクラウドサーカス社が開発した、自己解決を促進するオンボーディング支援ツールです。
ノーコードで簡単にチュートリアルを作成でき、ユーザーはシステム利用時にリアルタイムでアドバイスやヒントを受け取ることができます。そのため、サポートチームの負担を軽減し、社員が独自に問題解決できる環境を提供します。
加えて、アンケート機能を活用し、顧客の声を集め、サービス改善に活かすことができる点も魅力です。ユーザーの利用状況を把握して、解約リスクやアップセルの機会を早期に察知できる機能も備わっています。
Service Cloudは、Salesforceが提供するクラウド型のカスタマーサポートツールで、電話・メール・チャット・SNSなどマルチチャネルの問い合わせを一元管理できます。
AIを活用したレコメンデーションや自動化機能により、対応の迅速化とオペレーターの生産性向上を実現。FAQやチャットボットの活用で稼働率も最適化され、大規模なサポート体制にも柔軟に対応できます。企業規模問わず、顧客満足度向上と業務効率化を両立できる点も大きな魅力です。
Zendeskは、メール・チャット・電話・SNSなど、複数のチャネルからの問い合わせを一元管理できるクラウド型ヘルプデスクツールです。問い合わせの対応履歴を自動で記録・共有できるため、チーム内の連携がスムーズになり、対応漏れや重複を防ぎます。
また、AIチャットボットによる自動応答やFAQの作成機能により、よくある質問への対応を効率化。顧客も自己解決しやすくなり、サポート負荷を軽減できます。
さらに、詳細なレポート・分析機能も搭載されており、対応品質や顧客満足度の継続的な改善に貢献します。企業規模やニーズに応じて柔軟に選べる料金体系も魅力です。
Flipdeskは、ユーザーの行動データをもとに一人ひとりに最適な接客を実現するWeb接客ツールです。サイト訪問者の閲覧履歴や購買状況を分析し、個別にクーポン配布やキャンペーン案内、チャット対応などを行うことで、顧客体験(CX)の向上と売上拡大に貢献します。
新規・既存・離反顧客ごとに異なるアプローチが可能な柔軟なターゲティング機能や、業界随一のコストパフォーマンスも魅力。ECサイトに限らず幅広い業種で活用されています。
Re:lationは、メール・電話・LINE・SNSなど10種類以上の問い合わせチャネルを一元管理できる社内ヘルプデスクツールです。すべてのメッセージは「未対応・対応中・対応完了」などのステータスで管理され、対応状況が一目で把握可能。リアルタイムで画面共有できるため、担当の見える化や進捗管理もスムーズに行えます。
対応漏れや二重返信を防ぐ仕組みも備え、業務の属人化を防止できる点も魅力です。ダッシュボードで対応状況の可視化と分析もでき、業務改善にもつながります。
LMISは、ITILに準拠したサービスマネジメントプラットフォームで、属人化の解消・対応品質の標準化・業務の自動化を通じて社内業務のスマート化を実現します。
構成管理や顧客情報の一元管理、ナレッジ共有、システム監査対応など多彩な機能を備え、継続的な業務改善をサポートできるのが強みです。Salesforce基盤を活かした柔軟な拡張性やレポート機能も特徴で、IT部門のみならず、カスタマーサービスなど幅広い業務で活用できます。
参考:LMIS 公式サイト
「Tayori」は、FAQや問い合わせフォーム、チャット、アンケートなど、社内外の問い合わせ対応を一元管理できるカスタマーサポートツールです。直感的な操作が可能なドラッグ&ドロップ機能や豊富なテンプレートを備えており、ノーコードで誰でも簡単に使い始められます。
また、画像や動画を活用したリッチなFAQ作成や、Google Analyticsとの連携による効果測定も可能。無料プランも用意されており、コストを抑えつつスモールスタートを検討している企業におすすめのツールです。
参考:tayori 公式サイト
Helpfeelは、独自の特許技術とAIを活用し、問い合わせ削減と顧客体験(CX)向上を同時に実現する検索型FAQシステムです。ユーザーの多様な検索表現に対応し、グーグルを上回る検索ヒット率を誇る「意図予測検索」で、スムーズな自己解決を促進。FAQの到達率や解決率などの行動データも可視化でき、継続的な改善に役立ちます。
導入実績500サイト以上、継続率99%と高い信頼を誇り、FAQを軸に業務効率化と満足度向上を目指す企業に適したツールです。
ChatPlusは、2万社以上の導入実績を誇る、月額1,500円から始められる高コスパのチャットボットツールです。生成AIを活用し、最大98%という高精度の回答が可能で、社内外の問い合わせ対応を自動化できます。
5,000以上の機能と、LINE・Slack・Teamsなど外部ツールとの連携にも対応し、営業・マーケティング領域でも活用できるといった魅力もあります。誰でも簡単に使える設計で、スピーディな導入と柔軟な運用ができる点も強みです。
IZANAI Powered by OpenAIは、社内外のFAQ対応を効率化する生成AI型チャットボットです。曖昧な質問にも的確に回答でき、PDFやWebページを登録するだけで自動的にFAQが構築されます。ノーコードで最短3分の導入が可能で、複雑なシナリオ設計も不要です。
人事や総務をはじめ、カスタマーサポートから製造業まで、多岐にわたる部門で活用できる点も魅力です。低価格ながら高性能で、質問対応の工数削減と生産性向上に大きく貢献します。
参考:IZANAI poewed by openAI 公式サイト
おすすめの社内ヘルプデスクツールを紹介しましたが、より効果的にツールを活用するにはどうすればいいのでしょうか?
以下では社内ヘルプデスクツールを活用し、運用を最適化するための具体的なポイントを解説します。
チャットボットやデジタルアダプションプラットフォーム(DAP)の導入により、社内問い合わせ対応の自動化や削減が進み、担当者の負担を大幅に軽減できます。自動振り分けやテンプレート返信といった機能に加え、ユーザーの操作状況を可視化することで、ITツールの利用実態を分析・改善することも可能です。
こうしたツールを活用すれば、教育コストの削減や対応品質の平準化にもつながり、問い合わせ業務全体の効率化が実現できます。
社内問い合わせの多くは、繰り返し発生する定型的な質問が占めています。こうした内容をFAQとして整理・公開して、社員が自ら解決できる環境を整えることが重要です。
マニュアルやガイドを社内に共有すれば、回答の質を統一できるだけでなく、問い合わせ件数の削減にもつながります。信頼されるセルフサポート体制を整えるために、FAQは定期的に更新し、情報の正確性や利便性を保つことが大切です。
ヘルプデスクツールの導入によって蓄積されたデータを活用すれば、問い合わせ対応における課題や傾向を可視化できます。たとえば、対応時間のばらつきや特定時間帯の集中傾向を分析し、人的リソースの見直しや業務フローの最適化に活かすことが可能です。
データにもとづいた業務改善こそが、ヘルプデスク運用の効率化に直結します。
実際にヘルプデスクツールを導入し、社内問い合わせの対応時間や件数を削減した企業の事例を紹介します。業務改善のヒントとして、ぜひ参考にしてください。
アニメ制作会社トムス・エンタテインメントでは、社内システムの効率化を目的に、カスタマーサクセス(CS)ツール「Fullstar」を導入しました。導入の背景には、利用率が低いシステムと操作マニュアルの活用不足がありました。
Fullstar導入により、システム操作時にリアルタイムでガイドやツールチップが表示され、操作ミスや差し戻しが減少。特に経理系システムでは入力補助や注意喚起が効果的で、社員の負担が軽減されました。
さらに、マニュアルの閲覧数が増え、学習効率が向上したほか、システム利用説明会の回数が減り、時間も短縮されるなど、効率化が進みました。今後はアーカイブシステムや外部ユーザー向けの活用も予定されています。
参考:Fullstar導入によりマニュアルが100件以上閲覧され、説明会の時間も5割削減!|
本記事では、ツールの基本機能や導入メリット、選び方のポイント、そしておすすめツール10選を紹介しました。
ヘルプデスクツールは、単なる問い合わせ対応の効率化にとどまらず、業務全体の生産性向上や社内コミュニケーションの円滑化にも貢献します。自社の課題や目的に合ったツールを見極め、適切に導入・運用することで、従業員の自己解決力も高まり、対応工数の削減や利用者の満足度向上も期待できます。
導入前の比較検討をしっかり行い、自社に最適なツールを選びましょう。
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