プロダクトツアーとは?SaaSツールの初期設定完了率を劇的に上げるために取り組むべき施策

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ツールやアプリなどの初回ログイン時に「ここをクリックしてください」と吹き出しで案内表示されることはありませんか? それがプロダクトツアーです。

はじめて使う人でも迷わず操作ができるようにガイドしてくれる機能です。

海外ではSaaSビジネスの普及により、プロダクトツアーを導入する企業が増えています。ですが、国内での知名度はまだ低く、BtoB SaaSで作成している会社は多くありません。

そこでこのコラムでは、海外で注目を集めるプロダクトツアーについて解説していきます。



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プロダクトツアーとは

プロダクトツアーとは、サービスの初回ログイン時などに使い方を教えてくれるガイドのことです。はじめて利用する人でも迷わず操作できるように、吹き出しやハイライトを使って次に進む手順を指示してくれます。

操作方法、プロダクトの各機能の紹介などをフォローして、初期設定の完了、利用者の定着、既存顧客の維持などを目指します。

「チュートリアル」「ウォークスルー」と呼ばれることもありますが、BtoBのSaaSプロダクトの文脈では「プロダクトツアー」が多く使われています。

以下のキャプチャはその一例です。吹き出しで操作手順を表示して、ユーザーの行動を促します。

CS先進国アメリカでのプロダクトツアーの現状

先述したとおり、日本におけるプロダクトツアーは、まだまだ発展途上のため、SaaS製品で作成している企業はほとんどありません。

そこで、ここからはカスタマーサクセス先進国のアメリカにおける、プロダクトツアーの現状をご紹介していきます。

プロダクトツアー作成ツール提供会社「Userpilot」が、1,000以上のSaaS製品を調査した「The 2020 State of SaaS Product Onboarding」によると、29%のSaaSが「プロダクトツアー」を利用。24%が「インタラクティブウォークスルー」を採用していました。

この調査では、「プロダクトツアー」は製品の案内を一方的におこなうこと。「インタラクティブウォークスルー」は、ユーザーの行動を促しながら製品案内をおこなうことと定義しています。

つまり、調査対象の53%がプロダクトツアーのようなフォローアップに取り組んでいることがわかりました。国内と比べ、アメリカはプロダクトツアーに重点を置いているといえるでしょう。

プロダクトツアーのメリット

では、なぜプロダクトツアーは海外で重要視されているのでしょうか。代表的なメリットについてご紹介します。

顧客体験価値の向上で継続利用へ

継続利用で収益へとつなげるSaaSビジネスにおいて、「使い方がわからない」「機能を使いこなせない」といったネガティブな印象を持たれることは避けなければなりません。

そこで、プロダクトツアーを実施し、ユーザーが途中離脱しないよう、基本操作や機能の活用についてフォローアップします。ストレスなくサービスを使いこなせれば、ユーザーの顧客体験価値は向上し、既存顧客の利用を維持することができます。

また、初期設定をプロダクトツアーでスムーズに完了させることで、次回のログイン率やアクティブ率の向上も期待できるでしょう。

セルフオンボーディングの実現

プロダクトツアーの活用で、サービスの使い始めをレクチャーする「オンボーディング」を、ユーザー自身でおこなう「セルフオンボーディング」へと移行できれば、カスタマーサクセスやコールセンターなどの工数を削減できます。

SaaSビジネスは、導入者数が増えるほど、その企業に寄り添うカスタマーサクセスの担当顧客も増えていきます。1対1の支援は大切ですが、コストも手間ももかかるため、最終的にはユーザー自身で初期設定できるよう「セルフオンボーディング」を確立することが大きな目標となります。

プロダクトツアーは、その手段のひとつとして注目されており、実現できればセルフオンボーディングを最適化するための開発コストも大幅にカットできます。

自ら体験することで定着率を向上

アメリカ国立訓練研究所による、学習方法とその定着率を表した「ラーニングピラミッド」と呼ばれる研究結果があります。この調査によると、講義や本、動画などさまざまな学習方法がある中で、「75%は自ら体験することで学習が定着する」という結果が出ています。

つまり、プロダクトツアーで、実際に自身で手を動かしながらサービスを体験すれば、より早くツール操作を覚えることができるといえます。

プロダクトツアーの作成方法

ここからは、プロダクトツアーを作成する方法についてご紹介します。代表的な作成方法として以下の2つ挙げられます。

①プロダクト上にチュートリアルが表示されるように開発する

1つ目は、自社のエンジニアや制作会社にチュートリアル作成を依頼して、プロダクトツアー上で表示する方法です。自由にカスタマイズできるので、それぞれのプロダクトに適したチュートリアルを作成できます。

ただし、開発部やエンジニアに制作を依頼しなければならないため、時間や手間がかかります。自社制作できない場合は、外注依頼となり、さらにコストが上乗せに。また、細かいチュートリアルを作成すると、メンテンナンスの際に更新内容の確認など、多くの工数を割くことにもなります。

②ツールを活用する

2つ目は、プロダクトツアー作成ツールを活用する方法。ツールを導入すれば、エンジニアに依頼しなくても、必要なときにすぐ作成が可能です。つまずきやすいポイントが判明したら、カスタマーサクセス部門だけでも簡単に構築できます。

カスタマイズ面では、やや自由度に制限もありますが、専門知識がなくても簡単に作成でき、メンテナンスも容易な点は大きなメリットです。

ツール活用の一例として、弊社のプロダクトツアー作成SaaS「Fullstar」を使った制作方法をご紹介します。

Fullstar導入は「お申し込み」「コードの設置」「データ連携」「運用開始」の4ステップ。ノーコード設計なので、短時間で作成が可能です。無料プランから始められるので、興味のある方は、ぜひ気軽に試してみてください。

「Fullstar」フリープランの導入方法

プロダクトツアーの作り方

①吹き出し作成を選択

「吹き出し」とは、プロダクトやツール操作の補足をするメッセージのことです。ユーザーが操作に迷わないよう、吹き出しでメッセージを表示して誘導します。

②吹き出しを表示する箇所を選択

マウスでカーソルを動かすと、吹き出したい箇所を選択できます。カーソルを移動させるだけの簡単操作です。

③表示するメッセージを入力

ユーザーに向けて表示するメッセージを入力していきます。わかりやすく、簡潔な文章にしましょう。

④ツアー終了の確認メッセージを入れる

最後に「確認メッセージ」を入れます。ユーザーにプロダクトツアーの終了を知らせ、内容が理解できたか「はい」「いいえ」で確認してもらうウィンドウを表示させます。

活用事例

最後にプロダクトツアーの導入事例として、弊社のAR作成SaaS「LESSAR」での運用についてご紹介します。

「LESSAR」は有料と無料プランがあり、有料プランには専任のカスタマーサクセス担当がついているので、初期設定の完了率はほぼ100%でした。しかし、無料プランはユーザー自身で設定してもらうため、初期設定の完了率は60%程度。フリープランユーザーの設定完了率を上げたいとずっと考えていました。

しかし、1,500社以上のアカウント数があるため、人的フォローは限界と判断。そこでプロダクトツアーの実装を決定しました。

現在、チュートリアルとして6つのサポートを導入。操作の手順と簡単な説明が見られるようになっています。チュートリアルで操作手順を示しながら、入力もできるようにしているので、ユーザーは視覚的に使い方を学びながら初期設定を完了できます。

導入の結果、初期設定完了率を14%向上させることに成功しました。また、使い方をマスターしたユーザーが増えたため、アクティブ率も140%まで上昇。ログイン率にも良い影響が出ました。

まとめ

プロダクトツアーを実装すれば、迷いやすい初期設定もユーザーはスムーズに進められます。サブスクリプション型の課金形態であるSaaSは使い始めが肝心です。最初の印象が、LTV(顧客生涯価値)にも大きな影響を与えます。プロダクトツアーでストレスのかからないサービス利用を支援することが重要です。

また、いままでカスタマーサクセスがおこなっていたオンボーディング業務を、プロダクトツアーが担うことで人材不足の解消も期待できます。

ただし、エンジニアが1からプロダクトツアーを構築するには、膨大な作業時間がかかります。気軽に試したい方は、ツールの活用がおすすめです。弊社では、無料から使えるツールもご提供していますので、その利便性の高さをぜひ実感してみてください。



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▼BtoB SaaSにおけるプロダクトツアーの紹介

▼無料でプロダクトツアー作成ができる「Fullstar」フリープランのお申し込み

 


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