「コミュニティタッチ」とは、カスタマーサクセスの取り組みの一貫で「ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ」の後に登場した、比較的新しいタッチモデルです。最近よく耳にはするけれど、「本当に成果はでるのか」「どのように取り組めばよいのか」とお迷いの方も多いのではないでしょうか。
本記事で解説する「コミュニティタッチ」は、インターネットやSNSが広く一般的に普及した現代のビジネスにおいて、無視できない要素となっています。ただ、ひとえにカスタマーサクセス部門と言っても、日本での歴史は新しく、現場での実践知を持つ人材は圧倒的に不足していることも事実です。カスタマーサクセスに取り組むあらゆる企業が直面する、さまざまな課題を解決する糸口となるのが、この「コミュニティタッチ」ともいえます。
本記事は、カスタマーサクセスにおける「コミュニティタッチ」の取り組みについて、その背景から、メリット・デメリット、具体的なプロセスとポイントを解説していきます。「コミュニティタッチ」に成果をあげている企業の事例と、実際に役に立つツールも合わせてご紹介し、すぐに「コミュニティタッチ」に取り組めるような内容をお届けします。
カスタマーサクセス(Customer Success)とは、直訳すると「顧客の成功」を意味し、「顧客が求める成果や目標の達成を実現」し、自社の利益を最大化するための活動や組織のことを指します。
「顧客の成功を実現するための取り組みや在り方」というのはビジネスの基本ですが、従来の「買い切り型ビジネス」においては、そこまで重視されていなかった要素でした。ところがここ数年で多くのSaaS企業が進出し、ビジネスは「サブスクリプション型(月額・定額制)」に移行しています。ビジネスモデルの転換期において、「カスタマーサクセス」は欠かすことのできない概念として、広く浸透してきています。
とくに近年のユーザーの消費行動は、企業からの一方的なアプローチを受け流す反面、信頼する人からの推奨をすんなりと受け入れています。「人と人とのつながり」を起点とした「コミュニティ」は、人々が潜在的に求めるものであり、現代のビジネスの上では必要不可欠な要素となりつつあるのです。
LTVとは、Life Time Value(ライフタイムバリュー)の略称で、「顧客生涯価値」を意味し、顧客が自社と契約開始してから解約するまでの間に得られる利益の総額を指します。ビジネスモデルによっても多少異なりますが、一般的には次の計算式で表されます。
LTV=平均購買単価×購買頻度×購買継続期間
たとえば、月額制のサブスクリプションサービスを利用する場合、LTVは以下のように割り出せます。
1アカウントの契約単価(10,000円)×購入回数(年12回)×継続期間(3年)=360,000
従来の「買い切り型モデル」において、収益は「顧客が契約・購入したタイミング」でほとんど回収できていました。対して「サブスクリプション型モデル」は、顧客が月々に支払う金額が比較的安価で手軽に利用できるメリットがある反面、中長期にわたって継続利用してもらわなければ利益をあげられない仕組みになっています。
企業がカスタマーサクセスに取り組むことで、「顧客が成果をあげる→顧客にとってなくてはならないプロダクト・企業になる→継続利用してもらう」というサイクルを回すことができます。継続利用により安定した定期収益を得ることができるため、LTVを最大化することが可能になります。
このようにサブスクリプションモデルとLTVは切っても切れない関係であり、LTVの最大化はカスタマーサクセスのカギともいえます。
関連記事: LTVとは?基礎知識や算出方法からカスタマーサクセスとの関係性など、その重要性をまとめました
「タッチモデル」とは、LTVを基軸に顧客を3つのグループに分類して、カスタマーサクセスを提供する方法です。コミュニティタッチを説明する前に3つのタッチモデルをそれぞれ解説します。
ハイタッチとは、LTVの値が一番大きい顧客、またはこの顧客層に対して行われるサポートを指します。具体例としては、エンタープライズ企業や大手企業・有名企業などの顧客がハイタッチに該当します。大口契約であることから、LTVが高くなる傾向にあります。
1人対1人の密接なコミュニケーションを通して、企業ごとにオーダーメイドのきめ細やかなサポートを提供する施策です。企業としては多大なリソースを要するため、配分には注意したいところです。顧客満足度がきちんと収益につながっているか、指標を立てて計測する必要があります。
関連記事: ハイタッチとは?カスタマーサクセスのタッチモデル「テックタッチ」「ロータッチ」との違いや分類方法、具体例をわかりやすく解説
ロータッチとは、ミドルタッチと表記されることもありますが、タッチモデルの中では同じ位置付けです。ハイタッチ層よりLTVが低い層で、例としては中堅企業などがあてはまります。
カスタマーサクセス部門の担当者1人に対して、複数の人数に対して同時にアプローチすることで、効率よくサポートを行っていきます。セミナーやワークショップなどの施策が代表的です。
ハイタッチやロータッチと違い、人力ではなくテクノロジーの力で支援を実施するのがテックタッチです。1:1や1:nといった考え方ではなく、メールや管理画面上のチュートリアルなどを利用して、人員を介さずに顧客の活用促進を目指します。
テックタッチとは、ロータッチ(ミドルタッチ)よりもさらにLTVの低い層で、例としては中小企業や個人経営者などが該当します。LTVは低いものの数としては一番多い層となり、収益にも大きく影響を及ぼします。
テックタッチでは、「テクノロジーを活用した施策」を講じることで、たくさんの人数に対して効率的にサポートを行います。メールやWebでの学習コンテンツ、FAQやチャットボットなど、顧客の課題を解決に導くツールが用いられます。またWebサイト上にチュートリアルなどを表示することで、カスタマーサポートの工数を削減して、スムーズな学習を促すのもテックタッチ施策です。
関連記事: テックタッチとは?カスタマーサクセスの重要なタッチポイント ~知っておきたい基礎知識について~
「コミュニティタッチ」とは、自社のユーザー同士・またはユーザー対ベンダーのコミュニティを設置して、掲示板・チャットツール・オフライン会などで生まれる双方のコミュニケーションによって、ユーザーにポジティブな影響をもたらすようアプローチする手法です。前述で解説した3つのタッチモデルのように、企業から顧客にアプローチする手法とは異なり、すべてのタッチモデルを横断しているのが特徴です。
コミュニティは、従来の「ベンダーが一方的に価値を提供する手法」とは異なり、ユーザー対ユーザー、あるいはユーザー対ベンダー間において、双方向性のあるチームを構築する目的で運営されます。ユーザーのロイヤリティ・エンゲージメントを高め、あらたな顧客体験価値を提供できるのです。
コミュニティの提供方法としては、従来はオフラインのユーザー交流会が一般的でしたが、近年ではオンラインサービスを活用したオンラインコミュニティが多く立ち上げられています。また、オフライン開催の交流セミナーをWebで配信するなど、オンラインツールを掛け合わせることで、双方の短所を補うハイブリット型で行うケースも増えています。
インターネットが普及し情報過多の現代において、消費者行動は「情報は自分で取りにいくもの」という心理に基づいています。企業からの一方的なプロモーションメッセージはますます届かなくなっていくでしょう。
そんな中、「親しい人、信頼のおける人がオススメしている」といった、口コミや紹介の価値は年々重要度を増しています。リファラル(紹介・推薦)を促進するためには、「NPS(Net Promoter Score)」=親しい人にどれくらいおすすめしたいかを表す数値が重要になります。NPSを向上させる上で、コミュニティタッチは非常に有効な手段です。
ビジネスが買い切り型からサブスクリプション型に移行したことで、購買・契約後の顧客へのフォローが重要になってきたことは先にも説明しました。SaaSにおける顧客の心を掴み、満足度を維持するための施策としてコミュニティタッチは相性がよいともいえます。
とくに国内のビジネスシーンにおけるカスタマーサクセスでは、カスタマーサクセス専任部門が設けられるケースはまだ少なく、営業担当者による「ハイタッチ」のサポートが最も多く行われています。ハイタッチモデルにおいて顧客接点をもつ場合「一対一の人を介した支援を行うべき」といった認識から、リソース不足に陥りやすいのも実情です。ここにコミュニティタッチを併用することで効率化を図るのも狙いのひとつです。
なぜコミュニティタッチが重視されるようになったのか、背景にある時代の流れや要因について、4つのポイントに絞ってご説明します。
近年、クラウドサービスはさまざまな領域にまで広がっています。当初のクラウドサービスは、情報系やエンターテイメント関連など、それほど重要度の高くないシステムが大半でした。しかし最近では会計業務や購買管理などの基幹システムをクラウド上に設置することも少なくありません。
こういったさまざまな難易度のITツールを、顧客の業務効率化を図りながら継続利用してもらう中で、同時に「コミュニケーションをとって顧客体験を最大化する必要がある」というのは、カスタマーサクセス特有のプロセスです。
コミュニティタッチは、顧客接点創出の課題を解消するのに役立ちます。とくにクラウドサービスにおいて収益に影響の大きい「チャーンレート(解約率)」をおさえるのにも効果的でしょう。
従来オフラインで行われていた人の集まり(コミュニティ)は、近年、その場所をオンライン上に移動しています。インターネット・SNSの爆発的な普及による「顧客のメディアパワー」の影響力は、マーケティングにおいて無視できない大きな規模へと変容してきました。これにともなって、「企業にとってのコミュニティの価値」も大きく変化してきています。
このような背景において、ベンダーとユーザーは、「価値を提供する側」と「受け取る側」の関係ではなく、「ともに価値を創っていく」関係へ変化してきているといえるでしょう。
また以前は、BtoCの販促に活用されているイメージの強かったコミュニティですが、近年ではBtoBでも積極的に取り入れられるようになり、多くの成功事例がでてきています。
コミュニティタッチは、「カスタマーサクセスに取り組む上で生じるジレンマ」を解消するのに役立ちます。ジレンマとは、収益の小さい顧客に対してもきちんとカスタマーサクセスの支援を行いたいが、すべての顧客にハイタッチ対応をすればリソースなどの問題が生じる、といった状況です。
「テックタッチ層ユーザーの収益額」「デジタルのアプローチによって得られる効果」を侮って対策を怠れば、解約は進み収益に大きく影響してくるでしょう。しかし「1対1のハイタッチ支援」をすべての顧客に対して施せばコストがかさんでしまいます。また現在成長中の企業が、莫大な顧客に対してリソース不足に陥る状況も、カスタマーサクセスでよく生じる問題のひとつです。
利益を損なってもハイタッチを行って解約率をおさえるのか、ある程度の解約率を受け入れカスタマーサクセスに取り組まないことでコストを削減するのかといったジレンマを解消すべく、足りないリソースを補えるのがコミュニティタッチ施策です。詳しくは次章でも解説します。
日本より一足先に、サブスクリプションやカスタマーサクセスという概念が浸透したアメリカの企業では、コミュニティタッチを行うのは一般的です。またコミュニティを管理する「コミュニティマネージャー」という職種の将来性にも、注目が集まっています。
企業や規模、BtoBかBtoCかによって手法は異なるものの、実にアメリカのSaaS市場の90%(時価総額上位50社のうち45社)が、コミュニティタッチに取り組んでいます。ユーザーの体験価値が「何を買うか」ではなく「誰から買うか」に、シフトしているのが大きな要因といえるでしょう。
コミュニティタッチは、顧客価値向上はもちろんのこと、潜在顧客獲得の手段としても非常に効率がよいとされています。しかし一般にはツールが浸透しておらず、運営のノウハウも乏しい日本の市場においては、まだまだ敷居が高く、コストが見合わないと判断されるケースも多いのです。
コミュニティタッチ施策に取り組み、コミュニティ運営が軌道にのればさまざまな恩恵を得られます。ここではコミュニティタッチの4つのメリットについてお話しします。
1つめのメリットは「口コミによる二次的な好影響」です。ユーザー同士のあつまるコミュニティが設置されれば、そこにはプロダクトや企業に対する口コミが集まります。コミュニティに所属するロイヤリティの高いユーザーが発信する情報は、潜在顧客にとっても信頼度の高い情報であり、企業の一方的な情報発信よりも、新規顧客開拓において効果的といえます。
「先輩ユーザーから教わる」というユーザー同士の関係性は、利害関係がないため安心して受け入れやすいのもポイントです。ハイタッチモデルの顧客が「こんなふうに利用しているんだ」という実例を直近に追体験することで、ロータッチ・テックタッチ層の顧客のアップセル・クロスセルを促す効果もあり、売上を向上させながら顧客の成果へ大きく貢献できる可能性を秘めています。
関連記事: アップセル・クロスセルとは?意味や違い・カスタマーサクセスにおける重要性、事例を解説
2つめのメリットは、より詳細なVOC(Voice Of Costmer)が分析できるようになることで、事業成長のさまざまな側面に活かせることです。「コミュニティ」という双方向性のあるプラットフォームなので、お問合せフォームやアンケートなどでは引き出せないラフな意見を収集できるでしょう。ユーザーにとっても「自分の意見を聞いてもらえた」と感じやすく、不満解消・満足度向上に同時に役立ちます。
ユーザー情報(事業規模や使用頻度、契約プラン)とひもづいたコメントは解像度が高く、プロダクトを使い込んでいるユーザーの意見であれば、製品開発・プロダクト改善・サービスの質などさまざまな面で有益なデータとして活用できるでしょう。「ご意見・クレーム」とはまた違った類の、ロイヤルカスタマーからのフィードバックや、消費者視点でのアイデアは、企業にとっても貴重な財産といえます。
3つめのメリットは、インタラクティブな(双方向性をもつ)チームの絆を築くことで、ファンの育成を促し、チャーンレート(解約率)をおさえられることです。
ユーザー同士の関わりに限らず、企業とも密接な関係をもてることから、熱狂的なファンを育成するきっかけとなるのも、コミュニティタッチならではといえます。コミュニティ内で熱心なファン、ロイヤルティの高い顧客を育成することで、企業のブランディングにもつながります。ロイヤルカスタマーの発信によってつくられた質の高いコンテンツは、コミュニティ外の新規顧客獲得にも絶大な効果を発揮するのです。
関連記事: チャーン(churn)とは?カスタマーサクセスに必須の指標、その意味と計算方法について
4つめのメリットは、コミュニティ自体が「カスタマーサポート」として機能する点です。プロダクトを使い込み熟知しているユーザーの存在は、ユーザー同士が、会話や質問などのコミュニケーションを通じて、プロダクトに関する疑問点を解消するのに役立ちます。
ユーザーがそれぞれにコメントすることで、ユーザー生成コンテンツ(UGC)をつくりだせるのもメリットで、よりユーザーの視点にたったFAQを自動で作り出せるともいえます。コンテンツマーケティングに展開することで、コンテンツ作成の工数削減にもつながります。
カスタマーサクセスにおけるさまざまな課題を解決する糸口となる「コミュニティタッチ」ですが、デメリットについても解説します。
コミュニティの運営を開始するには、プラットフォームが必要です。SNSを活用して無料で始める方法もありますが、コミュニティはある程度の規模がないと効果が発揮できないことや、規模が拡大した場合の運営を考えても、ある程度の初期投資がかかります。コミュニティ運営ツールを活用して工数を削減するのもよい手段ですが、ランニングコストが生じる点はおさえておきましょう。
またコミュニティが盛り上がり、マーケティングとしての効果を発揮するまでには、ある程度のユーザー数、ユーザーが集まるまでの時間が必要です。集客やユーザーを惹きつけるための工夫は、継続的に必要になります。たとえば、キャンペーンやプレゼント企画・ポイント付与などのインセンティブ提供を行い、ユーザーが「コミュニティに所属している価値を受け取っている」と感じられる内容です。
短期的な収益は見込めないため、少なくとも半年〜数年をかける覚悟で、地道に取り組んでいく必要があります。ただ、コミュニティタッチは、「蓄積していく=ストック型」の施策です。運営が軌道にのれば、リソースの削減になることはもちろん、コスト以上の効果が見込めます。
コミュニティをデジタルマーケティングの一貫として効果的に運営していくためには、スキルをもつ人材も必要不可欠です。アメリカでは「コミュニティマネージャー」というスペシャリストが人気の職業として台頭してきていますが、日本ではまだまだなじみのない分野でもあります。
業務内容は、オンライン・オフライン、BtoC・BtoBによっても多少異なりますが、たとえば「コミュニティの運営・管理」「コミュニティ活性化のためのイベント企画・開催」「ユーザーとのコミュニケーション」「コミュニティ内のトラブル解決」から「見込み顧客のセールスへの引き渡し」まで多岐にわたります。
どのようなコンテンツがユーザーに喜ばれるのかというプロデューサー的な視点と、それを実行するディレクター的手腕も必要になります。戦略立案と効果検証など、プロジェクトの根幹となる部分も一貫して行うのも特徴です。カスタマーサクセス部門やマーケティング部門、セールス部門など部署をまたがって協力してチームを結成するか、適正のある人材を育成する必要があります。リソースとしてむずかしい場合は、アウトソーシングするのもひとつの手段です。
ユーザーが自由にコメントしたり意見交換したりできる場所だからこそ、ネガティブな内容が発信されることもあります。こういったユーザーの言動については適切に監視・管理する必要があります。
たとえば「競合のサービスを試用してみたらとてもよかった」といった発言が、コミュニティ利用者にとってネガティブなイメージを助長してしまえば、最悪はユーザーの流出につながりかねません。悪質な行為を防ぐため、まずはコミュニティのルールの周知を徹底するのも大切です。
コミュニティ運営ツールを活用して、あるキーワードを設定し、そのキーワードが投稿されるとアラートがくる機能をつかって、管理業務を効率化するのもひとつの手段です。
ただしネガティブな発言を削除することで逆上した投稿者が「書き込みをしたのに削除された」などとコメントすれば、マイナスなイメージを与える原因にもなります。コミュニティ運営ツールには、コメントを削除しても「他のユーザーには見えないけれど、本人には見えている」といった高性能な機能が搭載されているものもあるので、検討してみても良いかもしれません。
コミュニティタッチモデルの施策にはどのような種類があるでしょうか。近年一般的になってきているオンラインコミュニティを中心に解説していきます。
オンラインコミュニティの開設は、オンラインコミュニティツールを活用する、または自社内のシステムで独自にオンラインコミュニティを構築する方法が一般的です。FacebookやSlackなどのプラットフォームを利用する場合もあります。
BtoCでは、人物やブランド、商品など特定のファンが集まったファンコミュニティやウェブやSNSを使用した会員制のオンラインサロン、企業コミュニティが一般的です。
BtoBでは、カスタマーサクセスの一貫として、Facebookグループでのコミュニティ運営やZoomやSlackなどのプラットフォームを利用してユーザーコミュニティを運営するケースが多く見られます。
自社のオンラインコミュニティを設置することで、最新情報を発信したり、逆にユーザーの鮮度の高い声を収集したりと、ユーザー・企業双方にとって有益な環境をつくることができます。コミュニティの規模や用途によって、最適な方法は異なります。後にご紹介する「コミュニティ運営に活用できるプラットフォーム・ツール4選」もぜひ参考にしてみてください。
オフラインでのイベントは、従来行われてきた「コミュニティタッチ」の手法ともいえます。対面でのイベントでは、参加者のモチベーションをあげる効果が期待できます。
その反面、オフラインでのイベントでは、参加する一回きりで、その後の関係構築を継続するのがむずかしいというデメリットもありました。しかしオフラインのイベントに訪れた人をオンラインコミュニティに招待することで、この課題を解決し、より多くのユーザーの知見を蓄積できるようになります。
遠方などが理由でオフライン会に参加できない人へも、オンラインコミュニティで情報共有することで、双方のギャップを埋める効果が期待できます。
最近では、国内でも「かんたんに運営できるオンラインコミュニティ専用ツール」を提供するSaaS企業が増えてきています。中には、コミュニティの設置から運営までを一括して請け負い支援してくれるサービスも出てきています。
コミュニティツールにはcommmuneやcoorumがあげられます。機能としては、カテゴリごとのトークルームやパブリックチャットによるコミュニケーション、Q&A・FAQ・掲示板でのナレッジ共有・オンライン会議・バナーの設置などがあります。コミュニティ運営に必須の機能がしっかりと搭載されている上、専門知識不要で開設できるのもうれしいポイント。複数のコミュニティや、顧客情報を管理する基幹システムとの連携がシームレスに行えるのも特徴です。
実際にコミュニティを運営していく上で必要なプロセスについてご説明します。
まずはコミュニティの目的・方針・運営方法など、戦略を立案します。コミュニティを「どのような目的で」「どのように運営する」ことで、コミュニティが「ユーザーにもたらす価値」と「自社にもたらす価値」を「どのくらいの期間」で得られるか、を明らかにしましょう。なぜコミュニティである必要があるのか、コミュニティ設置の必要性を社内で理解してもらう必要があります。
戦略がかたまったらコンテンツを設計していきます。ユーザーがどのようなコンテンツを必要としているかを元に、たとえばBtoB向けITツールであれば「製品の使い方」「ためになるスキル」「オフラインの勉強会」などと挙げていきましょう。コンテンツが決まれば、継続的に運営できるよう今後の予定(コンテンツ配信やイベントの開催の頻度など)をおおまかに決めておくとよいでしょう。
コミュニティを運営する責任担当者「コミュニティマネージャー」がしっかりと業務に定着するためには、十分なリソースが必要です。リソースを適切に配分するためには、社内のステークホルダーに「コミュニティ運営の重要性」を理解してもらう必要があります。「コミュニティマネージャーの業務内容」を明らかにすることで、社内での理解も得られやすくなるはずです。
コミュニティマネージャーの業務は、「プロジェクトの根幹となる構想・設計の決定」「コンテンツ企画」「プラットフォーム管理」「メンバーの管理と行動分析」など日々の業務から、「コミュニティ外へのプロモーション」「コミュニティ運営に関する社内への発信」まで、多岐にわたります。中長期的な取り組みでこそ成果のでる手法だからこそ、継続して運営できる環境づくり=適切なリソースの確保が非常に重要です。
またコミュニティが拡大したときに、おなじリソースで運営できるかを想定し、できるかぎり業務を自動化しておくことも大切です。
コミュニティ運営は、基本的には「ユーザー会を開催したからその日のうちに何件の受注がある」といったように、短期的に収益をあげるための手法ではありません。規模や業種にもよりますが、年単位で地道に育てていく施策です。このように「収益」「受注」などといったわかりやすい数値を出しにくい施策だからこそ、指標をしっかりと設定するのが大切です。
コミュニティタッチにおけるKPIとしてよく用いられるのは「メンバー数」ですが、基本的にはそこまで大幅に増減する数値ではないため、これだけではコミュニティ運営の効果を測定するのはむずかしいともいえます。
KPIの例としては「コンテンツ数」「投稿数」から、「アクション率」「アクティブメンバー」「(質問に対する)回答数」のほか、「削減した工数」など、定量的数値を測定していくとよいでしょう。数値化はしにくいものの、インタビューやアンケートなどの定性的な要素も合わせて効果測定することで、より正確な分析が可能になります。
コミュニティタッチに取り組む際、疑問となりやすい点や、気をつけたほうがよい点など、実施におけるポイントについて解説していきます。
「コミュニティタッチを導入してみたいけれど、どのようなきっかけで導入するべきか」と悩む方も多いでしょう。基本的にコミュニティタッチは、時間軸におけるすべてのフェーズのユーザーに対して有効な施策であるため、カスタマーサクセスに取り組むタイミングで一度に導入するのが効果的です。
またコミュニティタッチはストック型のビジネスであり、コミュニティの存在自体に資産価値が生まれます。すぐには収益につながらないことから着手が先延ばしになることも往々にしてある施策ですが、チームや環境が整い次第できるだけ早くスタートして、企業に資産的な価値を蓄積していきましょう。
ただプロダクト自体があまりに未成熟な状態では、かえってリソースを無駄にしかねないため、この時点での見極めは慎重に行う必要があります。
コミュニティに、コミュニティを管理する企業側の「コミュニティマネージャー」が必要なように、ユーザーを先導する「リーダー的存在」も非常に重要です。自らが見本となって他のユーザーにはたらきかけてくれたり、オフラインのイベントでは登壇者として出演してくれたりと、重要な役割を担うコアメンバーです。彼らがコミュニティ内の情報を外部に発信することで、コミュニティ内部の動きもさらに盛り上がっていきます。
コミュニティの中心人物・仲間になってくれる人を見つけるためには、徹底したユーザーのデータ分析が重要です。活発なコミュニティ活動に貢献してくれる人を見つけるために、それぞれのユーザーが自社のプロダクトをどのように利用しているかを把握しましょう。
参加者を限定したイベントの開催は、コミュニティ内のユーザーに与えるポジティブな心理的効果があります。コミュニティ外に対する情報発信と同じくらい、コミュニティ内のメンバーの満足度を高める効果があります。参加者だけが得られる情報や特典を用意し、興味を引きつけましょう。
参加者の選定方法としては、コミュニティの利用頻度などから「コミュニティ内の質問に多く回答しているユーザー」などを選定して、参加権を獲得したユーザーのみが参加できる、という形式をとるとよいでしょう。
コミュニティのイベントでは、双方向性=一体感が大切になります。ユーザーが「ただ参加して、一方的に受け取る」のでは、セミナーや勉強会などと変わりません。
イベントの設計の段階から「ユーザーもイベントを構成する一員である」ための工夫が必要です。「ディスカッション」や「投票」など参加型のイベントを取り入れることで、ユーザーも自然な形で参加できます。「自分ごと」としてとらえることで、熱量をもってコミュニティ活動に取り組むことが可能になります。
ユーザーに意欲的にコミュニティに参加しつづけてもらうためには、「ユーザーにとってのコミュニティの目的を明示すること」が重要です。情報過多の現代では、すでにたくさんのコミュニティがあふれています。その中でユーザーに対して「時間を割いて参加したい」と思わせるような価値を提供できなければ、ゆくゆく離脱にもつながりかねません。
企業側も同じように、コミュニティ運営の目的を履き違えないように注意が必要です。たとえばユーザー会は「セールスの場面」ではなく、あくまでも「ユーザーやベンダー双方のコミュニケーション」の場所です。コミュニケーションや関係構築を謳ったユーザー会で、参加してみると実は一方的な製品の売り込みだったとなれば、ユーザーの信頼を失うばかりかコミュニティ自体の評判を落とすことにもつながります。
ユーザーが「なんのために参加しているのか」、企業の運営チームが「どのような目的で運営しているのか」を見失わないよう、定期的に目的を再確認できる仕組みづくりが必要です。
ある程度のユーザー数が集まり、コミュニティ運営が軌道にのってきたら、あとはユーザー同士が交流できる仕組みを構築し、コミュニティ運営が自然にまわっていく方向性を目指しましょう。
オンラインコミュニティであれば、チャットツールなどを活用することで気軽な交流をはかれるでしょう。「製品の使い方」というカテゴリであれば、不明点を抱えた初心者ユーザーに対して先輩ユーザーが回答する、というやりとりが行われていくかもしれません。企業側の工数削減につながるだけでなく、ユーザーのコミュニティに対する帰属意識を高める効果もあります。
コミュニティがマーケティングの一手段として成果を出すには、時間的なリソースが不可欠です。中長期的な視点で、コツコツ取り組んでいく姿勢が必要になります。
立ち上げ当初は、なかなかユーザーが増えなかったり、増えてきても書き込みが増えなかったりと運営が思うように回らず、コミュニティの存在が収益に貢献するイメージを持てないかもしれません。しかしユーザーが積極的に参加してくれるようになり、各々の発言によってコンテンツが蓄積されていくようになれば、コミュニティ運営は軌道にのっていきます。活発に利用されるコミュニティは、ユーザーに企業のポジティブなイメージを与え、ファンをつくりだしたりアップセルやクロスセルなどの収益につながったりと、多くの恩恵を与えてくれます。
期間としては、まずは半年〜1年といった中長期スパンで取り組み、立ち上げっぱなしにならないよう、「いつまでにこの目標を達成する」という指標に基づいて戦略立案することが大切です。
コミュニティの立ち上げから運営のプロセスは、アウトソーシングすることも可能です。企業の規模や人員のリテラシー、また運営のフェーズによっても、必要なリソースの振り幅が大きいのもコミュニティタッチの難しい部分です。
近年では、運用代行という形で、コミュニティ運営のすべてのプロセスを請け負ってくれるタイプのサービスも出てきています。コミュニティ運営ツールを導入し、付随するサポートをうまく活用するというのもひとつです。
立ち上げは自分達で行い、マーケティング支援などのサービスを利用して運営の部分をサポートしてもらう、といった活用の仕方も可能です。自社のコミュニティの目的やニーズに応じて、使いやすいサービスを選びましょう。
コミュニティの失敗とは、「コミュニティが活動をやめてしまうこと」です。コミュニティ活動が停止してしまう原因は大きく3つに分類でき、それぞれ適切な対策をとることで回避しましょう。
1つめは、運営者の負担が大きく、運営が回らなくなってしまうことです。コミュニティ運営では往々にして起こる問題で、人員を補充するほか、ツールやアウトソースをうまく活用するなど、適切な対応をとる必要があります。
2つめは、コミュニティ内のユーザーの言動により、コミュニティ本来の目的とずれが生じてしまうケースです。他のユーザーの熱量を下げ、新規ユーザーが定着しないといった弊害を起こし、コミュニティ規模が縮小する原因となります。ユーザーの行動をチェックできるツールの機能や、マーケティング運用支援などのサービスも活用できるはずです。
3つめは、目的を見失っている、惰性で続けていることにより、成果につながっていない状態です。現実的に達成可能なKPIを見直して、戦略を策定しなおすとよいでしょう。
コミュニティタッチ施策に成果をあげている企業の事例を6選紹介していきます。ぜひ自社のコミュニティ設立の際に、参考にしてみてください。
コミュニティ運営の難易度が高いとされる、BtoB企業の成功事例からご紹介します。
株式会社セールスフォース・ジャパン は、2010年にユーザー会を発足し、2013年にはオンラインコミュニティを立ち上げています。コミュニティへの誘導タッチポイントを、フェーズごとに複数箇所設けることで、順調にユーザー数を伸ばしてきました。
「Trailblazer Community」というユーザーコミュニティでは、オフラインのユーザー会・コミュニティイベントを開催。ノウハウや課題の共有から、事例自慢大会などユニークな企画が催され、全国に100人以上のコミュニティリーダーが配属しています。
オンラインコミュニティでは、月に5,000を超える質問に対して99.9%に回答がつく、というデータから、有効活用されていることがわかります。回答の60%は、プロダクトに対する理解度・成熟度の高いユーザー「Salesforce MVP」によるものが占めており、有用な情報を継続的に提供できる仕組みづくりにも余念がありません。ユーザーとベンダーの良好な関係構築により、年間300にのぼるユーザーからのアイデアがプロダクトに実装され、双方の成果にとって貢献しあう存在となっています。
Sansan株式会社 が運営するのは、「Sansan Innovation Community」と呼ばれるユーザーコミュニティです。Sansanのサービスの利用者は誰でも参加可能となっています。
コミュニティ内で、ユーザーは旅人になぞらえて「Voyagers(航海者)」と呼ばれます。コミュニティュニティ「Sansan User Forum」では、Voyagers同士の交流をはじめ、役立つ会員限定コンテンツが利用可能です。
おなじ目標や課題を抱えるVoyagers同士が、深く議論できる交流イベント「Sansan User Meetup」、Sansanのサービスを活用して成果事例を創出した企業を表彰する「Sansan Innovation Award」など、他のユーザーの行動や成果をおたがい共有しあい、自社のイノベーションに役立てることのできる仕組みづくりをしています。
Sansanは、「ユーザー数」「工数の削減」「週毎の投稿数」の3点にKPIを絞り、緻密な実践検証を繰り返したことで、約1年でコミュニティ運営の成果をあげています。
企業のブランドや商品のファンコミュニティをはじめ、オフラインにも起点をもつBtoCの事例をご紹介します。
カゴメ株式会社 が運営するファンコミュニティサイト「&KAGOME」は、2015年4月にスタートしました。会員数は2020年で3万人、2021年で4.9万人まで成長し、年間一万人のペースで増員しています。
カゴメはコアユーザーの購入量の割合が多いため、コアなファンの離脱防止と、より深い関係構築が可能なコミュニティの在り方を追求してきました。そのためKPIには「会員のアクション率」を設定しており、年間平均10%という水準をキープしています。
カテゴリごとでのユーザー同士の交流はもちろん、モニター商品の提供にはユーザーからのコメントが蓄積され良質なコンテンツを生み出しています。そのほか年に数回開催される人気イベントが、直接コミュニケーションがとれる「オンライン座談会」です。担当者の商品への熱い思い、ユーザーからのうれしいコメントも直接伝え合える機会を提供し、相互ロイヤリティの向上にも大きく貢献しています。サイト運営から得られたコアユーザーの分析も有効活用して、マーケティング施策のサイクルをまわしている事例です。
株式会社スノーピーク は、20年以上も前から「ユーザー同士、またはユーザーと企業の双方向のコミュニティ構築」を行っている、コミュニティタッチにおける先進企業です。
「野遊びを通してユーザーのつながりを大切にする」というコンセプトのもと、長年にわたり、直接ユーザーとつながれるキャンプイベントを開催しています。キャンプ場での自然な会話から「この商品がもっとこうだったらいい」といった声を聞き、製品開発にダイレクトに反映させる、まさに「ユーザーが企業とのつながりを感じられる取り組み」を行っています。自らもユーザーであることを考える、という徹底したユーザー目線だからこそ、「ユーザーと共にブランドを創る」という目標を実現してきました。
オンラインコミュニティ「Snow Peak Community」と連動して、キャンプを愛するお客様同士の交流を促しています。ユーザー同士のつながりや価値ある情報共有の場を提供するとともに、よりいっそう自社製品への愛着を強めてもらう、まさにwin-winのコミュニティモデルといえるでしょう。
メルカリ は近年、他の誰かに「メルカリっていいよね」と伝えたくなるようなサービスの実現を目指し、オンライン・オフラインにおけるユーザー体験の拡大をテーマに、コミュニティ施策に注力してきました。
「みんなのメルカリ文化祭」や、「メルカリ公式Instagramでお客様とワイワイ」では、ストーリーズでお客様からの質問に回答するなど、メルカリをより身近に感じられるイベントを数多く企画。「witheカメラガールズ」では、写真好きの女性のためのコミュニティ「カメラガールズ」とオフラインでのメルカリ活用術・撮影会を行ったり、社内部活動から派生した「Mercari Sports Club」ではランニングカルチャーマガジン「走るひと」とのコラボイベントを開催したりと、さまざまな方面でコミュニティを拡大しています。
メルカリは、ユーザーがオンラインで利用するアプリである一方、撮影・梱包・発送などの出品作業はオフラインで行われます。実際の店舗に設置されたオフラインのコミュニティ「mercari station」では、梱包サイズがひとめでわかる機械が利用できたり、カスタマーサポートも受けられたりと、初めてメルカリを利用する人にも安心です。
スウェーデン発の企業、スポティファイ・テクノロジー が提供する音楽ストリーミングサービス「Spotify」では、ユーザーコミュニティを設置しています。メンバーは700万人を超える、非常に活発なコミュニティです。
コミュニティ内でユーザーは、質問を投稿したり、過去の解決方法を検索できます。使い方に関するちょっとした質問も、知人にたずねる感覚で気軽に書き込みできるのが使いやすいポイントです。またアプリの改善提案や、機能に関する使い方のヒントのほか、音楽にまつわるチャットやプレイリストのシェアを行って、似た趣向の人たちと交流できるのが大きな特徴です。
ユーザーがspotifyに対して投稿した「アイデア」に対しては、すぐに反映するものだけでなく、今は反映しないアイデアに関しても、その理由を含めたレポートを掲載しています。ユーザーが「自分の意見も聞き入れてもらえる」と感じられるきめ細かな対応で、高い満足度を維持しています。
いざコミュニティ運営を始めるにあたって「何を利用すればよいか」と迷った際、役立つプラットフォームやツールを4つご紹介します。
「 Facebook(フェイスブック) 」はいわずと知れた大手SNSで、無料で利用できます。利用者数の多さからも、ユーザーに気軽に参加してもらいやすいのがメリットです。「グループ機能」に特化したプラットフォームで、コミュニティ運営に必要な機能が日々刷新されています。
一例として、ファイル共有機能・ディスカッション機能を使って、ドキュメントを共有しながら双方のコミュニケーションを活性化できます。アンケート機能を使えば、ユーザー対ベンダーのフラットなコミュニケーションが可能に。イベント機能は、カレンダーを共有できるため、告知の手間を省いてコミュニティ内でのイベント開催もかんたんに行えるようになります。
コミュニティの規模が拡大してユーザーの熱量や関心度にばらつきが出てくると、運営しにくく効果を出しきれなくなってしまう点はデメリットですが、「まずは無料でコミュニティ運営を試してみたい」という方におすすめです。
ビジネス用メッセージングツールとして浸透している「Slack(スラック) 」もまた、コミュニティ運営に最適なツールです。トピックごとにトークグループを構築して、議論を深められるのもチャット機能に特化したアプリならではといえます。直感的な操作で利用できるため、Slackを使ったことがないという人にも参加のハードルは低いはずです。
運用や展開も簡単で、ユーザーをワンクリックで招待できます。少人数からのプライベートチャネルの使い分けも容易にできるため、いきなり大人数の前で発言するのに抵抗がある、というユーザーに少しずつ馴染んでもらうような使い方ができるのもポイントです。対面できないからこそ不安なチャット上でのコミュニケーションも、絵文字やリアクションなどのユニークな機能などが助けてくれるでしょう。
またSlackでは、コミュニティ運営者のためのオンラインコミュニティ「Slack Community Hub」も運営されており、コミュニティ運営の上でのツール活用法やイベント開催のノウハウなど、最新情報を学べるのもうれしいポイントです。
「commune(コミューン) 」は、「コミュニティサクセスプラットフォーム」と称され、オンラインコミュニティの企画・構築・運用までを一貫して支援してくれるサービスです。
コミュニティ運営はもちろんのこと、カスタマーサクセスに取り組む上でも必要な機能を充分に備えており、ノーコードで構築できるのもうれしいポイント。ユーザーのコミュニティ活用を促すポイント付与システムや、活性化を促すと同時に炎上リスクを防ぐ24時間投稿モニタリング機能など、限られたリソースの中でも効率的にコミュニティ運営できる機能が充実しています。
豊富な実践知をもつ専任のカスタマーサクセス担当の伴走サポートも充実しているので、コミュニティを立ち上げて終わり、といった心配もなく、はじめてコミュニティ運営にたずさわる人にも安心のツールです。
「coorum(コーラム) 」は、コミュニティ機能をそなえた、顧客起点のカスタマーサクセスプラットフォームです。
coorumはユーザーの分析機能に非常に優れており、指標ごとに正確な顧客データを測定できます。これらのデータはひとめでわかるようなグラフ形式で表示でき、コミュニティ内だけでなくカスタマーサクセス、ビジネス全体の戦略策定にスピーディーに反映できるでしょう。
またページのカスタマイズ性が高く、顧客向けFAQや、企業がノウハウを共有できるナレッジページなどのサイトをノーコードで作成できることはもちろん、自社独自の世界観をもつUI・UXを再現できるのも特徴です。
本記事ではコミュニティタッチについてやタッチモデルの基礎的なところからコミュニティタッチの種類やメリット・デメリット、事例、おすすめのツールについて解説しました。
コミュニティを立ち上げて人を集め、コミュニティとして軌道にのせていくのは、時間も労力もかかります。しかし運用がうまくいけば、投じるリソース以上に大きな恩恵をいくつも得られるのも、コミュニティタッチの特徴です。
なにより時代的な背景からも、「コミュニティ」の存在自体は、今後のビジネスモデルにおいてはますます重要度が上がっていくでしょう。自社のプロダクトやリソースを確認した上で、カスタマーサクセスの心強い助けとなる「コミュニティタッチ」について、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。