NPSとは、顧客ロイヤリティを知るための指標です。近年、BotB SaaS企業でもNPSの取り組みは増加傾向にあります。
ただ、日本国内ではまだNPSの取り組みはBtoCのサービスが圧倒的に多く、BtoBのSaaSに特化したデータや活用方法はあまり議論されていません。
そこでこの記事では、BtoB SaaSに特化したNPSの平均値や活用方法などをまとめてご紹介します。
NPS®(Net Promoter Score/ネット・プロモーター・スコア)とは、顧客ロイヤルティを知るための指標です。
NPSについては以下記事に詳細をまとめています。
https://fullstar.cloudcircus.jp/media/column/NPS
日本国内のBtoB SaaS企業に絞ったNPSスコアの平均値は、「-17.3%」です。(2023年8月調査時は「-18.9%」)
こちらは「Fullstar(フルスタ)」で取得したNPSスコアの平均値です。(回答数30以上のNPSに絞って集計)
海外のSaaSのNPSスコアの平均値は、「+36%」となっております。(出典:https://customergauge.com/benchmarks/blog/nps-saas-net-promoter-score-benchmarks)
海外と日本ではNPSのスコアが大きく異なります。これは、日本のSaaSの品質が悪いからというわけではなく、国民性に由来する部分で日本人が中央の点数をつけやすいことから数値に差が出るようになっております。
例えば、動画配信サービスの「Netflix」の場合、海外でのNPSスコアは「+67%」、日本でのNPSスコアは「-2%」となっており、同じサービスでもスコアに大きく差が出ていることが分かります。
BtoB SaaSでのNPS取得方法は大きく2つあります。
一般的なNPS取得方法がメール配信による取得です。平均として、メール配信した企業の10~15%程度が回答してくれます。
メールはそもそも開封されずにNPSに気付かず回答してくれないことが多いです。
メールでの取得より大幅に取得数を上げることができるのが、プロダクト管理画面内での取得です。ユーザーがサービスを利用している際に、ポップアップ等で回答を促す方法になります。
NPSに対する認知が圧倒的に高くなるため、回答数も増えます。一般的にメールで取得する際の4~5倍程度取得が可能です。
NPSはよく、「取得して終わり」になっている企業が多く、活用までできていないことがほとんどです。せっかく取得したデータを基に具体的なアクションに繋げていくことが重要です。
まずは、一般的なNPSの活用方法として挙げられる「定点観測」です。
NPSは取得期間を決めて、年に1~4回取得したり、顧客の導入時期に合わせて定期的に取得したりします。NPSのスコアを出し、前回取得した時と比べどうスコアが上下しているかを把握し、プロダクトの全体的な評価を定点観測します。
プロダクトの評価基準はARR、継続率など様々指標がありますが、多くが介在するセールスやCSに影響されるものであるため、「純粋なプロダクトの評価」はしづらいです。そのため、それらの指標とは別にNPSを定期的に取得し、プロダクト自体の評価をユーザーからフィードバックもらうことが重要です。
次は、BtoB SaaSならではの活用方法である「CTAルール活用」です。
CTAルールとは「Call to Action」を指しており、「解約やエクスパンションに繋がるユーザーの行動を把握し、カスタマーサクセスからアクションを行う際のルール(基準)」を意味します。NPSの点数が低い場合、解約に繋がる可能性が高いです。NPSを取得する際に、「どの会社の誰が〇点と回答した」ことが分かれば、解約を未然に防ぐアクションに繋げていくことができます。一般的にはNPSは6点以下が「批判者」と分類され、解約リスクが高くなると言われていますが、日本では4点以下を解約リスクのある顧客と定義し、フォローしていくことをおすすめします。
最後に、他のデータと組み合わせて「NPSの点数との相関分析」です。
NPSは点数だけ取得していても何を改善するべきか分かりません。NPSの点数が低い顧客がどのような特徴を持っているか、どのような活用をしているかなど、複数のデータと組み合わせて点数の上下を決める要因を分析する必要があります。NPSと組み合わせて分析した方がいいデータ例としては以下があります。
顧客の業種や従業員数、担当者の役職、部署などの提供サービスとは関わらない顧客の基本的な情報。
例)製造業の100名未満の企業だとNPSが低く、早期の解約になる可能性が高い。製造業向けの活用テンプレートの作成、手厚いサポート体制の用意、該当企業の新規受注ストップなどのネクストアクションに繋げることができます。
提供サービスの機能の利用状況等。
例)A機能の利用がされているとNPSの点数が高い。A機能の利用をCS側から促進することで解約リスクを抑えることができます。
NPSを取得する際には以下4つの点に気を付ける必要があります。
BtoBのサービスは、利用開始までに初期の設定等が一般消費者向けのサービスと比べても多くなる傾向があります。
そのため、NPSの取得タイミングを日数等でセグメント分けしないと、正しい評価を得られない可能性があります。オンボーディングが完了し、ユーザーがそのサービスの評価をできるタイミングにNPSを取得することが重要です。
NPSの取得を頻繁に行っていると顧客体験を損ねます。一度回答したユーザーに短期間で何度も回答を促すと、それが要因でNPSが下がってしまいます。
多くても四半期に1回のタイミングで、一般的には半期に1回、もしくは年に1回の頻度で取得するようにしましょう。
NPSは回答数を充分に担保しないと分析することも難しくなります。一斉メール送信でのNPS回答取得率は、多くても全体の10%程度が平均です。
10%しか回答がない中で、プロダクトの何かを分析する、決定づけることは危険であるため、しっかり回答数を担保する仕組みが必要です。NPSはサービス管理画面上で取得する方法が一番回答母数を担保できます。
NPSの回答数4.5倍に:https://fullstar.cloudcircus.jp/media/cases/hr-cloud
NPSに協力したユーザーを放置することは、エンゲージメントを下げてしまう要因の1つになります。また、ユーザーから「協力したのに改善のアクションがない」と思われてしまうと次回以降NPSの回答をしてくれなくなる可能性があります。
そのため、回答後のフォロー施策も実施することをおすすめします。回答者すべてにハイタッチでフォローすることは困難な可能性も高いため、メールでフォローを入れたり、セミナーの案内を送ったりすることで、フォローするようにしましょう。
日本国内のNPSの取り組みはまだまだ少なく、傾向を知ったり、分析したりすることは難しい状態にあります。
特にSaaSに限ると事例も多くなく、何から取り組んで良いか分からないケースもあると思います。
本記事を読み、自社でも取り組みたいと思われた方は是非FullstarのフリープランでNPSに取り組んでみてください。
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