社内FAQの落とし穴 誰も教えてくれなかった 〜失敗を避けるためのガイド〜

カテゴリ
DXコラム 
タグ
B!

目次

はじめに ~社内FAQに潜むリスクとは~

社内FAQ(Frequently Asked Questions)は、企業内で頻繁に発生する質問とその回答を集約した情報源です。従業員が自ら情報を検索し、解決できるよう支援することで、業務効率化や教育コストの削減、そして組織内のナレッジ共有に寄与します。しかし、FAQの運用には意外な落とし穴も存在します。例えば、FAQの更新が滞ることで古い情報が誤解を招いたり、内容が曖昧で利用されないといった問題が起きることがあります。実際に、FAQの利用率が低い企業では、問い合わせ対応に割かれる時間が全体の30%を超えるケースも見られます。本記事では、社内FAQの重要性やメリットを解説するとともに、失敗を防ぐポイントについても詳しく触れていきます。

1. 社内FAQの重要性

社内FAQを導入することで、企業や組織が得られるメリットは多岐に渡ります。他のツールと比べても、FAQは持続的に教育、業務効率、ナレッジの共有を支える構造として役立つので、社内の業務を効率化する上で非常に重要な施策の一つと考えられます。

業務効率の向上

社内FAQを導入する最大のメリットは、従業員の自己解決力を高め、問い合わせ対応にかかる時間を削減できる点です。例えば、IT部門への「パスワードの再設定方法」や「メールアカウントの設定方法」など、繰り返し発生する同様の質問をFAQ化することで、従業員が自ら答えを見つけられる環境を整備できます。これにより、問い合わせ対応を担当する部署、例えばITヘルプデスクや人事、経理などの部門の負担を軽減できます。FAQを可視化することで、同じ質問を重複して答える手間を減らせます。また、問い合わせ対応が減ることで、各従業員が自らのメイン業務に集中できるようになり、結果として生産性の向上につながります。さらには従業員が問い合わせ対応を待つ時間が消滅し、すぐに自己解決できる環境を整備できるため、ストレスなく自己解決できるようになるといった点が社内FAQの導入メリットになります。

教育コストの削減

社内FAQは、新入社員やパート社員、新しく入社してきた従業員の教育にも大きく影響します。新入社員は、業務に必要な知識や手続きについて不明点が多いのですが、FAQが整備されていれば、自ら情報を確認しながら学習を進めることが可能となります。また、教育担当者の負担も軽減されます。新入社員の教育時に「基本的な質問」に対応する時間が削減され、教育担当者はメイン業務に集中できるようになります。さらにはFAQを活用することで、従業員は自分のペースで学習を進めることができ、年齢や能力に関わらず業務を適切に遂行できるようになります。

ナレッジの蓄積

組織内の業務ノウハウや知識が属人化してしまう問題は、多くの企業が抱える問題です。社内FAQは、そうした知識を体系的にまとめ、組織全体で共有する役割を果たします。特定の担当者しか知らない情報をFAQに集約することで、誰でもアクセスできる状態を実現し属人化を防ぐことができます。さらに担当者の異動や退職があっても、FAQにより蓄積された情報を基に業務の引き継ぎをスムーズに行えるため、組織の継続性が確保されます。



2. 社内FAQの作成手順~失敗を防ぐ3つのステップ~

社内FAQを作成する際は、明確な手順を踏むことが重要です。以下では、具体的な3つのステップを解説します。

2.1 よくある質問の収集

まずは、社内のよくある質問を収集します。従業員が日常的に抱えている疑問を把握するため、いくつかの方法を活用しましょう。各部署の担当者にヒアリングを実施し、頻出する質問を洗い出します。さらに、メールやチャットの履歴、問い合わせログを分析することで、繰り返し発生している質問を可視化できます。全従業員を対象にアンケートを行い、現場の意見を幅広く収集するのも効果的です。

例えば、IT部門では「ネットワーク接続エラーの対処法」や「システム初期設定の手順」などがよくある質問として挙げられております。このように、部署ごとに異なる質問を体系的に整理することで、網羅性の高いFAQが作成できます。

2.2 運用ルールの設定

FAQは一度作成すれば終わりではなく、継続的に活用するための運用ルールを整備することが重要です。まずはFAQの更新頻度を明確にし、組織の変化や新たな質問に対応できる体制を構築します。例えば、月に一度FAQの内容を見直し、古い情報を更新したり新しい質問を追加する作業を行います。

さらに、従業員からのフィードバックを収集する仕組みも整備します。フィードバックの受付方法としては、専用のフォームやアンケートを活用し、現場の声を反映させましょう。FAQの存在を周知し、社内での利用を促進する施策も重要です。例えば、社内ポータルサイトにFAQのリンクを掲載したり、定期的にFAQの活用事例を紹介することで、従業員が積極的に利用するようになります。

2.3 定期的な更新

FAQは組織の成長や変化に合わせて定期的に更新することが不可欠です。特に、新しいシステムやツールの導入、社内ルールの変更があった際には、迅速にFAQへ反映させましょう。

ただし、多くの企業ではFAQの更新が間に合っていないとよく聞きます。FAQが更新されないと従業員も読まなくなるので、「読まれないFAQ」になってしまうので注意が必要です。更新が滞る主な原因は、担当者の明確化がされていないことや、時間的リソースが不足していることです。この課題を解決するには、更新担当者を明確にし、更新プロセスを簡略化するツールを活用すると効果的です。

新たな業務フローやツールの操作方法が加わった場合、その手順やFAQ項目を追加することで、従業員の混乱を防ぎ、迅速な対応が可能になります。また、FAQの活用状況を定期的に分析し、利用頻度の高い質問や逆にあまり利用されていない項目を把握します。分析結果をもとに、FAQの構成や内容を改善し、より利便性の高いコンテンツへと進化させていきましょう。

社内FAQを効果的に作成・運用するためには、質問の収集、運用ルールの設定、定期的な更新という3つのステップを順序立てて実施することが重要です。FAQは組織全体の生産性向上に大きく寄与するツールであり、常に最新で信頼性の高い情報を提供し続けることで、従業員の自己解決力を高め、業務効率化を実現します。

3. 社内FAQの運用に役立つツール

社内FAQを効率的に管理し、常に最新かつ利用しやすい状態に保つためには、専用のツールを活用することが効果的です。ツールを導入することで、FAQの作成から管理、従業員の活用促進までのプロセスがスムーズになり、組織全体の業務効率化に大きく寄与します。以下に、社内FAQの運用に役立つ代表的なツールとその特徴、メリットについて紹介します。

3.1 Qast :「小規模なチームやFAQ作成を初めて行う企業におすすめ」

Qastはシンプルな操作性を重視したFAQ管理ツールで、誰でも簡単に操作できる点が最大の特徴です。直感的なインターフェースが整備されているため、ITに詳しくない従業員でも簡単にFAQを作成・更新・閲覧できます。特に優れているのは、強力な検索機能です。FAQが蓄積されると情報が膨大になりますが、Qastの検索機能を活用すれば、必要な情報を素早く見つけ出すことができます。

さらに、Qastにはコメント機能も備わっており、質問や回答に対してフィードバックを追加できるため、FAQの改善が容易です。従業員同士のコミュニケーションも促進されるため、社内FAQを通じたナレッジ共有の基盤として非常に有用です。

3.2 Tayori:「既存の問い合わせ管理とFAQの連携を重視する企業に最適」

Tayoriは、FAQの作成から問い合わせ管理、カスタマーサポートまでを一括して管理できるツールです。FAQ機能と問い合わせフォームが連携しているため、従業員から寄せられたフィードバックや質問を効率的にFAQへ反映できます。例えば、従業員が「システムエラーの対処法」について問い合わせをした場合、その内容をもとにFAQに新たな項目を追加することが可能です。このように、フィードバックの集約とFAQの改善が一体化している点が大きなメリットです。

さらに、Tayoriではアクセスデータの分析機能も提供されており、FAQ内のどの項目がよく閲覧されているか、どの質問が解決されていないかを可視化することができます。これにより、より実用的で効果的なFAQを作り上げることが可能になります。

3.3 Fullstar:「デジタルツールを多用する企業や、ノーコードで運用したい場合に効果的」

Fullstarはクラウドサーカス株式会社が提供する国産のデジタルアダプションプラットフォームです。デジタルアダプションプラットフォームとは、システムやツールの定着を促進するためのツールのことを指します。具体例としては、画面上でガイドやチュートリアルなどを表示してユーザーを案内し、自己解決を促すようなものがあります。

アメリカの調査会社であるガートナーは「2025年までに70%の組織がテクノロジースタック全体でデジタルアダプションプラットフォームを活用するようになり、不十分だったアプリのユーザーエクスペリエンスを改善できる」と予想しており、海外を中心に今非常に注目を浴びてきています。デジタルアダプションプラットフォームではアンケートや分析機能も備えており、ノーコードで直感的にマニュアルを作成できるのが特徴的です。

社内FAQの改善に着手する第一歩として、現在のFAQの利用状況を確認し、課題を洗い出してみてはいかがでしょうか?また、本記事で紹介したツールを活用することで、よりスムーズなFAQ運用が実現できます。まずは無料トライアルを試し、運用の可能性を体験してみるのもおすすめです。

関連記事

動画マニュアルのすべて:業務効率化と生産性向上の鍵

DXコンサルタントが使うノーコードツール20個を紹介!!

問い合わせ対応を効率化するための5つの施策とは?DXコンサルが徹底解説