【2022年版】カスタマーサクセスのおすすめ本9選~初心者向けに要約付き~ 

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今回ご紹介するのは、カスタマーサクセスのおすすめ本です。近年耳にすることが増えてきたカスタマーサクセスについて、「なんとなく知っているけど説明できない」「学びたいけれど何から始めればいいかわからない」「何の本から読んだら良いかわからない」と思っている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、カスタマーサクセスとはの基礎知識から、カスタマーサクセスに関する書籍を初心者の方にもわかりやすい要約も含めて、どのような方におすすめかご紹介していきます。また書籍以外にも、カスタマーサクセスについて学べるコンテンツ情報も掲載しています。ぜひそれぞれのフェーズに合わせてお役立てください。

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセス(Customer Success)とは、直訳で「顧客の成功」を意味し、「顧客が求める成果・目標達成」を実現することで、顧客から得られる利益を最大化し、自社の安定的な収益につなげる目的で行います。

「顧客の成功(カスタマーサクセス)」の概念とは、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)に特化した「組織」であり、また「理念」でもあります。たとえば「営業」と言うとき、単に部署名を指す場合・活動を示す場合があるのと同様で、これらの概念はまったく異なるものの密接に関係しているのです。

カスタマーサクセスは「トラブルが起こってから対処する」カスタマーサポートと違い、「データを分析することで先回りして対策をとりつつ、顧客に対して能動的にはたらきかけることで解約を防ぐ」のが特徴です。

現在カスタマーサクセスは、SaaSのサブスクリプションモデルを中心として広がりを見せていますが、デジタル時代を生き抜く企業すべてにとって必要な在り方、考え方といえます。

カスタマーサクセス普及の背景とメリット

近年「カスタマーサクセス」が急速に普及した背景には、どのような社会の動きがあるのでしょうか。「カスタマーサクセス」に取り組むメリットとともに解説します。

カスタマーサクセスが普及した背景

カスタマーサクセスが普及し、多くの企業で求められるようになった背景には、どのような理由があるのでしょうか。

買い切り型からサブスクリプション(月額・定額)型のビジネスモデルへ

カスタマーサクセスが普及した大きな要因に、サブスクリプション型ビジネスモデルが、急速に市場を拡大したことがあげられます。「カスタマーサクセス」という概念が最初にアメリカの市場に出現したのは2008年頃といわれています。その後アメリカで2015年に起こったCSブームを皮切りに、日本でも2018年頃からさまざまなサービスが加速し、ビジネスモデルの変化を肌で感じた方も多いでしょう。

近年ビジネスモデルの主流は、最初にモノを買う・契約する「買い切り型」から、利用した期間だけ費用を支払う月額・定額方式の「サブスクリプション型」に移行してきています。BtoCにおける動画や音楽の配信サービスは代表的ですが、食品や衣類、自動車にお花など多岐にわたる業種で月額制のサービスが扱われるようになり、SaaSを中心としたBtoB企業も増えてきています。

(1)サブスクリプション型ビジネスモデルの急増

「カスタマーサクセス」という概念が誕生した背景には、サブスクリプション型ビジネスモデルが急速に普及したことがあります。多くのビジネスが、「モノを買い、所有する」ことが当たり前だった「買い切り型」から、「利用する期間だけ支払う」方式に切り替わりつつあります。とくにソフトウェア販売においては、新たな方法「SaaS」の誕生によって、サービスの利用期間中「定額・月額」で利用するサブスクリプションモデルが主流となりました。

BtoB業界でも今までは、パッケージ型サービス(導入時に高額を支払いきる形)が主流でしたが、この数年はインターネット上でサービスが提供されるようになり、月額制の料金体系が浸透してきています。この背景には「体験」をより重視するようになった「消費者行動の変化」=「利用・成果重視の時代への変化」があるのです。以下に、サブスクリプションモデルのサービスの一例をご紹介します。

<BtoCのサブスクリプション事例>
<BtoBのサブスクリプション事例>

(2)SaaSのサブスクリプションは契約からが始まり

従来の「契約・購入」がゴールとなる買い切り型ビジネスモデルでは、契約や購入後の顧客にそれほど注意を払う必要はなく、「カスタマーサポート」といった受動的な支援でも企業は収益をあげることが可能でした。営業の分野でも、いかに契約をとるかという方法論を重視したノウハウ本などが数多く出版されてきました。

一方サブスクリプションモデルは、「契約」がスタートとなり、顧客の利用期間に応じて収益を得る仕組みです。「はじめに高額の支払いをする」といった決断をせずとも比較的安価にスタートできるため、使い始めてもらうハードルが低い反面、安定的に収益を確保するためには、顧客に長期間継続して利用してもらう必要があります。また「簡単に解約されてしまう」といったデメリットもあり、購入・契約後の「カスタマーサクセス」は喫緊の課題となりました。

継続利用してもらうには、「具体的に成果が出ていること」と「顧客が成果を実感できていること」がカギになります。「買っていただいた後が大切」というのは精神論ではなく、複利的に加速する売り上げ成長と同義であり、加えてコスト効率も格段に良いのです。この「顧客の成果が直接収益に還元される仕組み」において、「カスタマーサクセス」の概念はより重視されるようになりました。

カスタマーサクセスがもたらす利益・メリット

「カスタマーサクセス」に取り組むことで得られる利益やメリットについて、詳しく解説します。

解約の減少

「カスタマーサクセス」は、「解約(チャーン)」を解決するひとつの方法です。SaaSのような定期収益型ビジネスの収益において、「解約(チャーン)」は企業存続の致命傷ともなりかねないため、まさに喫緊の課題といえます。「カスタマーサクセス」を行う人員や施策、各種テクノロジーに適切な投資を行い、問題解決につなげることが大切です。

「解約(チャーン)」は収益に直接影響するだけでなく、自社やプロダクトに関する悪評を広げる原因となります。カスタマーサクセスの取り組みによって、顧客の不満を丁寧に取り除き、高い顧客満足度を維持しましょう。結果として解約率を抑えることができ、顧客との長期的な関係構築が可能になれば、LTVの最大化にもつながります。

注意するべき点は、「解約」が何によって引き起こされているかをただしく見極めることです。プロダクトの観点から「品質が顧客ニーズを満たしているか」、マーケティングの観点から「目標設定が正しく機能しているか」など、多角的に分析することで、カスタマーサクセスの効果を最大化できます。

関連記事:チャーン(churn)とは?カスタマーサクセスに必須の指標、その意味と計算方法について

アップセル・クロスセルによる契約金額増加

「カスタマーサクセス」に取り組むことで、既存顧客からのアップセル・クロスセルを獲得し「定期収益を生み出す」ことができるのもメリットです。

「顧客が継続利用している」=「プロダクトにかけている費用や労力が大きい」「顧客が満足しており離れがたいと思っている」プロダクトであることから、アップセル・クロスセルは「既存顧客から得られるはずの、まだ得られていない収益」であり、とくに顧客の母数が大きいほど無視できない項目といえます。

カスタマーサクセスの地道な取り組み、たとえば「購入後の顧客データ分析にもとづいた的確なアプローチ」によってアップセルやクロスセルを獲得できれば、新規顧客獲得にかかる莫大なコストを省き、契約金額増加に少なからず貢献するはずです。またアップセル・クロスセルの選択は高い心理ロイヤルティの証であり、リテンション(継続)率を大きく引き上げ、LTV最大化を実現するカギとなるでしょう。

顧客満足度・顧客ロイヤルティの向上

顧客満足度や顧客ロイヤルティの向上も、「カスタマーサクセス」のメリットのひとつです。顧客が自社の製品やサービスを通じて、高いカスタマーエクスペリエンスを得れば、顧客ロイヤリティがあがることで得られる「二次収益」を得られます。これは、顧客の解約を回避し、顧客の成果を実現し満足してもらうこととも同義です。

心理ロイヤルティが向上することで、「製品を気に入っているユーザーが、転職後もおなじ製品を使い続ける」「製品を気に入ったユーザーが友達に話すことで、友達の一部も製品を購入する」などの「二次収益」を得ることが可能です。他にも好意的な評価や口コミ・レファレンスなどがあげられます。

【必読本2冊】カスタマーサクセスの基礎から学べる「青本」「赤本」

最初にカスタマーサクセスを学ぶなら、これを読んでおけば間違いない「青本」「赤本」と呼ばれる2冊をご紹介します。

カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

著者 ニック・メータ (著), ダン・スタインマン (著), リンカーン・マーフィー (著), バーチャレクス・コンサルティング (翻訳)
出版社 英治出版
出版年月日 2018/6/6
価格 単行本2,090円

「カスタマーサクセス」という概念が日本に広まったきっかけとされている、「カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則」をご紹介します。「カスタマーサクセスの教科書」「青本」と呼ばれている書籍で、カスタマーサクセス発祥の地であるアメリカで執筆された本を翻訳したものです。

第一部では、顧客を「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」層に分類することで、効率的にカスタマーサクセスを提供するタッチモデルについて詳細に解説しており、カスタマーサクセス部門立ち上げ初期の企業にとって非常に参考になる内容です。カスタマーサクセスが誕生した背景をはじめ、「企業におけるカスタマーサクセスの役割や特徴」「カスタマーサクセス部門が他部門に与える影響」などが述べられています。

また第二部では、カスタマーサクセスを10原則に分類し、原則ごとに異なる執筆者が解説した上で、著者がタッチモデルごとに補足説明を加えています。カスタマーサクセス部門立ち上げ時の指標や実践の参考にもなる上、現在のカスタマーサクセス部門にとって足りない部分をチェックするのにも役立つはずです。

第三部「最高顧客責任者(CCO)の登場」「カスタマーサクセスのテクノロジー・未来」についてです。今後カスタマーサクセスがどうなっていくのか今後の展望や、「心理ロイヤルティを生み出すこととその重要性」についても述べられています。

「カスタマーサクセスとは何か」をはじめ、カスタマーサクセスの重要性や提供方法など、「カスタマーサクセスのあるべき姿」がこの一冊で理解できます。これから学び始める初心者だけでなく、カスタマーサクセス部門の専門者も、カスタマーサクセスに携わるすべての人にまずは読んでいただきたい一冊です。

カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」

著者 弘子 ラザヴィ (著)
出版社 英治出版
出版年月日 2019/7/3
価格 単行本1,980円

カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」では、アメリカでカスタマーサクセスに出会った著者が、いち早く日本の企業向けにカスタマーサクセスを伝えるために執筆した「赤本」と呼ばれる一冊です。翻訳版に比べると、日本人が日本向けに解説した内容であるため、はじめてカスタマーサクセス本を読む人にとっても非常に理解しやすい内容です。

第一章では「カスタマーサクセス」と、カスタマーサクセスと表裏一体の存在であり、カスタマーサクセス成功させるのに必要不可欠な「リテンションモデル」の定義について、AmazonやAppleなど有名企業の例を引用しわかりやすく説明しています。

第二章では、「カスタマーを虜にするリテンションモデル」をメインテーマとして扱っており、「リテンションモデルの5つの成功要因」と「要因ごとに付随したカスタマーサクセスの原則」について丁寧に述べられています。またリテンションモデル実現のためには、たとえば「成功を届けられない相手には売らない仕組みをもつ」「成功が届いたかをプロダクトの利用頻度で計測しない」「カスタマーのチェンジマネジメントに一体となって取り組む」といった、目から鱗の実行ポイントが満載です。米国企業・日本企業それぞれの発展の歴史の違いにもとづいて解説されているところも、理解しやすいポイントです。

第三章では具体的にイメージしやすい日本企業の事例(リクルート、メルカリ、SanSan)も紹介されているため、経営層や実務家の方がカスタマーサクセスの本質や必然性を学ぶのに役立つでしょう。「カスタマーサクセスについて勉強中」「カスタマーサクセス組織に入ったばかりの初心者」「今後カスタマーサクセスの仕事に就きたい」ビジネスパーソンにも、おすすめの一冊です。

【おすすめ本7冊】カスタマーサクセスを学べる本

THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス

著者 福田 康隆 (著)
出版社 翔泳社
出版年月日 2019/1/30
価格 単行本1,980円

THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス」は、日本のSaaS第一人者『福田康隆』氏が、セールスフォースドットコムやオラクルで確立し、日本で広めた営業モデルとされています。カスタマーサクセスの分野では、前述の青本・赤本に対して「黒本」と呼ばれることも。

本書では、リード獲得から顧客のフォローまでの営業プロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」「営業」「カスタマーサクセス」の4段階に細分化して紹介しています。

レベニューモデルをもとに一覧のプロセスが理解でき、各部門のステージ設計や役割、評価指標を学べるため、カスタマーサクセスだけでなく、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、など分業(共業)制をとっている企業すべてに役に立つ本といえるでしょう。顧客との関係構築の方法など、実務的な内容も含まれているため、カスタマーサクセスを含むマーケティングやセールス全体を包括的に学び、実践に活かしていきたい方にもおすすめです。

カスタマーサクセス・プロフェッショナル――顧客の成功を支え、持続的な利益成長をもたらす仕事のすべて

著者 アシュヴィン・ヴァイドゥヤネイサン (著), ルーベン・ラバゴ (著), 弘子ラザヴィ (翻訳)
出版社 英治出版
出版年月日 2021/3/24
価格 単行本2,530円

カスタマーサクセス・プロフェッショナル――顧客の成功を支え、持続的な利益成長をもたらす仕事のすべて」は、本質と必修スキル・実践指針を網羅した、カスタマーサクセスの必須バイブルです。カスタマーサクセスの分野で最先端をいく企業の生の声は実際のアクションに反映できるものが多く、実務で活用できるフローチャートやマトリクスも数多く紹介されています。

第1部では「カスタマーサクセスとは何か」その役割や本質に触れ、第2部では必須スキル、第3部では具体的な実践戦略、第4部では育成や運用についてと終始「カスタマーサクセスに実際にどのように取り組むか」について具体的に述べられた、より実践向きの内容、実用書といえます。カスタマーサクセスの業務設計やフレームワークなど、豊富な実践例がていねいに記述されており、すぐにつかえるヒントが満載です。

増補改訂版 カスタマーサクセス実行戦略 ペーパーバック

著者 山田 ひさのり (著)
出版社 翔泳社
出版年月日 2021/11/25
価格 ペーパーバック2,420円

増補改訂版 カスタマーサクセス実行戦略 ペーパーバック」は、早くからアメリカのCSツールを導入し、日本でカスタマーサクセスに取り組んできたSanSan株式会社のフレームワークやメソッドが凝縮された「カスタマーサクセス実行戦略」の増補改版です。カスタマーサクセスの全体像を知ることはもちろん、日進月歩で進化をとげているカスタマーサクセスの分野において、最新の知見やプラクティスを学べます。

改訂前2019年の著書で紹介されていたのは、米国カスタマーサクセスのシーンを牽引する「Gainsight社のフレームワーク」が中心でした。本書2021年の改訂版は著者が所属する「SanSanの実際の取り組み」についてさらに追記されています。具体的にはオンボーディング・プロダクトフィードバックなどの取り組み、SanSanで利用しているCSツール、エクスパンション戦略におけるマルチプロダクト・テックタッチやPLGについての説明、Csopsやカスタマーマーケティングという新しい職種についても追記されています。日本の先進企業がどのようにカスタマーサクセスに取り組んでいるか知りたい方におすすめです。国内SaaS企業がすぐに実践に役立てられるエッセンスが散りばめられた内容となっています。

カスタマーサクセス経営: 顧客に成功と優れた体験(CX)を届けるプロダクト主導型成長(PLG)戦略

著者 ミッキー・アーロン (著), ニック・ボンフィーリオ (著), 弘子ラザヴィ (翻訳)
出版社 株式会社スリースパイス
出版年月日 2022/7/22
価格 ペーパーバック2,013円

カスタマーサクセス経営: 顧客に成功と優れた体験(CX)を届けるプロダクト主導型成長(PLG)戦略」」は、「PLG:Product-led Growth(プロダクト主導型成長)」=「プロダクトがプロダクトを売る仕組みの構築」をめざす実務家向け、顧客戦略の指南書です。実用書といわれるだけあり事例などは少なく、専門用語や横文字が、解説はあるものの多用されているため、カスタマーサクセスの担当者や一通りSaaSを学んだ人向けの内容となっています。初心者にとっては、カスタマーサクセスの基本を学べる本と併用して読むと、より理解が深められる内容です。

実践における豊富な経験や叡智がつまっており、日本企業が今後、どのようにPLGを取り入れ取り組んでいくかを具体的に示唆しています。日本のカスタマーサクセスシーンで活躍する翻訳者の解説が要所に取り入れられていることから、日本企業にとっても理解しやすく、取り入れやすいでしょう。

サブスクリプション・マーケティング――モノが売れない時代の顧客との関わり方

著者 アン・H・ジャンザー (著), 小巻靖子 (翻訳)
出版社 英治出版
出版年月日 2017/11/15
価格 単行本1,739円

「サブスクリプションモデル」の入門書ともいえる本書「サブスクリプション・マーケティング――モノが売れない時代の顧客との関わり方」は、「所有から利用」の時代に不可欠の、継続収益をうむマーケティング手法や、顧客との長期的関係構築のヒントが満載の一冊です。

内容の構成は、PART1でBtoB・BtoC問わずさまざまな事例を取り上げてサブスクリプションについて言及し、PART2では具体的な戦略、PART3ではとくに「価値の育成」に重きをおいた実践方法について解説しています。

サブスクリプションビジネスにはじめて取り組む人が、従来の「新規顧客獲得」をメインとするマーケティング志向に対して、「顧客の長期継続」の大切さを体系的に学び、実現するための手法を学べます。

売上だけでなく「顧客とどのように向き合うか」といったアプローチや、反対されたときにどう切り返すといった具体的な実践内容から、サブスクリプションモデルにおいてむずかしいポイントである料金設定についても、行動経済学からの多角的な知見を得られるでしょう。ビジネスモデルの無形・有形またtoB・toCに関わらず事例が引用されておりイメージしやすく、専門用語に注釈があるため初心者にも読み進めやすいです。

サブスクリプション——「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル

著者 ティエン・ツォ (著), ゲイブ・ワイザート (著), 桑野 順一郎 (監修, 翻訳), 御立 英史 (翻訳)
出版社 ダイヤモンド社
出版年月日 2018/10/25
価格 単行本1,980円

サブスクリプション——「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル」は、急成長をとげるサブスクリプションモデルビジネスの全貌を、Netfrix、Adobe、spotifyなどをはじめ様々な事例をもとに解説した一冊です。

第十二章の「8つの新しい成長戦略」では「チャーン率を引き下げる」「アップセルとクロスセルで顧客価値を高める」然り、ズオラの8つのサブシステム「PADRE」では、導入部分からすでにカスタマーサクセスの役割について述べられており、カスタマーサクセスとも関係性の深い書籍であるといえます。カスタマーサクセスのシーンでは「グレー本」とも呼ばれることも。

第1部では業界ごとの最先端事例を、第2部では従来型の企業がサブスクリプション型に移行するために、具体的にどのように組織を変えていくかを解説しています。SaaSサービスを提供している企業のカスタマーサクセスチームにはもちろん、今後サブスクリプションに移行していきたいと考えているさまざまな業種の方におすすめの一冊です。

売上につながる「顧客ロイヤルティ戦略」入門

著者 遠藤 直紀 (著), 武井 由紀子 (著)
出版社 日本実業出版社
出版年月日 2015/12/10
価格 単行本1,980円

売上につながる「顧客ロイヤルティ戦略」入門」は、高い顧客満足度を維持して企業成長につなげたい方、とくに「顧客満足度」を売上に直結させたい方におすすめの書籍です。企業に対して信頼・愛着をもつ顧客を「ロイヤルカスタマー」、またロイヤルカスタマーの創出をめざすことを「顧客ロイヤルティ経営」と定義づけて、顧客満足度と収益を相関させる経営戦略を展開しています。

長年マーケティング支援に携わる筆者が、「顧客満足を理念にかかげる企業」が「売上のために顧客を犠牲にする」場面を目の当たりにしてきたことは少なくなく、そこには「顧客志向と収益が反比例するという誤解」や、「顧客価値の可視化が難しいこと」「顧客価値を与える仕組みが組織にないこと」が原因にあると述べています。

「顧客価値の最大化」に「売上の最大化」をつなげるために経営を変革するには、具体的にどのように取り組んでいくべきか、経営者・現場社員それぞれの観点で解説しています。有名な日本企業の実例をあげて丁寧に解説されており、実践における優れた手引書です。

カスタマージャーニーマップや、顧客ロイヤルティを図るための指標「NPS」などを設計する際にも、ダイレクトに反映できる内容となっており実践において非常に有用な内容となっています。カスタマーサクセス部門が、何に取り組むべきか全体像を把握するのはもちろん、カスタマーエクスペリエンスをデザインして収益向上に役立てたい経営者、顧客ロイヤルティ創出により仕事にやりがいを見出しスキルアップしていきたい現場のビジネスマン、すべての層におすすめの一冊です。

本以外からも学べるおすすめコンテンツ

動画やセミナー・コラムなど、本以外でも気軽に見て学べるコンテンツをご紹介します。

【動画】Successs Lab

前述した赤本「カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」」著者の、弘子ラザヴィ氏が代表を務めるサクセスラボ株式会社。同社が運営するビジネスパーソン向け情報サイト「Success Japan」で、カスタマーサクセスのセミナー申込・また過去セミナーのアーカイブ動画が視聴可能です。

カスタマーサクセス関連の動画コンテンツでは、同著で紹介しきれなかった事例や、カスタマーサクセスの分野を率いるカスタマーサクセスリーダーたちとの対談・インタビューから、生の声を聞くことができます。

世界最大のカスタマーサクセスカンファレンス「Pulse(パルス)」の内容を題材に、毎回ゲストスピーカーを招き議論するコンテンツでは、日本企業の視点でカスタマーサクセスについてリーダーたちの優れた知見を得られるでしょう。同社の豊富な経験にもとづいた、無料とは思えないハイクオリティの動画コンテンツは、一本見るだけでもカスタマーサクセスへの理解がぐっと深まるはずです。

【動画】SanSan株式会社

「SanSan株式会社」は、名刺管理のクラウドサービスを提供している企業です。設立当初から長年にわたる「カスタマーサクセス」への地道な取り組みの末、導入企業は7,000社を超えシェアは84%と、高い成果をあげつづけています。

同社の、SanSan事業部/カスタマーサクセス部/シニアカスタマーマーケティングマネジャーである山田ひさのり氏による動画コンテンツ「Sansan DX Department Tour / The 5th」では、同社が所有する「カスタマーサクセス分野における成功事例」といわれる多くのノウハウ・セオリーをはじめ、事業成長の過程や、成果を出すまでの取り組みについても具体的に公開しています。

同社の掲げるデータドリブンのカスタマーサクセスを支える3つの要素「顧客データ基盤の構築(DX)」「お客様の状態の可視化(ヘルススコア)」「CSナレッジのテクノロジー移行(テックタッチ)」について、事例やデータをもとに学べるでしょう。

同社が数年の年月をかけて築いた「顧客データベース」にもとづいた「ヘルススコア設定」、そこから導き出す「CTAの活用による業務効率化」「これらの施策によって創出されたチャーン(解約)率」「エクスパンション(アップセル・クロスセル)率」は非常に精度が高く、今すぐに自社のカスタマーサクセス実践に役立てられるコンテンツです。

【お役立ち情報】Fullstar

弊社のカスタマーサクセスツール「Fullstar」のサイトでは、カスタマーサクセスに関する各種お役立ち情報を取り扱っています。

お役立ち情報の「コラム」では、初心者向けの「カスタマーサクセスの専門用語集」から、「オンボーディングとは?」「テックタッチとは?」などの具体的な施策の解説記事、カスタマーサクセスにおいて先進する企業へのインタビュー記事など、カスタマーサクセスに関する記事をそれぞれのフェーズに合わせて提供しています。気になるところをおさえて、常に最新情報を習得することが可能です。

「セミナー・イベント」ページでは、無料セミナー情報を発信しています。「LTV最大化を実現する、テックタッチ施策を取り入れたカスタマーサクセスの全体像について」では具体的な施策について解説したり、「失敗談から考える、よりよいカスタマーサクセスのあり方」ではゲストを招いて討論したりと、さまざまな角度から自社のカスタマーサクセス施策を見直せるセミナーを取り扱っています。これからのトレンド志向を先取りしたSaaS企業必見のコンテンツは無料で提供しており、気軽に参加できるのもうれしいポイントです。月に1回程度開催されているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

また、他のカスタマーサクセスベンダーが開催するセミナー情報などをまとめた「【2022年度版】カスタマーサクセスおすすめセミナー9選&役立つ動画コンテンツも紹介」の記事もありますので是非ご覧ください。

「資料ダウンロード」では、事例などを元にしたより詳細なノウハウ・手引き書をダウンロードしていただけるほか、過去セミナーのアーカイブ視聴申込も可能です。

「カスタマーサクセスのおすすめ本9選」まとめ

カスタマーサクセスのおすすめ本9選をお届けしました。

どれも「カスタマーサクセス」の魅力が詰まった書籍ばかりです。初心者向けの本から読んでみて全体像をつかみ、サブスクリプションモデルについても学んだり、実用書を併用したりすることで、より見識を深められるでしょう。

本だけでなく、無料で参加できるセミナーや動画視聴、気軽に読めるコラムや資料ダウンロードなどから少しずつ知識を蓄えていくのもおすすめです。

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