デジタルオンボーディングプロセスとは、オンボーディングプロセスをデジタルの力で解決することです。
近年、多くの企業がデジタルツールを利用している中で、そのデジタルツールを使いこなせないユーザーが多くなっているのも現状です。
本記事ではユーザーをサポートするデジタルオンボーディングプロセスの価値について詳しくまとめました。
デジタルオンボーディングプロセスとはオンボーディングプロセスをデジタルの力で解決することです。オンボーディングとは人事用語として、新入社員や既存社員に対して組織に適応し定着するまでの一連プロセスを指します。デジタルオンボーディングプロセスは企業においてかなり重要ですが、多くの企業ではあまり重要視されていないのが現状です。様々な情報が飛び交う現代ではデジタルの力を活用した業務効率化が求められています。その中で社内の方が可能な限りデジタルツールを円滑に使いこなすことができる仕組み作りが重要だと考えられております。
新入社員や既存社員へのオンボーディングの種類は直接的なオンボーディングとデジタルオンボーディングです。
直接的なオンボーディング
こちらは直接的なコミュニケーションが必要なオンボーディングを指します。以下のような例が含まれます。
a.会社説明やオリエンテーション
b.同僚やマネージャーの紹介
c.重要なルールやポリシーの説明
デジタルオンボーディング
こちらは直接的なコミュニケーションは必ずしも必要ないオンボーディングを指します。以下のような例が含まれます。
d.ソフトウェアやツールの初期設定
e.テクニカルサポートの紹介
f.デジタル上での基本的な業務トレーニング
デジタルオンボーディングプロセスは単なるオンボーディングをデジタルの力に任せる事ではなく、社内業務の効率化や社員のエンゲージメントにポジティブな影響を与えると考えられています。
ご認識の通り、デジタルオンボーディングプロセスはソフトウェアやITツールを利用する社員のオンボーディングプロセスをサポートできます。社員の転職が当たり前になってきている現代では人材不足が深刻になっています。その中でソフトウェアやITツールなどをデジタルオンボーディングプロセスを通してサポートすることは、業務効率化やオンボーディングの工数削減の観点では必要不可欠だと考えられています。また、デジタルオンボーディングプロセスは各企業独自のニーズやブランディングに合わせて柔軟にカスタマイズすることが出来ます。特に新入社員には、必要な機能説明のみ担当者が直接行うなど、各企業ごとの方針に沿って実行できるのが強みだと考えております。
デジタルオンボーディングプロセスを通して社内ユーザーのITリテラシー向上に期待できます。ソフトウェアやITツールを利用する際に、社内ユーザーが円滑に使いこなせないケースは度々あります。多くの企業では社内システムの担当者が社内ユーザーからの問い合わせに対応しており、かなりの時間を割かれています。また、社内ユーザーの問い合わせに対して24時間365日対応できるコールセンターを設けている企業も多くあります。しかし、それらは、その場の課題は解決できても人件費や外注コストなどがかかるだけで、根本的な解決には至りません。また社内業務効率化のためにソフトウェアやITツールを導入しているにもかかわらず、そのツールを円滑に使いこなせないことによって「問い合わせる」という無駄な工数をかけてしまっています。つまり社内ユーザー自身で解決できる仕組みを作ることで彼らは「問い合わせる」という無駄な工数を削減でき、ITリテラシーを高めることができます。したがってデジタルオンボーディングプロセスは企業にとって人件費などのコスト削減のみならず、社内ユーザーのITリテラシー向上にも利点をもたらすでしょう。
デジタルオンボーディングプロセスを通じて社員のエンゲージメントを高めることができます。デジタルオンボーディングでは、社内ユーザーがデジタルツールをストレスなく使いこなすのをサポートするのはもちろんのこと、実際にそのデジタルツール上で社内ユーザーからアンケートや満足度を調査できます。ユーザーの声を基にもっと使いやすいツールへと改善することができるので、そのツールに対しての社員のエンゲージメントは高まる傾向にあります。また、今まで研修や資料を通して行っていたオンボーディングの時間を削減できるので、特に新入社員にとっては同僚やマネージャーと過ごす時間が増加し、すぐに社内に溶け込めることが期待できます。
デジタルオンボーディングプロセスの目的を明確にするためには、上記のような「デジタルオンボーディングプロセスの価値」に沿った目的が良いでしょう。しかし、デジタルオンボーディングプロセスはROIを測定するのがかなり難しいため、必ず定量的な目的を明確にしましょう。例えば「新入社員のオンボーディング時間を短縮する」のではなく、「新入社員がデジタルツールを使いこなせるまでの時間を30%短縮する」など測定可能な目的を設定しましょう。
1.1評価指標やKPIを設定しましょう
当然ながらデジタルオンボーディングプロセスを構築する理由には多くの目的があります。それらの目的を達成するのに焦点を当てるべきなのは評価指標やKPIになります。デジタルオンボーディングプロセスの評価指標には、社員のオンボーディング時間短縮や工数削減、生産性向上率、業務満足度、エラー率などが含まれます。これらの要素を評価指標にして取り組みましょう。
2.戦略を立てる
多くの企業では独自の業務に合わせてデジタルツールを利用しています。新入社員にはツールの使い方を直接教えるトレーニングも必要になります。その中でデジタルオンボーディングプロセスを構築するには、効率的かつ生産性が高まる環境を整える戦略が必要です。
2.1. デジタル環境での業務体験
効果的な戦略の一つは社員に優れたデジタル業務の体験を提供することです。現代の多くの企業では、社員はデジタルテクノロジーを使用した業務に常に取り組んでおります。そのデジタル体験が優れていればいるほど、社員の満足度と生産性は向上すると考えられています。基本的な判断基準は、ツールを簡単に操作できるかどうかです。特にIT企業など、多くのデジタルツールを使用する場合は、この点がより重要になります。
2.2 充実したサポート体制
デジタルオンボーディングプロセスを構築する上で、サポート体制を充実させることは極めて重要です。新入社員がデジタルツールを使いこなすことは難しいため、デジタルオンボーディングとは別に、サポート体制を強化することが大切です。サポートへの簡単なアクセスを確保することで、社員のオンボーディング体験は向上し、それが今後の業務パフォーマンスにも大きく影響します。
他のビジネスプロセスと同じく、デジタルオンボーディングプロセスも定期的に分析し、改善を図ることで、目標達成に向けた効果的なプロセスにする必要があります。
データ分析・パフォーマンス把握&改善
基本的にはデータを収集することが重要です。データを定期的に確認し、社員からフィードバックを集めることで、デジタルオンボーディングプロセスに対する理解が社内で深まります。また社員の利用状況を把握しオンボーディングプロセスの問題に対して迅速に対応することは社員のエンゲージメント向上に役立ち、デジタルツールに対してポジティブな印象を抱くことに繋がります。
デジタルオンボーディングプロセスの評価
デジタルオンボーディングプロセスを効果的なものにするには、評価指標やKPIに沿った評価基準を設定しましょう。デジタルオンボーディングプロセスの評価基準は30-60-90日計画を立てて評価することをおすすめします。また、30-60-90日計画を作成する際はSMARTの法則に基づいて作成することを推奨します。30-60-90日計画の参考例は以下になります。
30日間:社員全員に一度はデジタルオンボーディングを経験してもらう。
施策:社内報やメールなどで社内全員に通知する。
60日間:デジタルオンボーディングの利用状況分析し満足度を評価する。
施策:①社員ユーザーの離脱ポイントを分析&改善。②社内でデジタルオンボーディングプロセスについて満足度調査やアンケートを実施する。
90日間:社員全員にデジタルオンボーディングプロセスを浸透させる。→社員のオンボーディングプロセス30%削減
施策:社内報やメールどちらか効果的だったもの (30日間計画) で通知する。
以上の点を念頭に置いて実施することで最も効果的なデジタルオンボーディングプロセスを実施できるでしょう。
現代では多くの企業がデジタルテクノロジーに囲まれて業務の効率化に取り組んでいます。その中で多くの企業はオンボーディングの重要性を認識できていても、担当者が「オンボーディングに時間を費やせない」「工数がかかる」という理由で優先順位がかなり低くなっています。しかし社員がデジタルツールを使いこなせないと、かえって業務が疎かになるケースも多々あります。デジタルオンボーディングプロセスを実施することで社員のオンボーディングの工数削減やデジタルスキル向上といったポジティブな結果をもたらしてくれるでしょう。